2024年5月7日に開催されたAppleの配信イベントで、「Apple史上最薄」のM4搭載iPad Proが発表されました。GIGAZINEでもレビューしたこの新型iPad Proを、ガジェット修理業者のiFixitがバラバラに分解したところ、これまでよりもバッテリー交換が容易な設計に変更されていることが明らかになっています。

Replacing the OLED iPad Pro’s battery is easier than ever - The Verge

https://www.theverge.com/2024/5/18/24159722/ifixit-teardown-apple-oled-ipad-pro-13-inch

iFixit teardown reveals big change for the M4 iPad Pro's repairability - 9to5Mac

https://9to5mac.com/2024/05/18/ipad-pro-battery-teardown-video/

iPad Pro 13" Teardown and Apple Pencil Pro Destruction - YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=V8oN2CjJeoE

新しく登場した13インチiPad Proのバッテリー容量は、前モデルの40.33Whから微減して38.99Whになっています。ただし、新型iPad Proが搭載しているM4チップの電力効率の高さと放熱性能の高さにより、新型iPad Proは前モデルと同等のバッテリー寿命を実現しているそうです。

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モバイルデバイスのバッテリーは消耗品のため、長く使えば必然的に新しいものに交換する必要が出てくるものです。新型iPad Proをバラバラに分解したiFixitのShahram Mokhtari氏は、M4搭載iPad Proについて「修理時間を何時間も節約できる可能性がある」と述べ、内部設計に変更が加えられ、バッテリーが交換しやすくなったと言及しています。

M4搭載iPad Proを分解するにはまず、本体を温めて筐体とタンデムOLEDスクリーンを固定する接着剤を溶かす必要があります。このタンデムOLEDスクリーンを取り外すと、即座にバッテリーを交換することが可能となっているため、Mokhtari氏は「デバイス内の主要コンポーネントをすべて取り外さなくてもバッテリーを取り外せるという事実は、修理性の面で依然として大きな利点です。前世代に比べて大幅な改善です」と述べました。なお、前世代のiPad Proではすべての主要コンポーネントを取り外さなければバッテリーを交換することはできない構造になっています。

以下がM4搭載iPad ProのタンデムOLEDスクリーンを取り外した状態。中央の黒色カバーの下にロジックボードがあり、その左右に大きなバッテリーが2つ収納されています。



ロジックボードを含む多くの部品が筐体に接着されたままの状態でバッテリーの交換ができるようになっているため、バッテリー交換の面においては高評価を受けていますが、スピーカーを取り外すと接着剤が原因でスピーカーが破損してしまったり、ドーターボードが簡単に折れ曲がってしまったりと、「Apple史上最薄」である弊害も複数挙げられています。

なお、M4搭載iPad Proのストレージ容量が256GBのモデルは、NAND型フラッシュメモリが1つしか搭載されていません。そのため、M2搭載MacBook Airの256GBモデルのように、他のストレージ容量が大きいモデル(NAND型フラッシュメモリを複数搭載するモデル)よりもデータ転送速度が遅くなっていることも指摘されています。

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