印象に残ったドリブラーについて言及【写真:Getty Images】

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プロ選手にドリブル理論を伝える岡部将和氏、印象に残ったドリブラーについて言及

“ドリブルデザイナー”岡部将和氏はこれまでに数々のプロ選手に自らのドリブル理論を伝えてきた。

 日本代表選手をはじめ、海外のトッププレーヤーと交流してきた同氏に特に印象に残っているドリブラーについて聞くと、サッカー王国ブラジルを代表する2人のアタッカーの名前を挙げた。(取材・文=石川遼)

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 岡部氏は「大前提としてプロのサッカー選手は別格な選手たちの集まりで、その中でも代表選手となると、もう異次元です」と前置きしたうえで、「特に衝撃を受けた」選手として名前を出したのがブラジルが生んだ天才FWネイマール(アル・ヒラル)だ。

「彼とは日本でフットサルをしたことがあります。今さら言うまでもないことですが、本当にすべてが凄かった。スピード、パワー、テクニック、駆け引きの上手さ、そしてプレーのすべてに自信がにじみ出ている印象を受けました。この自信というのは『世界中の誰が相手でも活躍できる』といったものに感じて、目の前にどんな相手が構えて待ち構えていようが関係ないんです」

 トップスピードでも乱れない技術力の高さは、ブラジル代表やFCバルセロナなどでも見せたプレーで日本のサッカーファンにもお馴染みだろう。岡部氏は実際に対峙した際の経験から「ボールが見えなかった」と舌を巻いた。そして、「あまりイメージはないかもしれないですが、パワーも凄かった」と力強さにも言及。まさに心技体を備えたブラジル代表の元10番は文句なしの選出だろう。

 そんなネイマールに続いて挙げたのが、同じブラジル代表FWのヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード)。18歳でスペインの名門に引き抜かれ、今やすっかりチームの中心選手だ。

 岡部氏は「積んでるエンジンが違うな、と。(ネイマールと比べると)少し大味な印象ですが、本当に初速からトップスピードに入る感じでした」と特にスピードの部分に驚かされたと語る。そして、ヴィニシウスについて、ピッチ上での能力以上に驚かされたのがその人柄だったという。

「彼は本当に謙虚でした。若くしてレアル・マドリードに入った選手で、もちろん当時(2021年にイベントで対面)からすでに凄い選手でしたけど、実際に会ってスターになると確信しました。彼は、自分にはまだまだ足りない部分があるからチームメイトのマルセロ(現フルミネンセ)やベンゼマ(現アル・イテハド)、モドリッチなどからいつもヒントをもらっていると言っていました。僕にも(ドリブルを)教えてくれと言ってきたり、僕が見せた資料もあとで送ってほしいって、とにかく学ぼうとする姿勢が凄かった」

 そんなネイマールとヴィニシウスはともにブラジル出身。岡部氏は南米出身の選手には特有の共通点があるとも語る。

「僕自身、アルゼンチンに行ったことがありますし、これまでにブラジル人選手とも何度も対戦した経験がありますが、とにかくディフェンスの強度がすごく高い。競技が違うとも言っていいくらいで、DFは普段からファウル当然で止めに来ますし、身体ごと削ってでも止めるというのが当たり前の世界。そのなかでドリブルを極めてきた選手たちなので、どうすればボールを奪われないのかが身体に染み付いている。もはや目をつぶってでも抜けるというくらいの感覚は持っているんじゃないかとさえ思えます」

 これまでの数え切れないほどの選手のドリブルについて研究してきた岡部氏だが、ブラジルが生んだ2人のスターには特に感銘を受けていたようだ。

[プロフィール]
岡部将和(おかべ・まさかず)/1983年8月1日生まれ、神奈川県出身。PREDATOR URAYASU FC SEGUNDO―バルドラール浦安―Laguna Playas de Salou(スペイン)―湘南ベルマーレ。2015年からドリブルデザイナーとしての活動を開始し、多くのプロ選手や子どもたちにドリブルの指導を行う。YouTubeなどのSNSを通じて配信した動画の総再生回数は3億回を超える。(石川 遼 / Ryo Ishikawa)