昨年のクイーンC覇者ハーパー(撮影:下野雄規)

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 クイーンカップ(3歳牝・GIII・芝1600m)は不思議なレースだ。同じくマイル戦の桜花賞の前哨戦というイメージだが、勝ち馬や出走馬のその後を追うと、正反対の性格が見えてくる。まずは近10年において勝ち馬の牝馬3冠での成績を見てほしい。(左から勝率、複勝率)

・桜花賞[0-0-1-8]、0%、11%
・オークス[0-2-2-4]、0%、50%
・秋華賞[2-0-1-3]、33%、50%

続いては同じく近10年において出走馬の牝馬3冠での成績だ。
・桜花賞[2-0-1-21]、8%、13%
・オークス[2-3-2-27]、6%、21%
・秋華賞[3-2-2-20]、11%、26%

 一目瞭然だが勝ち馬も出走馬も、桜花賞よりもオークス、秋華賞で好成績を収めている。その理由の一つに挙げられるのは、出走馬のキャラクター。マイル戦とはいえ、直線が長い東京が舞台なので、純粋なマイラーよりも、マイルもこなせる中距離馬の出走が目立つのだ。実際、勝ち馬の中にはクラシックディスタンス向きのハーツクライ産駒が2頭(17年アドマイヤミヤビ、23年ハーパー)、バゴ産駒が1頭(19年クロノジェネシス)、それぞれ含まれている。

 また、勝ち馬のローテーションにも注目したい。過去10年の勝ち馬のうち、18年のテトラドラクマを除く9頭は桜花賞に直行。そのうち20年のミヤマザクラを除く8頭が人気以下の着順だったのは興味深い。これはあくまで仮説だが、クイーンCの覇者にはオークス狙いの馬が多く、陣営も桜花賞に限っては前哨戦仕様で挑んでいるのではないか。もちろん、16年のメジャーエンブレムのような例外もあるが、全体的にそういった傾向があるように感じる。

 今年のクイーンCも面白いメンバーが揃った。もちろん、勝ち馬の今後には要注目。そして馬券的には純粋なマイラーよりも距離が延びて良さそうな馬を探すことが、的中の近道かもしれない。