なぜ停止線のずっと手前で「止まる人」存在? 「前空いてますよ…」 あえてスペースを空ける理由は?

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なぜ停止線のずっと手前で「止まる人」大型車のドライバーからは「非常に助かる」の声も!

 赤信号の際、停止線よりずいぶん手前で止まっているクルマをたびたび見かけます。

 SNS上には「あえて手前で止まるように心がけている」というドライバーもいますが、一体なぜスペースを空けるのでしょうか。

停止線を超えて止めると「違反」! しかしずっと後ろに止めるのも後続車の「迷惑」になりかねません[画像はイメージです]

【画像】これが停止線の前で上手く止まるコツ! 写真を見れば一発でわかる!(51枚)

 クルマのドライバーの中には、赤信号の際にクルマを停止線よりもずっと手前で止める人がいます。

 この運転に関してSNS上では「最近、停止線のかなり手前で止まるクルマが多い気がする」「感知式の信号でこれをされると、反応しなくて待たされる」などのほか、「あえて手前で止まるように心がけている」という声も聞かれました。

 道路交通法上、停止線があるときはその直前で停止する必要がありますが、一体なぜ停止線よりも大幅に手前の位置で止まるドライバーがいるのでしょうか。

 その主な理由として、交差点を右左折してくる大型トラックや大型バスなどが曲がりやすいよう配慮していることが挙げられます。

 特に大型車が左折する際は車両の軌道が大きく外側にふくらむため、停止線で止まっているクルマのそばをギリギリで通過せざるを得ないケースがあります。

 そのような状況のときにクルマが停止線よりもやや手前に止まっていれば、大型車が余裕を持って左折できます。

 実際のところ、大型車を運転するドライバーからは「ありがたい」「停止線の1m手前でも助かります」といった感謝の声が多く寄せられています。

 さらに二次的な事故を防止する目的で、クルマを停止線より手前に止めるドライバーも存在します。

 たとえば後続車に追突されると、その勢いで横断歩道に進入して歩行者を巻き込んでしまうおそれがありますが、停止線より手前に止まっていればその危険性を少しは低減できます。

 そのほか、車種によっては停止線ピッタリで停止すると信号機がクルマのルーフ部分と重なって見えなくなるため、あえて少し手前に止めるという意見も聞かれました。停止線より手前でクルマを止める行為には人それぞれの事情があるといえるでしょう。

 しかし停止線より大幅に離れた位置で停止すると、前述のように感知式の信号が反応しなかったり、後続車両が空いたスペースに割り込んできたりと混乱を引き起こす可能性も考えられます。

 加えて、警察庁が公表している運転免許の技能試験の採点基準によると、停止線の手前からおおむね2m以上手前で停止する行為は減点対象とされています。

 つまり、停止線から大幅に離れる行為は推奨されていません。

 また国土交通省の交差点設計に関する文書では、停止線を「交差道路側の右左折車の走行に支障を与えない位置に設置する」と明記しています。

 そのため、基本的には大型車が右左折することを想定した上で停止線が設置されており、本来は停止線より大幅に手前で停止する必要はないといえます。

 とはいえ、道幅の狭い道路や道路の形状によっては大型車が右左折しづらい場所があるのも事実です。

 普段から停止線の直前でピッタリ止まれるような運転を心がけつつも、大型トラックやバスの通行が多い道路においては2mを越えない範囲でスペースを空けるといった臨機応変な対応が大切です。

 このように停止線より手前で止まるクルマがある一方、赤信号で停止線をオーバーして止まるクルマも散見されます。

 悪質性が高くなければ警察に検挙される可能性は低いといえますが、厳密には交通違反に当たります。

 場合によっては右左折してきた車両の通行を妨げるおそれもあるため、日頃から信号機や道路標識など周囲の交通環境をよく確認して運転することが重要です。

※ ※ ※

 クルマが停止線よりやや手前で止まる理由は多くの場合、大型車が右左折しやすいように、という配慮です。

 お互いに気持ちの良い運転をすることで事故やトラブル防止につながるといえるでしょう。