白鳥氏が推奨するパリ五輪メンバー。オーバーエイジ3枠は守備的なポジションに使っている。 (C)SOCCER DIGEST

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 7月末にパリ・オリンピックが開幕する。4年に一度の大舞台に挑むメンバーはどんな顔ぶれになるか。ここでは、サッカーダイジェストTV編集長の白鳥和洋氏が推奨するU-23日本代表の18人を紹介する。

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 まず断っておきたいのが、予想ではなく“推奨”という点。当てにいくわけではないということだ。ただ、現実離れしすぎると面白くないので、リアルと理想をブレンドした陣容を考えてみたい。

 パリ五輪のグループリーグで日本が戦うのは、パラグアイ(南米予選1位)、マリ(23年のU-23アフリカ選手権で3位)、イスラエル(23年のU-21欧州選手権でベスト4)の3か国。強敵揃いで、3試合とも押し込まれる展開になったとしても不思議はない。

 そう考えると、グループリーグ突破の鍵はディフェンスと見る。ならばオーバーエイジ3枠は守備的なポジションで使うべきとの結論に行き着く。サッカーでは攻撃よりも守備組織を構築するほうが簡単で、となると短期間でチームにフィットさせやすいのはDFかボランチであるというのも、その結論の根拠となる。

 例えばCFの上田綺世(フェイエノールト)をオーバーエイジで呼んだとする。必然的に彼を中心としたチーム作りになるわけだが(そうしなければ呼ぶ意味がない)、そうなった場合に本大会までの短期間で連係を確立できるか疑問。やはり、攻撃陣はU-23アジアカップや6月の海外遠征に参戦した選手で固めるべきだ。
 
 GKは、6月の海外遠征に招集された鈴木彩艶(シント=トロイデン)と小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)で問題ない。どちらも才能豊かなタレントだが、一番手はクラブでの出場機会で小久保を上回る鈴木にした。

 システムはU-23アジアカップでもベースだった4-2-3-1で、4バックにオーバーエイジ枠を2つ使いたい。具体的には、CBに冨安健洋(アーセナル)、左サイドバックに伊藤洋輝(バイエルン)を配置できれば理想的だ。守備力に加え、ビルドアップ能力、流れを読むセンスが抜群の冨安は堅守を築くうえで重要な戦力。現実的に招集は難しいとはいえ、いずれにしても彼のような強力なCBをオーバーエイジで呼びたい。

 伊藤は左サイドバックとCBをこなすうえ、正確なロングフィードでカウンターの起点にもなれる。本大会で日本が勝ち上がるためのポイントのひとつが、速攻をどう仕掛けるか。その意味で伊藤のロングフィードは重要なファクターになるはずだ。冨安と同じく招集の可能性は低いものの、彼のポリバレント性、さらにパスセンスは大きな魅力に映る。

 冨安の相棒はセレッソ大阪で主力を張る西尾隆矢で、CBの控えは成長株の高井幸大(川崎フロンターレ)。右サイドバックは柏レイソルでコンスタントに出場している関根大輝をピックアッぴし、左右に対応可能な半田陸(ガンバ大阪)をバックアッパー的な位置付けに。伊藤をCBで起用するなら、半田を左サイドバックに回すこともできる。

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 残り10枠のうち、3枚がボランチ。名前を挙げると、U-23アジアカップで大会MVPの藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)、ゲームメーカーとしてもプレースキッカーとしても優秀な山本理仁(シント=トロイデン)、そしてオーバーエイジ枠3人目の遠藤航(リバプール)となる。中央部の守備を固めるうえで、遠藤のボール奪取力は大きなキーになる。

 遠藤の守備力を頼りにして、藤田(もしくは山本)には主に司令塔的な役割を託す。遠藤の振る舞いから藤田や山本が“A代表入りのヒント”を掴めれば、森保ジャパンの強化に繋がるだろうか。

 2列目のサイドは、FC町田ゼルビアで好調の平河悠、6月の海外遠征で存在感を示した斉藤光穀(スパルタ)と三戸舜介(スパルタ)。この3人はいずれも突破力に優れ、三戸については弾丸ミドルも特長だ。攻め手を欠いた状況下では三戸の中距離砲が突破口になるかもしれない。

 トップ下は荒木遼太郎と松木玖生のFC東京コンビ。コンディション次第では、荒木がゼロトップ、松木はトップ下と今季FC東京で採用されている配置で戦ってもいい。連係面を考えたら、“ゼロトップの荒木、トップ下の松木”がベストチョイスか。縦に早い攻撃は2人とも得意としており、大岩ジャパンが本大会でカウンターを重視するなら彼らはキーマンになれる存在だ。

 ちなみに、ボランチに怪我人が出た場合は松木をコンバートできる。ただ、松木はあくまでトップ下で起用したい。FC東京の試合で判断するかぎり、オフェンシブな仕事に専念させたほうが彼のセンスは光る。
 
 最後にCF。まず推したいのは、町田でいぶし銀の活躍を見せている藤尾翔太だ。右ウイングにも対応可能なポリバレント性は魅力で、献身的な仕事も厭わない。フォア・ザ・チームの精神を浸透させるうえでも重要で、さらに言えば平河とのコンビネーションもいい。とにかく使い勝手が良く、パリに連れて行きたいアタッカーだ。

 最後の1枠は迷いながらも細谷真大(柏レイソル)にした。今季J1リーグで15試合に出場してわずか1ゴールと、クラブで精彩を欠いているのは気掛かりだ。それでも、あのスピードと前線からの猛烈なプレッシングは大きな武器と判断して選出した。

 CFとトップ下のスタメンは現地に入ってからのコンディション次第なところもある。細谷と荒木を同時起用してもいいし、荒木と松木のコンビにこだわっているわけではない。

 さて、人選で迷ったのは東京ヴェルディの山田楓喜。“黄金の左足”はまさに宝で、FKの精度はピカイチだ。彼がいれば日本のセットプレーは相手の脅威になるはずで、その点でも選出したい人材だ。しかし、U-23アジアカップ以後、Jリーグでメンバー外の試合があるなど不安定で、。その現状では推しにくい。個人的にはとても期待しているタレントなのだが…。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)