練習を公開したこの日、ニヤリと笑顔を見せたルイス・ネリ【写真:荒川祐史】

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ネリが練習公開

 ボクシングの元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)が23日、5月6日に東京Dで行われる世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)への世界挑戦に向け、都内の帝拳ジムで練習を公開した。体重超過で王座を剥奪された2018年3月の山中慎介戦以来、6年2か月ぶりとなる日本での試合まで13日。視察した井上陣営と情報戦を繰り広げる瞬間もあった。戦績は31歳の井上が26勝(23KO)、29歳のネリが35勝(27KO)1敗。

 淡々と受け答えした会見、ネリと陣営が何度かニヤリと笑った。「イノウエにはミスもある。スパーリングパートナーはメキシコ人。その選手から話を聞いて勉強してきた」。情報取得に自信を見せたのは、サミール・ロサーノトレーナーだ。

 ネリが「(弱点を)いくつか見つけている。勉強してきた。防御だけじゃなく、それ以外にもある。喋れないけどね」と言えば、隣りの同トレーナーも「それは5月6日に見てもらうことになるだろう」と煙に巻いた。練習ではシャドー、ミット打ちを1回ずつ軽めに披露。手の内を隠し、事前に告知されていたサンドバッグ打ちは「もう終わり」と取りやめた。

 会見でネリが座る椅子から3メートル。真吾トレーナーは腕組みしながら大橋秀行会長と聞き入った。井上は昨年12月のマーロン・タパレス(フィリピン)戦前、相手陣営への情報漏洩を防ぐため、全4人のスパー相手にフィリピン人ではなくメキシカンを招聘。メキシカンは独特のリズムなどを持ち、今回はネリの母国から練習相手を呼んだ。

 本当に情報が漏れたのかもわからない。真吾氏は「どうなんですかね。どういうことを言ったか次第」と警戒しつつ、「こちらはやりたいことをやれたので。何とも思わない」と意に介さず。弱点の指摘には「それは誰でも言うでしょう」と一笑に付した。

「今までの選手も何もできなかったので気にならない。体重もしっかりつくってきているようですし。会見はリスペクトしながらだった。特に印象はないですね。もっとアレ(悪童ぶりが出る)かなと思っていましたが、リスペクトしながら、でも気持ちは伝わる内容。普通でしたね」

ネリ「リングで死ぬ覚悟」「血を見るだろう」 現在の体重、ドーピング検査の結果は

 ネリは井上について「グレートなボクサーだ」としつつ、「過大評価されていると思う」と強気な言葉も。「番狂わせをみんなが目撃するだろう。人生で見たことのない試合。流血を見るだろうな。全てをリングで出して、リングで死ぬ覚悟だ」と悲壮な決意を示していた。

「イノウエと最初に戦いたいと思ったのは4年前。WBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)にも入りたかったけど、入れなかった。だから、凄く待った4年間だった」

 現在の体重は「127ポンド(57.60キロ)だ」と説明。ドーピング検査についても「ここまで3回やった。全て陰性。最後は20日前」と明かした。1990年のマイク・タイソン以来34年ぶりの東京Dボクシング興行を心待ちにしているようだった。

 互いに情報を隠すのは当たり前だが、30分強の短い時間で繰り広げられた攻防。真吾トレーナーは「ネリはアグレッシブなスタイルなので激しくなる。そこで噛み合うのか、サクッといく(終わる)のか。本番にならないとわかりません」と強調した。ゴングが待ち遠しい。

○…Amazon プライム・ビデオにて「Prime Video presents Live Boxing」の第8弾として独占生配信される。井上―ネリ戦のほか、元K-1王者・武居由樹(大橋)がWBO世界バンタム級王者ジェイソン・マロニー(豪州)に世界初挑戦。井上の弟のWBA世界同級王者・拓真(大橋)が同級1位・石田匠(井岡)と2度目の防衛戦を行う。WBA世界フライ級王者・ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)は同級3位・桑原拓(大橋)と初防衛戦。同じ興行で世界戦4試合は国内史上最多となる。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)