福井〜茨城が“最短距離”に!? 夢の東西ネットワーク「松本佐久連絡道路」がすごい 北陸新幹線より「100km短縮」も!?

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壮大な「東西ネットワーク」実現すればどうなる?

 国土交通省が「構想路線」に位置付けている広域道路ネットワークに、長野県を東西に結ぶ「松本佐久連絡道路」というものがあります。
 
 実現すればどう便利になるのでしょうか。また、話はどこまで進んでいるのしょうか。

長野道の松本IC(画像:Google Earth)。

 松本佐久連絡道路は、国道254号のバイパスとなる道路です。松本市からまっすぐ東進し、山岳区間を抜けて立科町を経由し、佐久市へ至ります。

【画像】超便利!? これが夢の高速道路「松本佐久連絡道路」のルートです(22枚)

 現在、松本から上信越道で高崎・栃木・東北道方面へ行こうとすると、わざわざ長野市まで北へ大回りする必要があります。もし松本佐久道が実現すれば、高崎方面への「最短移動」が実現します。

 さらに、福井県福井市から岐阜県郡上市、高山市を経て、松本市までほぼ最短距離でつなぐ「中部縦貫道」が整備中です。福井市〜東海北陸道〜高山市が「信号ゼロ&峠越えゼロ」でつながるのも時間の問題で、そこから上高地へ至る区間も、徐々に事業が進行中です。また松本市内でも事業が少しずつ進展しています。

 これらが実現すれば「福井〜高山〜松本〜高崎〜栃木〜水戸」という、日本海側と太平洋側をまっすぐ東西につなぐ大規模ネットワークが完成することになります。

 たとえば北陸新幹線で高崎〜福井を移動する場合、長野・糸魚川経由で約420km走ることになります。しかし中部縦貫道・松本佐久道・上信越道だと約300km。100km以上の短絡ルートとなるわけです。

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 さて、気になる進捗ですが、建設促進期成同盟会が1997年に結成され、国に対して粘り強い要望活動を続けています。

 最近では2023年11月にも、国交省事務次官と面談し、じきじきに要望書を手渡ししたほか、国会議員あてにも要望を行っています。

 実際に「具体的な動き」が出るとすれば、まずは国土交通省が「計画段階評価」を開始することになります。これは概略ルートを決定するプロセスで、概略ルートが決まれば都市計画決定と環境アセスメントの手続きが進められ、完了すれば事業化を待つ段階になります。

 また、国土交通省が年度初めの予算概要で「この道路について、検討を進めます」といった発表をすることが多く、ここに記載されれば、いよいよ何らかのアクションが始まることが匂わされます。

 たとえば「鹿行南部地域への高規格道路アクセス」についても、長い間さらっと「検討を進めます」という状態だったのが、2024年6月になってついに「計画段階評価」の開始が正式アナウンスされました。

 残念ながら「松本佐久連絡道路」は、どの記述も見られません。というのも、同じ長野県では、山梨県北杜市から北上して佐久市の上信越道までを直結する「中部横断道」の全通計画が動き出したばかりという背景があります。

 中部横断道は、静岡から甲府までが全通したばかり。今度はさらに、上信越道までつながり、静岡・長野・高崎をつなぐ短絡ネットワークが完成していくことになります。

 この計画が一段落してから、松本佐久道も具体化の話になっていくのかもしれません。