『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』(著:影木栄貴/KADOKAWA)より

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国勢調査によると、日本人の生涯未婚率は2020年で男性約28%、女性で約18%。この「生涯未婚率」の基準とされているのが《50歳時の未婚率》です。そんな境界線の50歳で結婚を決めたのが、タレントDAIGOさんの姉で、内閣総理大臣の故竹下登氏の孫として知られる人気漫画家・影木栄貴さん。結婚は本当に必要なのか?全力で日々頑張り楽しんでいる女性が一度ならず何度も考える疑問に、影木さんが出した答えとは。50歳にして結婚、おひとり様をやめるまでの道のりを赤裸々に書いた初エッセイ本『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』から、影木さんが考える結婚適齢期、晩婚のメリット・デメリットを紹介します。

【漫画】旦那さんとワイ

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マイ適齢期で生きる

「自分は結婚したいけどできない」と思い込み、まったく結婚に向かって動きださない人がけっこういます。私に言わせると、それはもったいない。絶対結婚できないと言われていたこの私が結婚できたんですよ?

年齢でいうと、40代になったくらいから諦めてしまう人が多いんじゃないかな。確かにその年代以上だと、初婚の人が結婚できる確率は0.3%でしたっけ?

まわりはとっくに結婚していて、新たな出会いも少なくなっているころかと思います。でも、決して遅いと思わず、できることはなんでもやってみたほうがいい。

私もちゃんと行動を起こしたのは44歳。45歳になる年です。諦めず行動し続けた結果、50歳で結婚できたわけです。要するに、諦めたらそこで試合終了ですよってことです。

ただ、この年代は、結婚相手が見つからなかったときのことも考える必要があるのも確かです。パートナーを探すのと同時に、将来一緒に暮らせる《同志》も探したり、もちろん一人で暮らすことも想定しながら、とにかく多方向に同時進行しなくてはなりません。

正直、結婚できるかできないかって最後は運だと思うんですけど、その運もまずは動かなければ味方してはくれないわけです。

40、50代になると「結婚したい」って言うのもちょっと恥ずかしいっていう人がいるかもしれません。でもそれって誰が決めた? 誰に対して恥ずかしい?

私は、40歳以上の人が当たり前に婚活できる社会になったらいいなと思います。結婚したいなと思ったときに結婚相手を探すのが、少しも変ではない世の中になればいいなと。

そのためにも、「結婚するのは若い人」というありがちな概念をなくしていって、「結婚は何歳でしてもいい」がスタンダードになるといいなと。子どもが欲しい人は早いほうがいいけど、そうじゃないなら、結婚適齢期って存在しないと思うんです。結婚したいときがその人の結婚適齢期ってことで。

私は50歳で結婚して本当によかったと思っています。20代、30代で結婚していたら、当時アレだった私は、瞬殺で離婚してたんじゃないかな(笑)。つかそもそも若いときに結婚はできなかったよね。アレだから。

50歳になって心がちょっと丸くなったうえに、人生の折り返し地点を過ぎてゴールが見えてきたから、弟たちが結婚していなくなったから、両親が先にいなくなるって気づいたから、体調を崩したから―そういうのを全部体験して初めて、私は結婚という選択肢を本気で考えるようになった。もし何か一つでも欠けていたらそうならなかったかもしれない。そうなるまでに50年かかった。

つまり、私の適齢期は50歳だったということです。

意外にね、「50で結婚したよ」って言うと、「うそ、いいな、私も結婚できるかな?」って言う40代以上の女性が何人もいました。要するにみなさん、結婚できるならしたいけど、言い出せないだけなんですよ。

適齢期は人それぞれ。「もう結婚できる年じゃないし……」というセリフは捨てて、ちょっとでも結婚したいならレッツトライ!

いくつになっても「結婚したい」と言うことは、決して恥ずかしくありません。自分の適齢期は自分で決めましょう。堂々と宣言すると、まわりもけっこう本気で応えてくれますよ!

私も、50歳で結婚したことを堂々と発信していきます。それで「私もしてみようかな」と思う人が一人でもいたら本望です。


『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』(著:影木栄貴/KADOKAWA)

晩婚のメリット・デメリット

晩婚のいいところの一つは、離婚の可能性が少ないことだと思います。

20代、30代で結婚した人たちが、子育てが一段落したタイミングで熟年離婚をする話をよく耳にします。日常生活や子育てにおける価値観の不一致が、何十年も積もり積もっての離婚なのは明白です。

50代の結婚は、若いころよりそれぞれの価値観ができあがっていて、すり合わせが難しいと思いますが、お互いさまざまな失敗を乗り越えて経験を積んだ分、若いころよりも相手に対して寛容になっているところがあると思います。

しかも、何年か一緒にいるともう死が目前にやって来る。たとえ相手のことが嫌になっても、別れるよりも先に人生が終わってしまうので(笑)。

近年話題のセックスレスの問題も、おそらく晩婚にはあまり関係ありません。そもそも子作りをする必要がないわけですから、積極的にしたい人はしたい同士で、しなくてもかまわない人はかまわない同士で一緒になればいいと思います。

ちなみにうちはあまりしなくてもいいかな派。それに、先ほどと同じく、セックスレスに陥る前に、自然と性交渉がなくなる年齢になります(←)。

逆に、親が高齢で介護がわりと早く訪れるとか、相手と一緒にいられる余生が短いとか、デメリットも少なからずあります。

死が近いことが、いいことにも悪いことにも捉えられるのが、まさに晩婚のメリットとデメリット。しかしゴールが見えていると人は優しくなれる。まさに死が二人を分かつまで、幸せな結婚生活を送れたらいいなと思う今日このごろです。とりあえず金婚式やるなら100歳まで生きないといけないな(無理)。

余談ですが、ご祝儀が高額になることも晩婚のメリットです(笑)。

私が結婚するとき、従姉の幽木遊貴が10万円包んでくれました。「キミのときにワイは3万円しかあげてないよ?」と聞いたら、彼女は「あのときとは年齢と人数が違うのよ」と笑っていました。

その従姉が結婚したのは20代で私は独身。私が結婚したのは50代で従姉は既婚。年齢による相場に加え、ご祝儀を贈るほうも夫婦になっているので2人分となり、ここまで金額が跳ね上がることになったそうです。

親族だけではなく、友人たちも年齢的に収入が増えているので、平均値がかなり上がりました。ありがたいことです。

まあこれも、晩年になってやっとパートナーに巡り合えたご褒美かもしれませんね。

※本稿は、『50婚 影木、おひとり様やめるってよ』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。