老後に後悔する人、しない人の「お金の使い方」決定的な違い
「人生観が変わった」「もっと早く読みたかった」と絶賛の声が相次いでいるのが、3年以上前に刊行され、34万部のベストセラーとなっている『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』という書籍だ。読んだ人が知人や同僚にオススメしてしまう、「生き方を変えるマネー本」として話題を集めている。本書のメッセージ、そして魅力はいったい何なのか? 今回は、本書にいち早く注目し、自身も大きな影響を受けたと語るマネーコンサルタントの頼藤太希氏に、本書の見どころについて語っていただいた。
異例のベストセラー『DIE WITH ZERO』とは?
34万部を突破した異色のマネー本ベストセラー『DIE WITH ZERO』。「ゼロで死ね」という刺激的なコピーが話題のこの本は、アメリカの実業家ビル・パーキンス氏が書いたものであり、世界11ヶ国以上で人気を博しています。
私は、『はじめての新NISA&iDeCo』、『定年後ずっと困らないお金の話』など90冊、累計150万部超となるマネー本の著者であり、中央大学商学部客員講師、早稲田大学オープンカレッジ講師をはじめ、資産運用をはじめとするお金の授業・講演をさせていただいており、個人向けのお金のコンサルも行う、実務家の「ファイナンシャルプランナー」です。
そんな私が書評を書くきっかけとなったのは、日本テレビ系「カズレーザーと学ぶ。」で『DIE WITH ZERO』を紹介したことが大きいでしょう。放送後、反響が物凄かったのを覚えています。翌日Amazonの総合ランキングが1位になっていたのも印象的でした。
誰よりも早く、自著などで『DIE WITH ZERO』の書籍名やエッセンスを紹介していたことが番組出演の理由だと思います。『DIE WITH ZERO』は多くの日本人に影響を与えている本ですが、私もその1人だったのです。
浪費をせずにお金を貯めるのは正解か
「老後資金2000万円問題」をきっかけに、将来のために、計画的にお金を貯めていくのが重要だという意識が日本人全体に広まりました。
また、その後すぐに「FIRE(経済的自立・早期リタイア)」という生き方がブームとなりました。FIREを実現した人、あるいはFIREを目指している人たちはSNS上で、「収入の半分を投資しました」「収入の8割を投資に回しました」などと、投資に全力を注いだ話を投稿し、注目を集めました。
こうした流れの中で、日本ではいつしか、将来の不安に備えてお金を貯めるのが第一で、「今お金を使うことがよくない」という風潮が醸成されているように感じます。
確かに何も考えず、お金をダラダラと浪費していては、将来お金がなくて困ってしまう事態になるでしょう。
しかし、限度はありますが、ある程度の浪費は経験しておくべきものだと私は考えています。なぜなら、お金は使ってこそ価値があるものだからです。若いうちにお金を使う練習をしておかないと、いざというときにうまく使うことができず、お金から満足を得ることができなくなってしまいます。
著者のパーキンス氏も、「お金を無駄にするのを恐れて機会を逃すのはナンセンスだ。お金を浪費することより、人生を無駄にしてしまうことのほうが、はるかに大きな問題ではないだろうか」と指摘しています。
FIREにしても、若いうちだからこそできる趣味や楽しみ、スキルアップのための自己投資まで犠牲にしながら目指すべきものではないというのが私の意見です。
死ぬときに残したお金は「その分タダ働きしたのと同じ」
同書で印象的だったのが、「死ぬときに残したお金は、その分タダ働きしたのと同じ」という一文です。
例えば、死ぬときに資産が1000万円残っていた場合、年収が400万円であれば、単純計算で2年半働かないと得られません。そうして得た1000万円を使わずに死んでしまったら、2年半もタダ働きしたのと同じだ、というわけです。
確かに、この1000万円を自分のために使ってさまざまな経験をしたほうが、人生は豊かになりますよね。同書では「人生は経験の合計であり、最終的に自分が誰だったのかはその合計で決まる」とも説いています。
しかし、このような話をすると、「仕事そのものが楽しくて充実した経験を得られるなら、お金を無理に使わず残しても問題ないのではないか」という指摘があります。実は私も、日本テレビ系「カズレーザーと学ぶ。」にて書籍の内容をプレゼンした際に、カズレーザーさんから同様の指摘を受けました。
同書ではこれに対して、「充実した経験ができる仕事で稼いだお金であっても、お金であることには変わりはない。好きな仕事で稼いだお金でも、ひいおじいさんから相続したお金であっても同じことだ。そのお金が自分のものになったのなら、価値ある経験に替えるべきだ」と説いています。
「経験ポイント」を稼げば稼ぐほど、人生は豊かになる
また、同書では、各体験から得られる喜びポイントを「経験ポイント」と表現しています。私たちは毎日・毎週・毎月、さまざまな経験をしています。楽しい経験、素晴らしい経験ほどたくさんポイントがつき、ちょっとした経験には少しだけポイントがつくシステムです。
どんな経験が高ポイントになるかは、人によって違います。クラシックのコンサートを聴いたとき、クラシック好きで心待ちにしている方ならば高ポイントですが、付き合いで聴かされたものであれば少ししかポイントがつかないか、まったくつかないでしょう(ただし、経験ポイントにマイナスはありません)。
各年のポイントをまとめると、たくさんポイントが貯まった年と、そうでもない年に分かれるはずです。これからできるだけ多くのポイントを稼ぐために、どんな経験をしたらいいかを考えながら日々を過ごしていけば、おのずと人生は豊かになっていきます。