AMDが2024年4月9日、組み込み機器向けSoC「Versal」の第2世代として、「Versal AI Edge Series Gen 2」と「Versal Prime Series Gen 2」を2025年後半に発売すると発表しました。

AMD Extends Leadership Adaptive SoC Portfolio with New Versal Series Gen 2 Devices Delivering End-to-End Acceleration for AI-Driven Embedded Systems :: Advanced Micro Devices, Inc. (AMD)

https://ir.amd.com/news-events/press-releases/detail/1189/amd-extends-leadership-adaptive-soc-portfolio-with-new



AMD Enables Single-Chip Intelligence for AI-Driven Embedded Systems with 2nd Gen Versal Devices - AMD Community

https://community.amd.com/t5/adaptive-computing/amd-enables-single-chip-intelligence-for-ai-driven-embedded/ba-p/677330





AMD Versalの第2世代は、AI推論エンジンを統合したVersal AI Edge Gen 2と、一般的な組み込みシステム向けのVersal Prime Series Gen 2からなります。両SoCの設計はAIエンジンの有無以外は共通です。



Versal AI Edge Gen 2は、プログマラブルロジックやベクタープロセッサ、高性能なCPUを統合することでエンドツーエンドの高速化を実現し、AI処理における「センサー処理やデータコンディショニングに関わる『前処理』」「深層学習アルゴリズムを実行する『AI推論』」「意志決定とその結果の行動に関わる『後処理』」という3つのフェーズを1つのSoCで全てサポートしています。このため、Versal AI Edge Gen 2以外のCPUや外部メモリを用意することなくAI関連処理を実行できます。



また、Versal AI Edge Gen 2は第1世代のVersal AI Edgeと比較して、1秒当たりの演算回数が約3倍に向上しているほか、Versal AI Edge Series Gen 2とVersal Prime Series Gen 2はArm製のチップ「Cortex-A78AE」を8個、「Cortex-R52」を10個内蔵することで、前モデルから「後処理」の能力を最大10倍まで高めているとのこと。



さらに、AMDは「前モデルと比べてVersal AI Edge Gen 2は約4倍となる3.2ギガピクセル/秒の画像処理性能や、約2倍の動画処理性能を発揮できる」と主張しています。



これにより、Versal AI Edge Gen 2を導入することで組み込みシステムの小型化や、消費電力の低下、レイテンシの軽減などの効果が期待されます。またAMDはVersal AI Edge Gen 2向けのランタイムやドライバ、ファームウェアなどを集約したライブラリ「Vitis AI」を提供しており、組み込み機器向けシステムの設計や開発時間を大幅に短縮することも可能です。

すでに自動車メーカーのスバルが「次世代先進運転支援システム(ADAS)のアイサイト搭載車にさらなるAI性能と安全性を提供するために、将来的なアイサイト搭載車にVersal AI Edge Series Gen 2を採用することを決定しました」と発表しています。



なお、AMDはVersal AI Edge Series Gen 2とVersal Prime Series Gen 2の発売に向けたスケジュールとして、2025年第1四半期にチップのサンプルを出荷し、2025年半ばに評価キット、2025年後半から製品版チップの出荷を開始することを発表しています。