周囲の声は気にせず、自身に目を向け続けている。U-23日本代表FW佐藤恵允(ブレーメン)は19日の練習後、「世間からけっこう言われているけど、あまり気にしない。本戦に向けてやっていきたい」と力を込めた。

 大岩剛監督体制で2番目にゴールを奪ってきた。FW細谷真大の12得点に次ぐ7得点。鋭い突破から繰り出す右足シュートだけでなく、泥臭くゴール前まで走り込んで得点を挙げることも。だが、4月以降はチームで結果を残すことはできず、苦しい時間は続いている。

 17日のU-23フランス戦では後半17分から途中出場。サイドからの突破とカットインで敵陣に迫り、果敢にシュートチャンスを作り出した。豊富な体力で決定機を作り出し続けるからこそ、決められなければそのシーンは悪目立ちする。だが、チーム屈指の走力は日本躍進の鍵になるはずだ。

 パリオリンピックを戦うメンバーになった今、結果を出せなければ、出るまで走り続ければいい。その真実を、佐藤は悩みながらも無理やりに飲み込んでいる。「フランス戦でも何個か自分の良さを出した。その良さを1試合でどれだけ出せるか。一個でも多くサイドを一人で打開して、得点につなげる」。自身の揺るぎない強みを自らに言い聞かせていた。

 気にしたくはないが、ネットの声は目に入る。現在、欧州圏内では「Yahoo! JAPAN」のニュースが利用できなくなったことで少しだけ気は楽になったという。「本戦で見返してやるという気持ちは大きい。深く考えずに、いつも通り自分の良さを出せれば」。その瞬間が来るまで、弛むことなく走るつもりだ。

(取材・文 石川祐介)