中国経済が減速する中、テンセントは手堅い経営と新分野への積極投資で業績を伸ばし続けている(写真は同社ウェブサイトより)

中国のネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)の業績が好調だ。

同社は3月20日、2023年の通期決算を発表。それによれば、同年の売上高は6090億1500万元(約12兆8032億円)と前年比10%増加、非国際会計基準(非IFRS)ベースの純利益は1576億8800万元(約3兆3151億円)と同36%増加した。

2桁台の増収増益を牽引したのは、海外向けのオンラインゲーム事業とオンライン広告事業だ。

海外向けゲームは「VALORANT(ヴァロラント)」「勝利の女神:NIKKE」「Triple Match 3D(マッチ3パズル)」などのタイトルが人気を集め、為替変動の影響を除いた売上高は532億元(約1兆1184億円)と前年比8%増加した。一方、中国国内向けゲーム事業の売上高は1267億元(約2兆6636億円)と、前年比2%の増収にとどまった。

オンライン広告事業の売上高は1015億元(約2兆1338億円)と、前年比23%の大幅な伸びを記録。決算報告書によれば、大口広告主は自動車業界を除いてテンセントのプラットフォーム向け出稿を増やしており、なかでも消費財、ネットサービス、ヘルスケア関連の増加が目立つという。

動画生成AIの開発目指す

テンセントの各種サービスの「入口」であるスーパーアプリ「微信(ウィーチャット)」は、中国国内版と海外版を合計した2023年末時点の月間アクティブユーザー数が、前年比2%増の13億4300万人に達した。また、同社の有料サービスの登録ユーザー数は同6%増の2億4800万人だった。

世界的なAI(人工知能)ブームが続くなか、テンセントは自社サービスへのAI実装を精力的に推し進めている。その根幹に位置づけられるのが、2023年9月にリリースした自社開発の大規模言語モデル(生成AI)「混元(フンユエン)」だ。


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「混元は(機械学習に)混合エキスパート(MoE)モデルを採用し、パラメーター数を1兆規模に拡張した」。テンセント総裁(社長に相当)の劉熾平氏は決算説明会でそう述べ、混元の先進性をアピール。さらに、今後のAI開発計画について次のようにコメントした。

「アメリカのオープンAIが発表した動画生成AI『Sora(ソラ)』は、テキストから高精細な動画を作り出す驚異的能力を見せつけた。テンセントも次の段階で同様のAIの開発に取り組んでいく」

(財新記者:馮奕銘)
※原文の配信は3月21日

(財新 Biz&Tech)