映画『ディア・ファミリー』で主演を務める大泉 洋さん。作品への想いと、ご自身が50代になって感じていることをお聞きしました。

自分で決断したことに間違いはないと思います

俳優、タレントとしてマルチに活躍する大泉さんは、現在51歳。近年は歌手としての活動も躍進中で、『NHK紅白歌合戦』や『Mステ』に出演したことも話題になりました。「歌は、『もう50歳だから歌わせて、許して』みたいな気持ちですよ。読者の皆さんも同じかもしれませんが、我々にはもう、ためらってる時間はあまりないんです!(笑)」

【写真】大泉洋さんの横顔

「若い頃は、『オレみたいなやつが歌ってもね』なんて、勇気が出ないところもあったけど、40代以降は、『そんなものあなた、人目なんて気にしていても仕方ないじゃない』ってね(笑)。だから、やりたいことは皆さんもやっちゃった方が絶対におもしろいし、自分が決断したなら、間違いというものはないと僕は思いますね。それとね、50歳になると、体のあちこちで異変が起きてきますから、今のうちにしっかり体を鍛えておくことをおすすめします(笑)」

「なせばなる!」の言葉に力をもらった

映画『ディア・ファミリー』は、娘のために人工心臓をつくろうとした、とある家族の実話を基にした感動作。大泉さんが演じたのは、1970年代に、娘の余命を宣告された小さな町工場の経営者・坪井宣政です。実際にモデルとなったご本人に会うことで、大泉さんは一気に役のイメージがつかめたのだそう。

「モデルとなった筒井宣政さんは、今なお生命力や強さにあふれた方。『ああ、この人ならやるな』と感じましたし、ご本人も『なせばなる!』と何度もおっしゃっていて。世代もありますかね、どこか僕の父親にも通じるものがある気がしました。うちの父も本当にエネルギッシュで、昔から休みの日も休まない。80歳を超えた今も、自分で雪かきしようとしますから、僕がいても。もう頼むからやめてくれ、世間の目もあるから頼ってくれって(笑)」

月川(翔)監督はそんな大泉さんが感じた「坪井宣政像」を尊重しながら撮影を進めてくれたといいます。

「ただ、それでもこの作品はドキュメンタリーではありません。実在の家族の想いは大切にしつつ、映画にはどうしてもエンターテインメントとしての表現も求められるし、その方が伝わるメッセージもあります。役者としては、ぜひ双方が満足するお芝居をしていきたいと思っていますが、その塩梅(あんばい)には常に悩みますね。月川監督の現場は、映画をつくることへの愛情にあふれた場所でした。ぜひ多くの方にこの作品を観ていただければと思っています」