超簡単、今から旬の「銀鮭の漬け焼き」美味に作る技
今回は「銀鮭の漬け焼き」の作り方を伝授します(以下、写真はすべて筆者撮影)
料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作れる方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。今回は「銀鮭の漬け焼き」です。
4月は生の銀鮭が出回り始める時期
魚を上手に料理できる人はかなりの料理レベル。今日のレーマは魚料理の基本です。
鮭は秋が旬と思われており、実際、秋になると秋鮭という名前で店頭に鮭が並びます。この鮭は天然物で、シロザケという種類。鮭には他に輸入品の紅鮭やアトランティックサーモン、キングサーモン、サーモントラウトがありますが、実はこれから旬を迎える国産の鮭があります。宮城などで養殖されている銀鮭です。
養殖なので旬はない、と思われがちですが生の銀鮭が出回るのは4〜8月。多く流通している銀鮭は業界でチリ銀と呼ばれるチリ産ですが、国産のそれはまったく別のおいしさ。近年、養殖技術が発達したことがその理由ですが、塩焼きにしても、ムニエルにしても絶品の味わいです
白い模様は脂肪で、多いほどジューシーです
今日は漬け焼きの作り方を紹介しながら、魚焼きグリルの使い方についても触れます。
銀鮭の漬け焼きの材料
銀鮭(切り身) 2枚
しょうゆ 大さじ2
みりん 大さじ1
酒 大さじ1
みょうがの甘酢漬け
みょうが 4個
酢 50ml
砂糖 大さじ1
薄口しょうゆ 小さじ1/2
切り身はビニール袋などに移し、しょうゆ、みりん、酒を混ぜたものを加え、冷蔵庫で30分以上置きます。1日置いてもかまいません。柚子やすだちなどの柑橘の薄切りを一緒に漬け込んでもいいでしょう。
袋に入れると調味料を節約できます
魚焼きグリルは所有率こそ高いものの「汚れるし、洗うのが大変なので……」と使わない人が多いと聞きます。じつは300℃以上の高温で加熱できる高性能な調理器具なので、使わないのはもったいないところ。魚焼きグリルの使い方の基本もあまり浸透しているとは言えません。
両面焼きグリルを使っています
魚焼きグリルはまず予熱するのが基本です。最低でも5分は予熱しておくことで庫内の温度が上がり、網も熱くなるのでくっつきが防げます。
漬け込んだ鮭をとりだし、表面の調味料を軽くぬぐいます。
皮に切り込みを入れる場合もあります
魚の切り身は片側が薄くなっているので、巻き込むようにして折ると加熱時間が揃うほか、焼き上がりの姿が美しくなります。これは両面焼きのグリルで使える手法で、片面焼きの場合は裏返す必要があるためこの工程は省略します。
脂の多い部位を加熱しすぎから守る意味もあります
魚焼きグリルは奥ほど温度が高いので、薄い身を手前に置きます。切り身の魚を焼く基本は強火ですが、その場合は中央の温度が比較的高いので、その点を意識して配置するといいでしょう。
逆に一尾丸ごとの魚を弱火でじっくりと焼きたいという場合、弱火で加熱することになりますが、その場合は端の温度が高くなるので、覚えておきましょう。4〜5分焼きます。
魚焼きグリルは強火に設定しています
焼き上がりの判断は色で行いますが、低い温度の水のなかで生きる魚は地上で生きる哺乳類よりもタンパク質の凝固温度が低いことに留意してください。つまり、魚は肉よりも早く火が入るのです。
火を通しすぎると脂が落ちておいしさが損なわれるので注意。焼き上がったら早めにグリルの受け皿と網を洗いましょう。すぐに洗えばきれいな状態を保てます。
この段階で鮭の中心温度を計ると75℃程度です
盛り付けて、みょうがの甘酢漬けを添えました。みょうがではなく、れんこんの甘酢漬けも定番ですし、しょうがなども合います。甘酢漬けを用意するのが面倒であれば大根おろしでもいいでしょう。いずれにせよ魚と対照的な味わいの料理を添えることで味覚を飽きさせない工夫です。
味が足りなければしょうゆを添えてください
みょうがの甘酢漬けの作り方をご紹介します。酢に砂糖と薄口しょうゆを混ぜて溶かします。
酢はさっぱりした穀物酢が合います
沸騰した湯にみょうがを入れ、15秒ほどゆでます。
時間がないときは半分に切ったほうが早く浸かります
熱いうちにさきほど作った甘酢にとります。
砂糖が溶け残っていても熱いみょうがを入れるので溶けるでしょう
粗熱がとれたら冷蔵庫で保存します。1時間後くらいから食べごろですが、酢が入っているので保存期間は長く、冷蔵庫であれば2週間以上持ちます。ただ、徐々にやわらかい食感になってしまうので、1週間を目安に食べてしまいましょう。
れんこんやしょうがで作るときも作り方は一緒。れんこんは5mm厚、しょうがは硬くて辛味があるので薄切りにしてからやはりさっとゆでて漬けます。
炊きたてのご飯と銀鮭の漬け焼きの相性は抜群。魚料理は面倒と思われがちですが、工程自体は簡単。調理時間も短くすむので意識的に毎日の食事に取り入れてみましょう。
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(樋口 直哉 : 作家・料理家)