「白内障」の放置リスクを医師が解説! 初期症状がなく気づいたら“失明寸前”!?
「白内障」を放置するリスクはご存じですか? 今回は、白内障が進行するとどうなるのか、どんな危険が隠れているのかについて「水天宮藤田眼科」の藤田先生に解説していただきました。
※この記事はMedical DOCにて【「白内障手術」のタイミングを眼科医が解説 症状がどの程度進んだら手術を受けるべき?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
藤田 浩司(水天宮藤田眼科)
獨協医科大学卒業。東京医科大学眼科入局。その後、船橋市立医療センター眼科医長、日本通運健康保険組合東京病院眼科部長などを務める。2000年、東京都中央区に「水天宮藤田眼科」を開院。医学博士。日本眼科学会認定眼科専門医、公益社団法人日本眼科医会代議員。日本眼科手術学会、日本白内障学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本コンタクトレンズ学会、日本眼感染症学会。
編集部
白内障を放置すると、どのようなリスクがあるのですか?
藤田先生
放置すると視力がどんどん低下してしまうほか、緑内障を発症するリスクも高まります。そのほか、転倒による骨折のリスクが高まったり、見えづらさから身体活動性が低下して高血圧、動脈硬化、高脂血症、肥満などを招いたりするリスクもあるとされています。
編集部
どのように進行していくのですか?
藤田先生
進行速度には個人差がありますが、日本では50歳代で37~54%、60歳代で66~83%、70歳代で84~97%、80歳以上では100%発症するとされています(※)。しかし、初期の頃には濁りが生じる部位によってはあまり自覚症状がなく、発症してから長期間、変化がみられない人もいます。その一方、短期間で急速に悪化する人もいます。※日本白内障学会「白内障自己診断テスト」
http://www.jscr.net/ippan/page-010.html
編集部
濁りが生じる部位によって、自覚症状が異なるのですか?
藤田先生
初期の頃、周辺部に限定して濁りがある場合は自覚症状がほとんど出ません。反対に、中心に濁りが出ると、濁りがわずかでも見づらさを感じるでしょう。
編集部
放置すると、失明のリスクもあるのですか?
藤田先生
いいえ。日本は医療水準が高いこともあり、失明率はかなり低いと言われています。しかし、放置するとやがて水晶体が溶け出し、「水晶体融解性ぶどう膜炎」を発症することもあります。
編集部
水晶体融解性ぶどう膜炎になると、どうなるのですか?
藤田先生
ほぼ必ず、緑内障を併発します。また、水晶体融解性ぶどう膜炎を発症すると白内障の手術そのものの難易度が増して、症状が進行している場合には手術時間も長くなります。
編集部
なるほど。それでは放置せず、できるだけ早いうちに手術をした方がいいということですね。
藤田先生
そのとおりです。中等度までの白内障であれば、それほど手術の難易度は高くなく、一般的な術式で対応できます。しかし、それを超えると難易度が上がり、術後のリスクも上がります。白内障の手術は近年、術式が著しく変化しており、安全性が高く、日帰りでも手術を受けられるようになりました。根治するには手術が唯一の手段ですから、早期発見・早期治療をおすすめします。
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