私は妻の奴隷です…財力につられ「地主の娘」と結婚した男性の末路…楽しみは夜の生活だけ、毎日監視されている

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日本国内での賃金格差がひろがっている。

かつては「一億総中流」と言われ、どんな職業に就いても賃金差にそれほどの差がなかったが、現在は“学歴の格差”、“男女の格差”、“産業間での格差”などが社会問題化され、ニュースやメディアなどで取り上げられている。

厚生労働省が公表したデータによると、令和4年度の一般労働者の賃金は平均で約318万円(男性が350万円、女性が262万円)。

この数字は過去20年間でほぼ横ばいの推移だが、増税や物価の上昇、教育費の値上がりなどの影響によって手元に残る「使えるお金」がかつてよりも極端に減り、賃金を上げなければ生活もままならない人たちが増え続けている。

年収は頭打ち、副業したところで自身が納得できるだけの額ももらえない…そう考える20代、30代のなかには、冒険せずに現状維持しながらコツコツと地道に生活している人も多いという。

しかし、そんな生活から一変、結婚する相手の財力で「お金の苦労」から解放されるとしたら、そして、そんな相手が自分に好意を持っていたら心が揺れるのは当然の心理と言える。

住居も仕事も地元から離れたことがなく、狭いコミュニティのなかで完結する暮らしに満足していたマスダさん(仮名、39歳)は、同棲中の彼女がいたものの、別の女性から猛アタックされ結婚した男性だ。しかしその妻と結婚後に思わぬ地獄が待っていたと話す。

お金につられて妻を選んだ

「『私と結婚したらお金に困らないと思うけど、どう?』と逆プロポーズされたんです。その時に実家が地元で有名な飲食店を経営していて、さらに土地や不動産も所有していると明かされました。

それを聞いて心がぐらつきました。初めて会った飲み会から私にべた惚れでグイグイ引っ張ってもらえそうだし、しかも一生お金の心配をすることもない。そんな人生を送るのも悪くないなと。

容姿も性格も同棲中の彼女の方が上でしたが、お金を天秤にかけると妻のほうに軍配があがりました。「結婚と恋愛は別」ってよく聞くし、それがコレかと妻を選んだんです」

もちろん同棲中の彼女は妻の存在は知らない。マスダさんから突然別れを切り出されパニックになった彼女は精神的に不安定になっていった。

そもそも狭いコミュニティ。マスダさんの噂は周囲にあっと言う間に広がり、共有の友人らからは「ありえない」「最低」と大バッシングを受ける。

加えてこれまで良好だった人間関係もギクシャクしていった。誰一人としてマスダさんの結婚を喜ぶ人はおらず、そんな状況に耐えきれずに地元の仲間や学生時代の友人との繋がりをすべて絶って“妻のホーム”へと逃げ出してしまった。

当然、結婚式でもマスダさん側には親族以外の参列はいない。一方、ひとり娘の妻側には60人ほどの参列者がずらりと並んでいた。そんな状況に気まずさを感じたが「この先お金に困らない人生が待っている」となんとか平静を保った。

「不自由のない生活」だけれども

義両親はマスダさんの婿入りを希望したが、妻はこれに猛反発し渋々ながら了承した。最終的に折れたものの義父も義母もまったく納得がいってない様子でかなり気まずい空気だったという。

「婿入り騒動もそうですが、婚約した時から義両親は何かと口を出してきますが、私には発言権がない…というより、発言したらすごく睨まれます。面倒を避けるために私も黙るようになりました。

義両親と妻の間でコトが進められて、すべて事後報告です。両親からは『大変だと思うけど、自分の決めた道だから』と言われてますし、こんなことでへこたれてはいけない!と自分を奮い立たせました」

お金につられて妻と結婚。「不自由のない生活ができる」と言われ、優雅な暮らしを想像していたマスダさんだが、現実はそう甘くなかった。

「とにかく義両親から事細かな干渉が入るんです。新居や車に関しても『車は走ればいいね』『若いうちの住まいは贅沢しなくていい』と言われて、あてがわれた車は5ナンバーの中古のファミリーカー。住まいも義実家の敷地内にある古い小さな家です。

これらにかかる費用はすべて義実家持ちで、私たちには一切の負担はないものの想像していた“お金に困らない”とはかけ離れていました。妻も『そのうち土地が空くし、家は建てないでここでいいよね?』と義両親の肩を持つし。

仕事も妻と義両親の“口出し”で退職して、いまは義実家が経営しているレストランで働いてます」

初めての接客業に慣れず、オペレーションであたふたしていると、客である妻側の人間から「とろい」と罵られ、オーダー確認をしに行くと「そんなにキッチリしなくても知り合いだから大丈夫」と言われ、板挟み状態にとてもやりにくい環境だという。

