「さすがに無理があった」食用コオロギの会社が破産 イナゴ、ハチの子食べる長野出身者も「コオロギは絶対ない」
倒産した「クリケットファーム」のホームページ
SDGsや食糧不足対策の観点から、世界的に注目されてきた「昆虫食」。国内でも、粉末化して食品への利用が進められる様子がメディアで取り上げられるなど、話題を呼んできたが、長野県で事業を展開していた食用コオロギの会社が、総額2億4290万円の負債を抱えて倒産した。
倒産したのは、茅野市に工場を持つ「クリケットファーム」。同社が手がけたコオロギパウダー配合の食品は、茅野市や同県岡谷市のふるさと納税の返礼品にも採用され、テレビ番組でも紹介されていたが……。
「2月11日、ABEMAのニュース番組『ABEMA的ニュースショー』が、同社の倒産についての特集を報道しました。報道によれば、社長の坪井大輔氏は、北海道でIT企業を設立し、ブロックチェーンなどでIT業界のキーマンのひとりとして、たびたびメディアにも登場。2021年にコオロギ事業に参入し、岡谷市や茅野市に工場をつくって営業を開始しています。
長野県では、古くからイナゴやカイコのさなぎの佃煮を食べる文化があったことから、長野県に工場をつくったようですが、2023年12月分の家賃支払いがとまり、2024年1月に弁護士から倒産する旨の連絡が入ったそうです」(週刊誌記者)
北海道新聞は1月31日に、「IT事業のインディテール破産 グループの食用コオロギ養殖が不振 負債総額2億4290万円」という見出しで、この件を報道。アイドルグループ「仮面女子」の猪狩ともかは、2月1日、自身のXで同記事を引用しつつ、
《そりゃそうなるよねぇ…。あれだけ国をあげてゴリ押ししてたのは何だったんだという気持ち。食糧危機とか栄養満点とか理屈は分かるけど、私はDNAレベルで虫は無理。美味しいと言われたって無理なものは無理なのです。》
と投稿していたことで、2月11日の『ABEMA的ニュースショー』にも出演した。
多くの人が抵抗を抱きがちなため、コオロギ食は過去にもさまざまな物議を醸してきた。2023年2月には、徳島県の小学校がコオロギパウダーを使った給食を試食で提供。生徒や父兄からのクレームはなかったというが、部外者がSNSで取り上げると「子どもに食べさせるな」などのクレームが相次ぎ、大炎上。
2022年には、徳島市のイベントに参加した自民党の河野太郎デジタル・消費者担当相が、乾燥コオロギのミックスナッツあえを試食し、「おいしかった。抵抗なく、あっさり」とコメント。河野氏や政府がコオロギ食を推進しているようなイメージが広まったが、河野氏は2023年5月、自身のXで《私も政府もコオロギ食の推進などしておりません。すべて悪意のあるフェイクニュースです》と、噂をきっぱりと否定していた。
今回のクリケットファーム社の倒産に、ネット上では「さすがに無理があった」などの声があがったほか、
《だって虫だもん。どう前向きに捉えようとも虫は虫。粉末状でも元は虫》
《長野県出身の者です。長野県は内陸の山間部なので、タンパク質を補うためイナゴとかハチの子を食べる文化が昔からありました。イナゴは食べても、もっといくらでもいたコオロギは誰も食べなかったのです。私も小さな頃にハチの子などを食べたことはありますし、今では高級珍味として売られてます。でもコオロギは絶対にない》
《年明けの能登半島地震の時ですら、昆虫食に救われたという声は一切なかったくらいですし、需要なんて全く無いんですよ》
などと、辛辣な意見が複数飛び交った。また前出の猪狩ともかは、2月14日にもXを更新し、
《昆虫食の会社破産。時代早かったというよりは、人間に合わないんだと思います。コオロギを食べることに抵抗がある人の方が多いし、現状他に食べるものがあるのにわざわざコオロギを食べたいと思いません》
と、あらためて投稿した。
「食糧不足を救う」として注目されたコオロギだったが、受け入れられるにはハードルが高かったのかもしれない。