競技人口「145分の1」でも…練習環境は抜群 WBCで話題、“野球マイナー国”の選手育成
昨年のWBCで話題沸騰…「楽しそうに」白球追うチェコの少年少女
日本ほど野球が普及していない国にも、楽しみながら白球を追う子どもたちがいる。野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が6日、全国の少年野球チームの運営方針や練習メニューを紹介するオンラインイベント「少年野球フェスティバル」を開催。国内外のチームの多種多様な練習方針が、映像とともに紹介された。
5夜連続で開催している「少年野球フェスティバル」の4日目は、2度の全国大会出場を誇る埼玉・吉川ウイングスや、今年8月の高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントに初出場する京都・西城陽MVクラブなど10チームが登場。走り込みやキャッチボール、リズムトレーニングなど、各チームが目的を持って重視する練習が明らかになった。
そんな中、海外からはチェコ共和国の野球・ソフトボールクラブ「イーグルス・プラハ」が参加。チェコリーグ最高峰のエクストラリーガに所属する強豪チームで、5歳以下から大人まで幅広い年代の選手が在籍しているが、今回は小学生年代が参加するサマーキャンプの様子が紹介された。
チェコの国技はアイスホッケーで、野球の競技人口は約7000人。100万人超ともいわれる日本(101万7584人、2022年日本野球協議会調査)と比較すると、まだまだマイナースポーツだが、昨年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場して日本とも対戦し注目を集めた。代表選手の多くが野球を本職としていないアマチュア選手であることも話題を呼び、イーグルス・プラハからも3選手が選出された。
映像では、性別関係なく笑顔で打撃練習や守備練習、トレーニングに取り組む子どもたちの姿が映し出された。イーグルス・プラハではコーチだけでなくチームに所属する18歳以上の選手も指導を担当し、若い世代の育成を進めている。充実した設備で指導者が専門的な動作を教えるシーンもあり、ゲストコメンテーターとして出演した米国、カナダなど海外でのプレー経験を持つ野球指導者・長坂秀樹さんは、「ヨーロッパではプレーしたことがないので興味があった。環境が良くて、人数も多くて、楽しそうに練習している」と印象を口にした。
練習拠点である専用球場にはナイター設備が備わっており、毎年初夏に国際大会「プラハベースボールウイーク」を開催している。今年7月の大会には侍ジャパン大学日本代表も参加予定。球場が野球を通じた国際交流の場にもなっている。
平日にナイター練習…国内でも重要になる“環境づくり”
今回登場した国内のチームでは、滋賀・湖東マングースが平日に選手主体のナイター練習を行う様子が取り上げられた。毎週水曜日は球場を借り、「子どもたちに楽しんで練習してほしい」という指導者の思いから、選手の意見を尊重した練習メニューを組んでいるという。
長坂さんとともにゲストコメンテーターを務めた滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督は、「平日に練習できる少年野球チームは滋賀県内では少ない。素晴らしい環境をつくっていると思う」と話した。国内外問わず、子どもが楽しみながら野球に取り組める練習環境をつくることは、少年野球における重要な課題の1つだろう。(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)