AIの台頭によって検索エンジンからサイトへのトラフィックが2026年までに25%減少すると調査会社が予測
Googleは2024年5月22日に、Search Generative Experience(SGE)と呼ばれる、AIによる検索結果の概要を表示する機能を正式リリースし、アメリカ在住の全ユーザーに提供することを発表しました。さらにSGEは2024年末までに10億人のユーザーに展開される見込みですが、技術調査会社のGartnerは「生成AIの台頭によって検索エンジンからサイトへのトラフィックが2026年までに約25%減少する」と予測しています。
https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2024-02-19-gartner-predicts-search-engine-volume-will-drop-25-percent-by-2026-due-to-ai-chatbots-and-other-virtual-agents
As Google AI search rolls out to more people, websites brace for carnage - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2024/05/13/google-ai-search-io-sge/
Google’s broken link to the web
https://www.platformer.news/google-io-ai-search-sundar-pichai/
Googleが2024年5月22日にリリースしたSGEは、ユーザーからの質問についてAIがインターネット上の情報をまとめ、自然な回答を提示するというもので、2023年10月に発表、2024年3月からアメリカの一部のユーザーを対象にテストが実施されていました。
Google検索バーからAI画像を生成できる「Search Generative Experience」が登場 - GIGAZINE
Googleの検索部門の責任者であるリズ・リード氏は「人間の時間は大変貴重です。もしもテクノロジーによって、人々が質問に対する答えを得るのを助け、その作業をもっと効率化する機会があるのなら、人々はその機会を追い求めるはずです」と述べていました。
一方で、ウェブサイトを配信するパブリッシャーはSGEの展開に危機感を示しています。
これまでパブリッシャーは、検索クエリの下に表示されるリンクをユーザーがクリックすることでトラフィックを獲得してきました。しかし、SGEの登場によってこれらのサイトから得られた要約がユーザーに表示され、トラフィックが大きく減少してしまうとのこと。実際にGartnerは「AIチャットボットやその他の仮想エージェントの台頭により、検索エンジンからサイトへのトラフィックが2026年までに約25%減少する」と予測。また、コンサルタント会社のSiege Mediaのロス・ハジェンズCEOは「パブリッシャーは少なくとも10〜20%のトラフィック減少が発生するほか、一部のパブリッシャーにはそれ以上のトラフィック減少が記録される可能性があります」と述べています。
さらに広告サービスを提供するRaptiveは、SGEの提供によってクリエイター市場に約20億ドル(約3100億円)の損失がもたらされる可能性があるだけでなく、一部のウェブサイトではトラフィックの最大3分の2が失われる可能性を指摘しています。
Gartnerのアナリティクス担当バイスプレジデントであるアラン・アンティン氏は「生成AIによるソリューションは、従来の検索エンジンで実行されていたユーザークエリに取って代わり、代替の回答エンジンになりつつあります。これによって企業はマーケティング戦略を再考することを余儀なくされ、生成AIが企業のあらゆる側面に組み込まれるようになるでしょう」との展望を示しました。
Googleのスンダー・ピチャイCEOは、AIを活用した検索能力を強調するとともに、これまでGoogleがサポートしてきたエコシステムに対する影響は少ないと語っています。ピチャイ氏は海外メディアのCNBCに対し「SGEがGoogleのこれまでのビジネスやパブリッシャーのビジネスを混乱させるとは考えていません」「SGEの使用量増加に伴って、サイトへのトラフィックも増加傾向にあります。私たちはサイトへのトラフィックを増加させる取り組みを優先しています」と述べました。