東海道新幹線「ひかり」4月以降も喫煙できる裏技
東海道新幹線の喫煙ルームがこの春に廃止となる(写真:JR東海)
東海道新幹線はこの数年で大きく変化した。
車両をN700A、N700Sに変更したことによるスピードアップ、信号システムの変更による「のぞみ」の増発と、利用者にとってプラスとなる変化もあった。だが、マイナスとなる変化も起こっている。
喫煙ルームが廃止へ
まずは、コロナ禍の影響による売店の廃止だ。「のぞみ」が停車する東京、新横浜、名古屋、京都、新大阪のホームには、「当面の間休業」の札が貼られた売店がある。品川、三河安城、岐阜羽島のホームはドリンクの自動販売機売店が設置されているだけで売店はない。
次にワゴンによる車内販売サービスの廃止だ。2023年10月31日、「のぞみ」「ひかり」の車内ワゴン販売サービスが終了(「こだま」は2012年に終了)、現在は「のぞみ」「ひかり」のグリーン車の乗客を対象に、スマートフォンで飲み物や食べ物を注文、パーサーが注文品を届ける「モバイルオーダーサービス」を実施している。
そしてこの春実施されるのが喫煙ルームの廃止だ。2011年に自由席が全席禁煙、2020年にすべての座席が禁煙となったが、喫煙者の新幹線利用も鑑みてか、N700系、N700Aには3、7、10、15号車に喫煙ルームが設置された。しかし2022年に7号車の喫煙ルームを廃止。2024年春に3、10、15号車の喫煙ルームの廃止が決まった。
サービス面で3つの大きな変化があった東海道新幹線。売店の廃止については新幹線改札を入ってすぐの、待合室などが設置されたコンコースに売店のラインナップを充実させることで、廃止による影響を最小限にとどめている。
車内販売サービス廃止も、各駅のホームにドリップコーヒーの自動販売機や、新幹線名物の硬いアイスクリームの販売機を設置することで影響を少なくする対策がなされている。
ところが、喫煙ルーム廃止に関しては、ホームに喫煙所を増やすなどの対策がとられているように見受けられない。
ひかり、こだまなら途中駅で喫煙が可能
筆者は喫煙者ではないので気持ちはわからないが、東京―新大阪間の「のぞみ」の所要時間は2時間25分ほど。この間、タバコを吸えないとなると大きなストレスとなるだろう。乗っている時間が短い飛行機に切り替えるのも1つの手だが、東京や大阪の中心部から空港へのアクセスが面倒だ。
そこで、東京―新大阪間、東海道新幹線全駅の喫煙所の位置を実地調査。3月16日以降の時刻表を検討し、愛煙家が東京―新大阪間を移動するのに最適な方法を考えてみた。
まずは「のぞみ」に乗車する場合。この列車は東京―新大阪間をとにかく速く結ぶことを目的としているので、途中駅の停車時間が最小限に抑えられている。そのため「のぞみ」に乗って途中駅で一服というのは不可能だ。
「こだま」や「ひかり」の場合はどうか。前述した通り、東海道新幹線では1時間で最大12本の「のぞみ」が運転されるため、各駅に停車する「こだま」や、静岡、浜松、米原などに停車する「ひかり」は、途中停車駅の多くで「のぞみ」に追い越されるため長時間停車する。追い越される際の停車時間は4〜7分ほど。乗降口の目の前に喫煙所があれば、一服することは可能だ。
筆者が調査した、東海道新幹線の改札内の喫煙所の位置がこちらである。
東京
【14・15ホーム】11号車新大阪寄り扉付近
【16・17ホーム】16号車付近
【18・19ホーム】16号車付近
品川
【北口コンコース】11号車から階段を上がったところ
【南口コンコース】新幹線改札脇
新横浜
【新大阪寄りコンコース】新大阪方面のホームへつながる階段脇
【東京寄りコンコース】東京方面のホームへつながる階段脇
小田原
【コンコース】新大阪方面のホームへつながる階段脇
熱海
【コンコース】新大阪方面のホームへつながる階段脇
三島
【新大阪方面ホーム】16号車後方扉付近
【東京方面ホーム】15号車前方扉付近
新富士
【コンコース】新幹線改札入ってすぐ
静岡
【新大阪方面ホーム】16号車後方扉付近
【東京方面ホーム】16号車前方扉付近
掛川
【コンコース】新幹線改札入ってすぐ
浜松
【新大阪方面ホーム】16号車後方扉付近
【東京方面ホーム】16号車前方扉付近
豊橋
【コンコース】東京方面ホームへつながる階段脇
三河安城
【コンコース】東京方面ホームへつながる階段脇
名古屋
【新大阪方面ホーム】16号車前方扉付近
【東京方面ホーム】9・10号車扉付近
岐阜羽島
【コンコース】新大阪方面ホームにつながる階段脇
米原
【コンコース】在来線乗換改札脇
京都
【コンコース】東乗換改札脇
新大阪
【コンコース】中央口出口、27番線へつながる階段付近
「こだま」「ひかり」に乗車しながら、途中駅で一服できるのは、三島、静岡、浜松、名古屋で「のぞみ」に追い越される列車となる。
