昭和レトロスイーツに欠かせない懐かしの「バタークリーム」が再流行の兆し!?
レトロブームとバタークリーム
最近は「昭和」が静かなブームですね。デジタル感が少なく、手作り感がある昭和の空気は今の時代から見ると確かに新鮮です。
特に、昭和のレトロ洋菓子に惹かれるという人は多いのではないでしょうか。そして昭和のレトロ洋菓子を象徴する定番のものとして、バタークリームが挙げられると思います。
かつて日本では、バタークリームをふんだんに使ったバターケーキが多く食べられていました。
バターカップケーキ
バタークリームとは、簡単に言えばバターで作られたクリームです。
バターに砂糖・牛乳・卵を加えて、空気を含ませるようにふんわりと混ぜ合わせてクリーム状にすればできあがり。
生クリームと違って常温でも一週間は保存ができ、さらにシロップを加えれば一か月はもつといわれています。
バタークリームのもうひとつの特長は、生クリームよりも固いので形を作りやすく、ケーキのデコレーションにも使いやすいことです。
昭和のケーキでは、このバタークリームを使って薔薇の花などをあしらったケーキがよく作られたものでした。
ひと口にバタークリームと言っても、実はフランス式・イタリア式・スイス式・ドイツ式にアメリカ式とさまざまな種類があります。それらの違いについては省略します。
戦後の普及とケーキの大量生産
かつて、日本ではクリスマスシーズンになるとバタークリームを使ったバターケーキでお祝いするのが一般的でした。
こうした習慣が広まったのは、1950年代だと言われています。終戦直後で、当時の日本にはまだ進駐軍が滞在していました。もともとアメリカにはクリスマスをケーキで祝う習慣はないのですが、海外にいるアメリカ兵はデコレーションケーキで祝っていたといいます。
当時の日本人はそれを見て、クリスマスはそのようにケーキでお祝いをするものなのだ、と勘違いしてしまったわけです。
バタークリームのショートケーキ
また、当時は民間企業による小麦の大量輸入が行われた頃でもありました。これとあわせてケーキの大量生産も可能になり、戦前は高級品だったケーキがどんどん作られ庶民も味わう機会が増えたのです。
ケーキが一般に普及したのは、長期保存が可能というバタークリームの性質のおかげでもありました。
ただ逆に言えば、他にも長期保存の方法があれば、バタークリームの必要性は薄れるということでもあります。1950年代前後の家庭用冷蔵庫の普及によって、日本のケーキは大きく変わっていきます。
一度は生クリームに敗れたが
バタークリームに取って代わられるようになったのが生クリームです。生クリームには、バタークリームと比べて安価でクセがなく、舌ざわりと口どけがいいという長所があります。日持ちがしないという欠点は、冷蔵庫の登場でカバーされました。
生クリームは戦前から使われていましたが、この、長期保存に向かないという欠点から、どうしても人気面でバタークリームには勝てていなかったのです。それが戦後になって巻き返した形でした。
こうしてバタークリームは忘れられていったのですが、現在は、ここ十数年でまた脚光を浴び始めています。
レーズンバターサンド
技術革新によってクセのないバタークリームの生産が可能になり、それに昭和レトロブーム・糖質制限ダイエットの流行・バター不足による稀少感などが重なったことが大きな原因でした。
現在は、生クリームを使ったケーキとはひと味違うスイーツとしてバターケーキが販売されるようになっています。またコンビニスイーツなどでも、バターを使ったお菓子がたくさん売られていますね。
参考資料:
セルビスライフデザイン
週プレNEWS