錦織一清、大阪芸術大学の学生に特別講義『私の演出論』を実施、デビュー前の『夜のヒットスタジオ』出演、つかこうへいとの思い出語る
9月5日(木)~9月17日(火)に大阪松竹座にて上演される舞台『カルメン故郷に帰る』。同作の演出を手掛ける錦織一清が『私の演出論』と題し、6月14日(金)に大阪芸術大学にて講義を行った。オフィシャルレポートが到着したので紹介する。
6月14日(金)、大阪芸術大学にて、大阪芸術大学 舞台芸術部 舞台芸術学科の特別講師として錦織一清が登壇し、『私の演出論』と題した講義を実施した。
約120名を収容する大教室を埋めつくほどの演技・演出の道を志す学生たちに迎えられた錦織一清は、芸能界入りのきっかけや演出家としての心がけなどを語り、講義の後半には、3月に三越劇場と南座で上演された、錦織一清演出・出演の『あゝ同期の桜』を題材に学生の皆さんと実際に立ち稽古を行った。
Part1の座学の初めには、「夢がいっぱい溢れているような場所に来たんだなと嬉しく思います。この年になると寝てるときに見る夢しか見なくなりますから」とユーモアたっぷりのご挨拶で教室の空気を和ませた。1977年に入所してから今日までの芸能活動を振り返り、自分の人生の分岐点で重要な人に出会えてきたおかげで、今の自分がある語る錦織。レコードを出していないとデビューが認められない時代に、デビュー前にも関わらず『夜のヒットスタジオ』に出演させてくれたフジテレビの疋田拓プロデューサーや、30代に差し掛かった時に出会ったつかこうへいとの思い出を語った。「つかさんは芝居をつけずに、テーラーメイドのように一人一人に合わせてお芝居を作ってくれた。僕もノープランを心がけ演者の良さを出したい」と錦織流の演出論を展開。また、今回の講義では、ミュージカル『WEST SIDE STORY』で錦織がリフ役を務めた際に翻訳・訳詞を行っていた勝田安彦も交えてトークを展開。踊りとセリフを合わせなくてはいけないミュージカルならではの訳詞の難しさや、踊りと感情表現のためにある振付の違いなどを語り、表現の幅の広さに学生たちは終始興味深々だった。質疑応答コーナーでは、学生からの質問で溢れかえり、ありのままの自分で舞台に立つ方法は? との質問には「自分の情緒が保てているか確認するためには鼻で息が出来ているか確認すること」 と真剣にアドバイス。最後に学生代表からサプライズプレゼントとして「仮面舞踏会」のダンスが披露さ れるとノリノリで一緒に踊る場面も見られた。
Part2のワークショップでは、実際に『あゝ同期の桜』に出演していた松竹新喜劇の渋谷天笑も参加。渋谷がシーンの意図を説明したところから立ち稽古がスタートし、演出家錦織を前に緊張しながらも、本気で立ち稽古に挑む学生たちの姿が見られた。演技がのっている場面では静かに学生たちの演技を見守り、せりふ回しに悩んでいる様子がみられると、即座に同じ目線に立って丁寧にアドバイス。がちがちに演出を固めず、演者の“その人らしさ”を大事にする演出家としての心がけがみてとれた。「大学の教室に入るのなんて初めてで緊張していましたが、興味を持った時の若い人の目の輝きを目の当たりにして、逆に僕が学ばせてもらったような気がします」と感謝の言葉と述べ、学生からは大きな拍手が送られた。
錦織は今回のワークショップにも参加した渋谷天笑をはじめとする松竹新喜劇の若手劇団員が出演する『TENSHO座 Vol.13 熱海殺人事件』の演出をつとめる(DAIHATSU 心斎橋角座、6月25日(火)~6月30日(日)。また8月から新橋演舞場を皮切りに各地で上演する『カルメン故郷に帰る』の演出もつとめ、演出家としての幅を広げている。(【東京】新橋演舞場 8月17日(土)~8月25日(日)、【仙台】電力ホール 8月27日(火)、【名古屋】御園座 8月31日(土)、9月1日(日)、【大阪】大阪松竹座 9月5日(木)~9月17日(火)、【鹿児島】宝山ホール 9月19日(木)、【熊本】市民会館シアーズホーム 夢ホール 9月21日(土))。
『カルメン故郷に帰る』のチケットはイープラスにて販売中。