時刻表を見ると、東京発新大阪行、東京発名古屋行の「こだま」のほとんどは三島で5分、静岡で3〜5分、浜松で4〜5分停車している。
また、新大阪行の「こだま」は名古屋で5分以上停車する列車が多いので名古屋での喫煙も可能だ。同様に新大阪発東京行、名古屋発東京行の「こだま」も、名古屋、浜松、静岡、三島で喫煙ができそうだ。
ひかりでも停車中に一服可能
だが「こだま」の東京―名古屋間の所要時間はおよそ2時間40分(「のぞみ」はおよそ1時間35分)、東京―新大阪間はおよそ3時間54分(「のぞみ」はおよそ2時間25分)。一服のために1時間以上遅い列車に乗るならガマンする人のほうが多いだろう。
「ひかり」の場合はどうか。「ひかり」には静岡と浜松に停車するタイプが1時間に1本のペースで運行されている。停車時間を見ると、東京から新大阪方面へ向かう場合、静岡で5分、浜松で4分。逆方向も浜松で4分、静岡で4分停車している。静岡・浜松停車の「ひかり」の東京―新大阪間の所要時間は「のぞみ」より30分ほど長い2時間54分。新大阪だと差があるが、名古屋なら1時間58分と「のぞみ」と19分差なので、乗車を検討する価値はあるだろう。
喫煙ルームが廃止となる3月16日以降、静岡・浜松で4分以上停車し、ホームで一服できる可能性のある「ひかり」の時刻はこちら。
【東京→新大阪方面】
ひかり501号 東京7:03発、名古屋9:01着、新大阪9:57着
ひかり503号 東京8:03発、名古屋10:01着、新大阪10:57着
ひかり505号 東京9:03発、名古屋11:01着、新大阪11:57着
ひかり507号 東京10:03発、名古屋12:01着、新大阪12:57着
ひかり509号 東京11:03発、名古屋13:01着、新大阪13:57着
ひかり511号 東京12:03発、名古屋14:01着、新大阪14:57着
ひかり513号 東京13:03発、名古屋15:01着、新大阪15:57着
ひかり515号 東京14:03発、名古屋16:01着、新大阪16:57着
ひかり517号 東京15:03発、名古屋17:01着、新大阪17:57着
ひかり519号 東京16:03発、名古屋18:01着、新大阪18:57着
ひかり521号 東京17:03発、名古屋19:01着、新大阪19:57着
ひかり655号 東京18:03発、名古屋20:01着、新大阪20:57着
ひかり659号 東京19:03発、名古屋21:01着、新大阪22:03着
ひかり661号 東京19:30発、名古屋21:14着、新大阪22:18着 ※1
ひかり663号 東京20:12発、名古屋22:11着、新大阪23:15着
ひかり665号 東京21:06発、名古屋22:11着
※1 浜松での喫煙はできない
【新大阪→東京方面】
ひかり634号 新大阪6:11発 名古屋7:16発 東京9:09着 ※2
ひかり636号 新大阪6:42発 名古屋7:44発 東京9:42着
ひかり640号 新大阪7:36発 名古屋8:43発 東京10:42着
ひかり500号 新大阪8:48発 名古屋9:43発 東京11:42着
ひかり502号 新大阪9:48発 名古屋10:43発 東京12:42着
ひかり504号 新大阪10:48発 名古屋11:43発 東京13:42着
ひかり506号 新大阪11:48発 名古屋12:43発 東京14:42着
ひかり508号 新大阪12:48発 名古屋13:43発 東京15:42着
ひかり510号 新大阪13:48発 名古屋14:43発 東京16:42着
ひかり512号 新大阪14:48発 名古屋15:43発 東京17:42着
ひかり514号 新大阪15:48発 名古屋16:43発 東京18:42着
ひかり516号 新大阪16:48発 名古屋17:43発 東京19:42着
ひかり518号 新大阪17:48発 名古屋18:43発 東京20:42着
ひかり520号 新大阪18:48発 名古屋19:43発 東京21:36着 ※2
ひかり664号 新大阪19:21発 名古屋20:31発 東京22:18着 ※2
ひかり666号 新大阪20:21発 名古屋21:24発 東京23:06着 ※1
※2 静岡での喫煙はできない。
三島駅の停車時間は短い
こちらに掲載した「ひかり」の中には、ホームに喫煙所のある三島に停車するものもあるが、三島の停車時間は非常に短いので下車して喫煙所に駆け込むことはお勧めできない。
また、こちらに掲載した「ひかり」以外にも静岡、浜松に停車するものがあるが、やはり停車時間が短いので喫煙はできない。上記の「ひかり」を利用して静岡、浜松で一服する際は喫煙所から近い16号車の指定席を確保していただきたい。また、喫煙所が満室で利用できない可能性もあるのでご注意を。
(渡辺 雅史 : 時刻表探検家)