トヨタ”新型”「スープラ」まもなく登場!? “中身”はSUVと共有も? デビュー6年目「本格スポーツカー」どうなるのか
デビュー6年目に突入したGRスープラの次期モデルはどうなるのか
2023年10月の第1回「ジャパンモビリティショー2023(JMS2023)」でトヨタが初公開したスポーツカータイプのコンセプトカー「FT-Se」ですが、筆者(吉川賢一)はこれが「未来のGRスープラ」を示すものではないか、とにらんでいます。
2019年に登場した現行「スープラ(GRスープラ)」はデビュー6年目に突入していますが、果たして次期型はどのようなクルマになるのでしょうか。
JMS2023に登場したFT-Seは、BEV(バッテリーEV:電気自動車)の2人乗りスポーツカーコンセプトです。
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トヨタによると、FT-Seのコンセプトは「TOYOTA GAZOO Racingが取り組む、モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりの思想のもと、カーボンニュートラル時代におけるスポーツカーの選択肢のひとつとして提案する、高性能スポーツBEVモデル」だと説明します。
ボディサイズは、全長4380mm×全幅1895mm×全高1220mm、ホイールベース2650mm。
現行モデルのGRスープラは全長4380mm×全幅1865mm×全高1295mm、ホイールベース2470mmで、比べてみると長さは同じなものの、全幅は30mm広く全高は75mmも低いことから、フォルムは大きく異なります。
この違いは、エンジンよりも小さな電動パワートレイン専用プラットフォームだからこそなし得たものでしょう。
前後のオーバーハングが短縮されており、ロングホイールベースによって高速走行時の直進安定性は向上すると思われますし、低いフロントフードは空気抵抗低減にも効果的です。
またインテリアも先進的で、次世代のコクピットの雰囲気があります。
モーター出力などのスペックは非公開ですが、前後に高出力モーターを搭載した4WDであることは明かされています。
ちなみにタイヤはフロント265/35R20、リア295/35R20サイズのミシュラン製ハイグリップタイヤを装着しており、サーキット走行に耐えうる性能が想定されているようです。
BEVの高性能スポーツカーやGTカーといえば、ポルシェ「タイカン」やアウディ「e-tron GT」など、海外メーカーではすでにいくつかのモデルの市販化がされてきています。
つまりデザインがカッコ良く、BEVならではの「加速がもの凄く良い」といった特徴はどれも共通で、それだけではFT-Seが特別に珍しいという訳ではありません。
ただこのFT-Seには、海外のBEVスポーツカーにはない、ある特徴があります。
それは、JMS2023で同時発表されたSUVタイプのコンセプトカー「FT-3e」と主要なコンポーネントを共用したことにあります。
従来は、SUVとスポーツカーをひとつのプラットフォームで作るのはまず不可能でしたが、トヨタの次世代EVプラットフォームでは、似ても似つかない2台を作り分けるという試みを入れてきたのです。
筆者はここに注目すべきポイントがあると考えます。
次期型スープラは「SUV」と共有プラットフォームになる!?
トヨタは、2002年に絶版となって以来消滅していたスープラを復活させるため、ドイツのBMWと手を組み共同開発をする方針をとりました。
その最大の理由は、開発費の削減です。
量販車とは違い、数を売ることが難しい2ドアスポーツカーに膨大な開発費を投入するのは、流石のトヨタも避けたいところ。こうしたコスト削減の狙いは、BMWも同じ想いだったはずです。
2019年、17年ぶりのスープラ復活劇のなかで、トヨタは「Supra is back!」と声高に叫びました。
復活を待っていたファンは大いに熱狂しましたが、そのGRスープラのプラットフォームやエンジンなどの主要コンポーネントは、すべてBMWが開発した車両がベースでした。
心の中で、純トヨタ製のスポーツカーであってほしかったと思った人も少なくなかったでしょう。
本当の意味で、純トヨタ製のスープラが登場するうえでは、このFT-Seベースの製品化は大きなチャンスといえます。
量販車であるSUVと主要なコンポーネントを共通化し開発費や製造コストも抑え、スポーツカーをより現実的な価格に落とし込める可能性があるからです。
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トヨタは2024年5月28日にスバルやマツダと共同で行った「マルチパスウェイワークショップ」において、新型の1.5リッターの自然吸気とターボエンジン、2リッターのターボエンジンを発表しました。
この発表で、エンジン主導であった従来のトヨタハイブリッドシステム(THS II)に対し、今後登場する次期型トヨタハイブリッドシステムでは、電動を主体ととらえる「設計思想の変化」が明らかになりました。
電動走行率の多いプラグインハイブリッド車に近い存在になるシナリオが考えられますが、このうちの2リッターターボエンジンと電動ユニットを採用して、BEVであるFT-Seの考え方を盛り込んだ姿が“次期スープラ”となるのではないかと筆者は考えています。
数年後、本当の意味で“Supra is back!”となるのか、非常に楽しみです。