「有給休暇の取得率が高い会社ランキング」上位200
「World Ag Expo 2024」で展示されたクボタの農機(写真:© 2024 Bloomberg Finance LP)
人生100年時代を迎えた今日、ワーク・ライフ・バランスの充実や将来を見据えたリスキリングへの取り組みが重要となっている。また、そのための時間をつくるという意味で、有給休暇の重要度も増している。
今回は『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2024年版に掲載している各企業の有給休暇取得率(2022年度基準)のデータを基に、3年平均取得率の高い200社のランキングを作成した。以後、各社の具体的な取り組みと併せて紹介する。
なお、本ランキングは同誌の掲載企業1714社のうち、有給休暇の付与日数が平均10日以上かつ取得率を3年連続で開示している1251社を対象とした。取得した有給休暇日数には前年度繰り越し分の取得日数も含めるため、取得率は100%を超える場合がある。
また、『CSR企業総覧(ランキング&集計編)』2024年版(2024年4月下旬以降に発売予定)には2022年度の有給休暇日数・取得率のランキングを上位800位まで掲載予定だ。
首位は3年平均取得率が106.5%のクボタ
1位は3年平均取得率が106.5%となった農機関連のクボタ。各年度の有給休暇取得率が100%を上回り、昨年の3位から首位となった。同社は1年につき5日の範囲で取得可能な時間単位の有給休暇制度を設ける。コアタイムあり、またはなしのフレックスタイム制度を事業所ごとに導入するなど、柔軟な勤務制度を敷く。
2位はNC旋盤・マシニングセンタ大手のDMG森精機。3年平均取得率は104.8%。依然として高水準だが首位を譲った。育児期間や看護・介護を要す家族がいる社員を対象とする時間単位の有休制度や、付与されたすべての有給休暇取得を全社員に対して強く推奨している点が特徴だ。
3位はトヨタグループの完成車両メーカーのトヨタ車体(3年平均取得率101.3%、以下同)。同社では未消化の有給休暇を次々年度まで持ち越せるが、3年経過による繰り越し有給休暇の失効をなくすための「年休カットゼロ」活動も推進する。この活動により、1994年度から29年連続で有給休暇失効ゼロを達成している。
4位は建設機械で世界2位のコマツ(100.8%)。取得率は2年連続で上昇。同社は法定とは別に、私傷病や出産、育児、介護などを目的に取得できる時間単位の有給休暇制度を導入している。
5位は車体のプレス部品メーカーのエイチワン(100.7%)。有給休暇の計画的な取得を促進しており、すべての有給休暇は半日単位で取得できる。そのほか、フレックスタイム制度の適用拡大など柔軟な働き方にも対応している。
以下、6位豊田自動織機(100.4%)、7位テイ・エス テック(100%)、8位オリエンタルランド(99.1%)、9位関西電力(98.2%)、10位幼児活動研究会(96.2%)と続く。
上位企業の変動は小さいが、3年先は大きく変わる可能性も
本来、企業が従業員に年次有給休暇を付与する目的は、心身のリフレッシュを図るためだが、労働基準法の改正により2019年4月から、「すべての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させること」が義務づけられた。
こうした法改正や、コロナ禍の巣ごもりの中で低迷した有給休暇取得率の回復もあり、全体の平均取得率も69.0%(2022年度)と前回64.3%(2021年度)から向上している(それぞれ『CSR企業総覧(ランキング&集計編)』2024年版(2024年4月下旬以降に発売予定)、『CSR企業白書』2023年版より)。
今回のランキング上位10社のうち、前回から継続して上位10社にランクインしている企業は8社。DMG森精機、コマツ、テイ・エス テック、関西電力の4社は、過去5回連続で上位10社にランクインするなど、上位企業の変動は小さい。
ただし、足元の繰り越し分の有休消化が進めば、上位企業で目立つ平均値の100%超えはなくなる。3年先はランキング上位企業の顔ぶれも大きく変わっているかもしれない。
有給休暇取得率は昨今話題の人的資本経営や採用における重要な指標だ。編集部では今後も調査を通じて有給休暇取得率の動向を追い、ランキングで紹介したいと考えている。
1〜50位
51〜99位
104〜150位
151〜199位
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(佐々木 浩生 : 東洋経済『CSR企業総覧』編集部)