甲子園球場

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プロ野球阪神の前監督の矢野燿大氏(55)が2024年5月20日に公開された下柳剛氏(56)のユーチューブ動画にゲスト出演し、阪神の捕手併用について私見を語った。

阪神・岡田彰布監督(66)は梅野隆太郎捕手(32)と坂本誠志郎捕手(30)を併用して起用している。梅野は20日までに25試合に出場して打率.154、4打点、本塁打ゼロで、坂本は23試合でマスクをかぶり打率.200、4打点、本塁打ゼロ。

「初めから固定することがいいことだとは全く思っていない」

19年シーズンから22年シーズンまでの4年間、監督として阪神の指揮を執った矢野氏。現役時代、阪神の正捕手としてプレーしたことを踏まえ、今シーズンの捕手併用に関して持論を展開した。

矢野氏は「併用がアカンみたいな風潮があるのがおかしいと思っている」と切り出し、ここ最近、セ・パ両リーグにおいて捕手併用が主流となっていることを指摘した。

「今、セ・リーグ、パ・リーグで併用していないチームがないくらい。1本立ち、ほんまに侍(ジャパン)の中のエースキャッチャーとかになるぐらいやったら、固定されるのかなと思う。結果的に、打順も出ているメンバーも固定になる。初めから固定することがいいことだとは全く思っていない」

さらに自身の監督時代の捕手起用法を振り返りながら、こう続けた。

「俺が(監督を)やっている時も梅野と坂本という軸がいて、お互いにタイプが違うキャッチャー。監督してはレギュラー、エースキャッチャーがケガとかでいなくなったときに、急にチームが落ちる状態にはしておきたくはない。2番手キャッチャーをしっかり育てておきたいというのがどこもある。そういうところでは、タイプが似てたら、逆に使いにくい。タイプが違うからこそ、俺のときは坂本を使って2番手キャッチャーとしてもっと力をつけさすということもあった。俺は併用で別にええんちゃうかなと思う」

下柳氏「俺も併用は全然」

このような矢野氏の意見にMCの下柳氏が同調。梅野と坂本の特徴を具体的に挙げ、捕手併用の利点を次のように説明した。

「それが見事にはまってたから、梅野がケガした後も、坂本がある程度の経験を積ませてもらっていたから、厳しいところでやれてきた。俺も併用は全然。梅野だったらワンバン止めるのが坂本よりうまいとなったら、フォークボールの多いピッチャーとか、元気のいい若手に『思い切ってワンバンこいよ』みたいなキャッチャーがいてもいい。坂本みたいにインサイドワークでやるようなタイプとか2ついていいと思う」

監督時代から捕手を併用して起用してきた矢野氏。現役時代、自身と併用して他の選手が起用されることで「成長」できたという。

「俺も星野(仙一・阪神監督)さん時代、シモ(下柳剛)が野口(寿浩)と毎週日曜にバッテリーを組むだけでもすごいプレッシャーを感じるわけよ。活躍されたら『俺でれへんのちゃうかな』と。いい意味で、刺激を与えるのも必要だと思う。レギュラーを安心させないという。(能力が)スバ抜けていたらそれでいいけど、そこまでいっていない段階ならばそうやって刺激を与えるというのも、監督とかはそういう意図も俺もあった」

岡田監督就任1年目の23年シーズンは18年ぶりのリーグ優勝。そして、オリックスとの日本シリーズを制して38年ぶりに日本一を達成。今シーズンは20日時点で貯金「6」でリーグ首位に立っている。