Googleは著作権侵害対策の取り組みとして、違法なコンテンツをGoogle検索の検索結果で上位に表示されなくしたり、削除したりする措置を講じています。これらのブロック処理は、主に権利者からの削除リクエストに従っていますが、この削除リクエスト数が記録的なレベルで増加し、総数100億件突破も目前に迫っていることが報じられています。

Google Search Takedown Requests Rush to 8 Billion at Record Pace * TorrentFreak

https://torrentfreak.com/google-search-takedown-requests-rush-to-8-billion-at-record-pace-240223/



Googleは近年、著作権侵害への取り組みとして検索インデックスからの海賊版サイトの削除に力を入れています。中には、検索結果に一度も表示されることなくインデックスから削除される「プリエンプティブ(先手必勝)」削除も含まれています。

Googleが2022年に著作権侵害でブロックしたURLは6億8000万件以上、半数近くが一度も表示されることなくブロックされている - GIGAZINE



Googleはプライバシー、セキュリティ、情報へのアクセスデータを公開する透明性レポートに、「著作権問題によるコンテンツの除外」セクションを2012年に追加しています。このページには、これまでデジタルミレニアム著作権法(DMCA)リクエストされたURLの総数、著作権侵害だと指定されたドメイン、リクエストをした著作権者数、団体数が記録されており、2024年1月中旬の段階ではリクエスト総数が77億4931万件でした。

2024年2月下旬頃、このリクエスト総数は80億件を突破したことが確認されました。2019年から2021年頃は、リクエスト総数が10億件増加するのに約2年かかっていましたが、今回は2023年8月頃に70億件を突破してからわずか6カ月で10億件増加しており、過去に前例のないペースでの増加となっています。

削除リクエストの増加は、DMCAリクエストを専門に行う代理業者が引き起こしています。デジタルコンテンツのマーケティングや海賊版コンテンツの削除を行うLink-Bustersによる申請は、2022年までは最も多い月で約648万件でしたが、2023年9月以降はほぼ毎日1000万件以上の削除リクエストを申請したことがGoogleの透明性レポートで示されました。



また、同様の海賊版対策サービスであるComesoは、週に平均約120万件、年間4億件以上の削除リクエストを送信しています。韓国でストリーミングサービス「MelOn」やウェブコミックなどを運営するカカオエンターテインメントはComesoと協力して、2023年6月から12月までの半年間で約2億800万件の違法コンテンツを削除したと宣伝するホワイトペーパーを公開しました。



Googleの透明性レポートが示す「指定されたドメイン」には、世界最大級の海賊版電子書籍サイト「Z-Library」も多く含まれています。Z-Libraryは、国や地域ごとのドメインの他、ドメインブロックの対策としてユーザーに固有のドメインを割り当ててアクセスさせる戦略を展開していることから、Z-Library関連だけで数百万のURLがあります。

この件を報じたTorrentFreakは、「この傾向が続けば、そう遠くないうちに削除件数が100億件に達する可能性があります」と予測しています。一方で、「80億という数字は膨大にも感じますが、Googleの検索インデックスに追加されたドメインは2013年から2016年に記録されただけで約30兆から約130兆まで増加しており、削除されたドメインはそのうち0.007%にも満たない小さな割合かもしれません」と指摘しています。