「ちょっとクルマ貸してよ」実は破滅の危険も!? 自動車保険「持ち主以外が運転」の落とし穴とは!? どういう契約だと「他人に貸して事故」も補償されるの?

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クルマの安易な「貸し借り」は禁物!?

他人にクルマを借すのは、本来はリスクの高い行為です

 本格的に夏を迎え、レジャーの計画を立てている人もいるでしょう。中には遠出をするために家族や親しい友人などからクルマを借りる人や、その一方でクルマを貸すことを検討している人もいるかもしれません。
 
 しかし他人へクルマを貸すことには、大きなリスクがともないます。では、具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか。また、人にクルマを貸す場合にはどのような対応をとるべきなのでしょうか。

 まず他人にクルマを貸す際は、交通事故が発生するリスクを考慮しなければいけません。事故が発生すると貸したクルマが壊れることはもちろん、場合によっては人に怪我をさせ、治療費など賠償責任が発生してしまうこともあります。

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 もしクルマを借りた人が運転中に人身事故を起こした場合、被害者の治療費や慰謝料などは、まずクルマの所有者が加入している「自賠責保険」から支払われます。自賠責保険では被害者の死亡による損害が最高3000万円まで、傷害による損害が最高120万円まで補償されます。

 ここで、「実際に運転をしていないクルマの所有者も責任を負うのか?」という疑問を持つ人がいるかもしれません。

 実は「人身損害」に対しての賠償責任は、運転者だけでなくクルマの所有者にも生じるのです。注意しましょう。

 これは自動車損害賠償保障法(自賠責法)第3条に規定された「運行供用者責任」であり、クルマの所有者・管理者にも責任の一端を負わせるものです。ただし「物損事故」の場合は、所有者に賠償責任はおよびません。

 さらに損害賠償が自賠責保険の補償範囲を超えてしまう場合もあります。そのような時のために、次のような任意保険でカバーすることが一般的です。

(1)クルマを借りた人が加入している「他車運転特約」
(2)クルマを借りた人が加入している「ドライバー保険」
(3)クルマを借りた人が加入している「1日自動車保険(ワンデー保険)」
(4)クルマの所有者が加入している自動車保険(運転者の限定なし)

 それぞれ、一体どのような保険内容なのでしょうか。

自分のクルマを「他人が運転して事故」補償してくれる保険とは

●他車運転特約
 クルマを「借りる」側の自動車保険とセットになっている特約であり、対象のマイカーだけでなく、他人から臨時で借りた別のクルマでの事故にも利用できるというわけです。あくまで借りた人自身の保険で補償されるため、クルマの所有者の保険に影響せずに済みます。

●ドライバー保険
●1日自動車保険(ワンデー保険)
 他人のクルマを運転中の事故への補償に特化した保険で、運転免許を持っていてマイカーを所有していない人でも使える保険といえます。

 なおドライバー保険と1日自動車保険は「保険期間」と「対象車両」などの点で違いがあります。具体的にはドライバー保険が「原則として年単位の契約」であるのに対し、1日自動車保険は「1日単位」「12時間から」といった短いスパンで加入できます。またドライバー保険のほうが、補償対象となる車両の範囲が広くなっています。

●クルマの「所有者」が「運転者の限定なし」という内容で加入する自動車保険
 クルマの所有者の自動車保険に「運転者の範囲を限定する特約」が付いていなければ、たとえば友人が運転中に起こした事故でも補償されます。

 デメリットとして、事故を起こしたわけではない所有者の等級にも響いてしまい、翌年以降の保険料が上がってしまいます。

 一般的には保険料の節約のため、運転者を限定する「本人限定特約」や「本人・配偶者限定特約」「家族限定特約」などが付いているケースが多く、事前に補償内容をチェックしておくことが大切です。

 ちなみにこれらの任意保険に加入しておらず保険で補償できない場合、クルマを借りて事故を起こした運転者やクルマの所有者自身の資産から、実費で損害賠償をおこなわなければなりません。

 上記を踏まえると、「そもそも他人にクルマを貸さない」というのも重要です。もしリスクを理解した上でクルマを貸す場合は、万が一の事故に備え、事前に借りる人と貸す人双方の自動車保険の補償内容や特約の有無などをしっかりと確認しておきましょう。

※ ※ ※

 SNS上においては「息子にクルマを貸したら単独事故で壊された」「知人にクルマを貸した際に事故を起こされ、その後連絡が取れなくなった」などの声も寄せられています。クルマの貸し借りに関するトラブルは決して少なくないため、慎重に判断する必要があるといえるでしょう。