この記事をまとめると

■富士スピードウェイにてスーパー耐久シリーズ第2戦富士24時間レースが開催された

■富士24時間レースでは多彩な車種ラインアップのマシンだけでなくドライバーにも注目

■近藤真彦選手が16年ぶりにドライバーとして復帰した

普段は監督のマッチもラトバラもこの日だけはドライバー

 スーパー耐久シリーズ第2戦、富士24時間レースが5月24〜26日、富士スピードウェイで開催。今年もST-Qクラスに集う各自動車メーカーの開発車両を筆頭に、ST-Xクラスに集うFIA-GT3車両、ST-ZクラスのFIA-GT4車両、さらにST-1クラスからST-5クラスの国内規定モデルまで、さまざまなマシンが集結するなど、多彩な車種ラインアップを誇る大会となったが、ドライバーの顔ぶれも“特大級”で、まさにサプライズ的な面々がステアリングを握っていた。

 なかでも、もっとも注目を集めていたのが、ORC ROOKIE Racingの32号車「ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept」で富士24時間レースに初挑戦した近藤真彦選手にほかならない。

 1984年の富士フレッシュマンでレースにデビューした近藤選手は、F3、F3000、フォーミュラ・ニッポンで活躍したほか、全日本GT選手権やル・マン24時間レースでも活躍。ここ数年は自身が率いるKONDO RACINGのチーム監督に専念するほか、2023年にはJRP(日本レースプロモーション)の会長に就任するなどのマネジメントを行なっていたのだが、MORIZO選手こと豊田章男氏の提案により、富士24時間レースに参戦。2008年の十勝24時間レース以来、16年ぶりにドライバーとしてレースシーンに復帰したのである。

 これと同様に同チームにはかつてWRCでドライバーとして活躍し、現在はトヨタのワークスチーム、TOYOTA GAZOO Racing WRTの監督を務めるヤリ-マティ・ラトバラ選手も富士24時間レースにエントリー。

 2022年の大会で富士24時間レースにデビューしたラトバラ選手は3年目の挑戦となるが、ほかのカテゴリーからビッグネームが参戦してくることも富士24時間ならではの風物詩といえるだろう。

 近藤選手、ラトバラ選手が加わった同チームの32号車はABSのトラブルに祟られながらも、最終的にはST-Qクラス8位で完走を果たした。

引退したドライバーの姿も見られるのが富士24時間

 また、引退したドライバーのレース復帰といえば、2009年でフォーミュラ・ニッポン、2023年にスーパーGTを引退した立川祐路選手も2024年のスーパー耐久シリーズに参戦しており、この富士24時間にも2W Zoomies x GR Garage山口・周南の59号車「2W Yamaguchi GR Supra GT4 EVO」で富士24時間レースに初挑戦。しかも、タイの有力ドライバーとコラボレーションしている同チームにとっても富士24時間レースは初めてのチャレンジとなったが、ST-Zクラスで8位完走を果たした。

 これに加えて、F3やF3000、さらに全日本ツーリングカー選手権や全日本GT選手権で活躍したほか、2012年からはニュルブルクリンク24時間レースにもチャレンジしていた影山正彦選手も復帰組のひとりといえる。

 ここ数年はスーパーGTのGT300クラスに参戦するK-tunes Racingで監督を務めているが、2024年はSHADE RACINGの884号車「シェイドレーシングGT86」でスーパー耐久に参戦しており、この富士24時間レースにもAドライバーとして参戦。激しいバトルの末、見事、ST-4クラスで勝利を飾った。

 一方、ほかのカテゴリーからの参戦といえば、全日本ラリー選手権で活躍している平川真子選手もそのひとりだと言える。平川選手はWECで活躍する平川亮選手の妹で、もともとはレーシングカート、KYOJO CUPなどサーキットを舞台にしたレースシーンで活躍していたが、現在はトヨタ・ヤリスを武器に全日本ラリー選手権のJN5クラスで活躍している。

 そんな平川真子選手が名門チーム、Hitotsuyama Racingの21号車「Hitotsuyama Mercedes-AMG GT4」で富士24時間レースにデビュー。残念ながら平川選手は予選のみの走行となったようだが、それでも同チームはST-Zクラスで7位完走を果たした。

 このように富士24時間レースはマシンだけでなく、ドライバーの顔ぶれも多彩な一戦で、まさに年に一度の祭典となっているのである。