「気分転換に飲みに行っても、居酒屋は知り合いばかり。うっかり口を滑らせれば絶対に義両親と妻に伝わるので愚痴すらこぼせない。気が休まりませんよ。

同じ狭いコミュニティのなかでも、環境や立場が変わるとまるで天国と地獄のように違うのかと、鬱っぽい症状に悩まされたこともありました。

妻を地元以外のレストランに誘っても『なんで? 地元でいいじゃない。個室使えばいいよ』と言われて即却下。義両親のいいなりで、出会ったころの積極的な妻とはまるで別人です。

話も友人や身内の噂話ばかりで、地元以外に興味もない感じでつまらない。手土産も地元の和菓子屋を使えだの、視野の狭さにうんざりです」

いつも行動を監視されている

もともとマスダさんも地元の狭いコミュニティで暮らし、それに満足していたもののたまには遠出をしたり、旅行に出かけたりと地元を離れることもあった。

それが今では衣食住に加え、遊びも気晴らしもすべて妻の息のかかったお店や場所ばかりを望まれ、それに逆らえない。これまで何もかもを地元に限定した人生ではなかっただけに妻の”地元依存”に辟易としているいう。

「せめてプライベートは“妻のホーム”を離れたいと思って、車を走らせたこともあります。そうすると連絡が入り『今どこにいるの? 居酒屋○○で飲んでるから来てね』と商工会の青年メンバーから呼びつけられて戻ることもしばしば。新参者なので断れません。断ったことが義両親や妻にバレると『顔に泥を塗られた』『自覚が足りない』と怒りだすので怖くて従うしかないんです」

マスダさんはコロナ禍の間、自分の実家に帰ることすら禁じられ、行動も制限されていたそうだ。妻に愚痴をこぼしても、「仕方がないよ」「皆こんな感じで頑張ってるから」と取り合ってくれない。

「義両親は子どもに関しても、『結婚して1年目で妊娠が理想』とか『跡取りが欲しいから男の子が良いね』と作るタイミングや性別、何人がよいかまで口出しされて…。余計なお世話ですよ。

妻も義両親の言葉に積極的に子作りに励んだり、産み分けゼリーと呼ばれるものに手を出したり。言いなりです。出会った時の妻はもういません」

妻と義両親、さらには地元に完全に取り込まれ、憤懣やるかたない状況のマスダさんは、住まいも仕事も暮らしもすべて義実家に握られている。離婚はしたくても簡単にはできない。

「離婚して自分の地元に帰っても居場所がありません。元彼女との騒動で仲のよかった友人とも関係が切れてしまっているし、今更帰っても誰も相手にしてくれないと思います。転職したくても妻の実家の手伝いをしているだけでなんのキャリアも積んでないので厳しい。

それに義実家からの家や車の援助もすべて妻の名義です。私自身の収入は低いので貯金もできません。逃げ出したくても逃げ出せない」

夫婦のセックス事情まで筒抜け

抑圧された日々の中で唯一の楽しみは、子どもが寝た後のセックスだという。人生を牛耳られ、地元がすべての暮らしのなかで、セックスだけが二人の関係を繋いでいる。

「敷地内同居ですが自宅にいさえすれば義両親の監視はほとんどありません。週3回以上のセックスでは一度も避妊をしていません。子どもが出来ても義両親がお金の援助をするので心配もしてません。

でも妻が僕らのセックス内容を地元の同年代の女友達にベラベラ話しているのを聞いてしまったんです。最初はすごく恥ずかしく、プライバシーを晒されて憤りましたが、ここでは「セックスをしている=仲良し夫婦=円満で幸せな家族」と認定されて生きやすいことに気付いたんです。

たまにからかわれることはありますが、それで済むなら今はいいかなと思うようになりました」

結婚して8年が経つがマスダさんの立場は弱く、相変わらず発言権はないそうだ。現在も変わらない力関係に「義両親が亡くなるまで、奴隷扱いは続きますよ」と笑いながら話していた。

地域の繋がりを大切にして生きている人は多く、とても素敵なことだと思う。しかし、狭いコミュニティに馴染んでいくことは想像以上に大変な事である。

今回のマスダさんのケースのように目先のお金や安易な考えで飛び込んでしまうと、理想と現実のギャップに驚いてしまうかもしれない。人生の大切なことだからこそ慎重に選択してほしい。

吉田みくさんの連載<「地主の娘」と浮気した男性が、その後結婚して「地獄をみた」ワケ…「最初はちょっとした遊びのつもりでした」>はこちらからどうぞ。

「地主の娘」と浮気した男性が、その後結婚して「地獄をみた」ワケ…「最初はちょっとした遊びのつもりでした」