頭脳のスペックが上がる「小学生の勉強法」とは?(『のびる子はやっている 最大効果を出す 小学生の勉強法』より)

小学校は6年間という長い期間ですが、入試や定期テストのような明確なゴールを設定しにくいのが現状です。そのため、日々の勉強目標が曖昧になりやすく、惰性で過ごしてしまうことも少なくありません。

この6年間、効果的に子どもたちの成長と脳のスペック上昇を導くことができる「小学生の勉強法」について、全国の保護者の方の悩みを聞き、子どもたちを直接指導してきた石田勝紀さんの著書『のびる子はやっている 最大効果を出す 小学生の勉強法』より、子どものタイプ別アプローチ術を一部抜粋、再構成してお届けします。

「小学生の勉強法の公式」を知れば、楽しく学べる!


(『のびる子はやっている 最大効果を出す 小学生の勉強法』より)


(『のびる子はやっている 最大効果を出す 小学生の勉強法』より)

勉強のゴールが明確な中学生と違って、なんとなく授業を受け、宿題だけしていればいいという状態で日々を過ごしている小学生には明確なゴールがありません。その結果、小学校の6年間に頭脳のスペックを鍛えることなく過ごしているのは、もったいないと思っています。小学校の6年間に頭脳のスペックを上昇させてあげると、中学、高校、さらには社会人になった時にもよい影響を与えていくのです。

「頭脳のスペックを鍛える」というのは、知識を詰め込むことではありません。とはいえ、「楽しく勉強しよう」というだけでは鍛えることはできません。

(基礎トレ+思考力・表現力)×楽しむ仕掛け

この「小学生の勉強の公式」の中で、「楽しむ仕掛け」はとても重要です。これがないと、勉強しても身に付かないどころか、勉強嫌いになってしまいます。

公式の内容について、それぞれ詳しく説明しましょう。

基礎トレは、数値化・見える化させる!

アスリートは毎日ルーティーンとして筋トレなどの基礎トレーニングを行っています。勉強の世界でも、毎日習慣として基礎トレを行うことが大切です。勉強においては、「漢字と計算」、この2つが基礎トレにあたります。退屈でつまらない勉強の代表のように思われていますが、毎日続けるためのおすすめの技があります。


(『のびる子はやっている 最大効果を出す 小学生の勉強法』より)

「漢字学習」は繰り返し書くのでは漢字嫌いになります。そこで、

・学習する学年の漢字の一覧表を壁に貼り、マスターしたものから赤で塗りつぶしていくなど、ゴールがどこで、どれだけ達成しているかが一目でわかるようにする
・書いて覚えるのではなく、テストを繰り返して覚える

「計算問題」も、ただ問題を解くのでは、単調で嫌になります。そこで、

・簡単な問題を解いて、スピードを短縮化できることをゴールにする
・間違いを発見するトレーニングをする
・10分で何問できたか、正答率が何%だったかなど、記録を見える化する

このように、見える化したり、ゴールを明確にしたり、ゲーム的な要素を取り入れたり、成長を実感できる仕組みを取り入れたりすることで毎日続けられます。楽しめる要素を加えることで、続けられるだけでなく、意欲も高まり、トレーニングの効果が倍増するのです。

「思考力・表現力」を身に付ける「マジックワード」

「思考力・表現力」は、21世紀型能力の根幹をなすものです。上に述べた「基礎トレ」だけだと、学んだことを発展させるのは難しいのです。

「思考力・表現力」を身に付ける方法は、実は記事(激変する小学生の学習環境下で「親がすべきこと」)でも述べた「賢い頭脳を育てる」方法そのものです。「思考力・表現力」は、「考える力」と言い換えることができます。「考える力」をつけるためには、「疑問を持つこと」と「まとめること」が重要です。そのために家庭でできることは、日常生活の中で次の5つの「マジックワード」を使うことです。

・なぜ?
・どう思う?
・どうしたらいい?
・要するに?
・例えば?

と問いかけてあげてください。日常生活の中でこれらの「マジックワード」を使っていくことで、「考える」という行為が習慣化され、勉強するときにも波及していきます。

楽しむ仕掛けとは?

勉強はつらいものだと思われがちですが、勉強が楽しいと感じさせる仕掛けを作ってあげることで意欲的に取り組めるものです。

まず、勉強を見える化しましょう。

カレンダーや手帳などにそれぞれの日に何をやるか1週間分の予定を、ルーティーンを含めて子どもに書かせます。そして、実行できたものは赤線で消していきます。このことにより、何をやったらよいか自分で気づくことができます。赤い部分が増えていくことでの達成感も味わうことができます。

次に、頑張りをポイント化してあげましょう。

例えば5つの予定がすべて実行できたので5ポイントなど。ボーナスポイントがあってもいいと思います。そのポイントを累積していくことで、頑張りが数値として見えるようになります。

そして、子どもが頑張ったことや成長したことをほめてあげましょう。

(基礎トレ+思考力・表現力)×楽しむ仕掛け

この公式を使えば、学ぶことは楽しいというマインドも育っていくでしょう。

効果的に覚える方法をマスターしよう!


(『のびる子はやっている 最大効果を出す 小学生の勉強法』より)


(『のびる子はやっている 最大効果を出す 小学生の勉強法』より)

ところで、「読んで覚える」「書いて覚える」という、多くの人が正しいと思っている「覚え方」は、効率的な覚え方ではありません。1回や2回読んだだけでは覚えることは難しいですし、ただ書いて覚えるというのも効率的ではないのです。むしろ、勉強嫌いになる原因だったりします。


繰り返し自分でテストをして覚えるというのが、おすすめの覚え方です。例えば漢字を覚えるのなら、3回テストをして、3回とも間違えた漢字だけ5回ずつ書きます。テストして、答えを確認する過程で、覚えていくのです。漫然と書き写すよりも、効果があります。これが、多くの「のびる子」がやっている勉強法です。

いかがでしたでしょうか? 保護者の方が知っているのと知っていないのとでは、お子様の勉強への向かい方が全く変わってしまう「小学生の勉強法」。全部実践する必要はありません。お子様にあったものを1つでも実践していただき、子どもたちの将来へつながる、楽しく有意義な小学校生活を送っていただければと思います。

(石田 勝紀 : 教育デザインラボ代表理事、教育評論家)