根岸Sはロードカナロア産駒エンペラーワケアが制覇(撮影:下野雄規)

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【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返る根岸S

【Pick Up】エンペラーワケア:1着

 ロードカナロアの種牡馬成績を見ると、勝ち星(障害戦を除く)に対する芝勝利数の割合は67.8%。同じくキングカメハメハを父に持つドゥラメンテは64.3%、同じく母の父にストームキャットを持つキズナは62.7%なので、それらよりも芝の割合は高いという傾向が出ています。

 ただ、全日本ダート種牡馬ランキング(中央ダート+地方)を見ると、ロードカナロアは過去5年間、11位→6位→5位→4位→4位とじわじわ上昇しています。ダートを本業とする種牡馬に混じってこの成績は立派です。ドゥラメンテやキズナがこのレベルに到達していないのは、ダートを得意とするロードカナロア産駒が、上級クラスでも好成績を挙げる傾向にあることが大きいでしょう。JpnIを勝ったレッドルゼルを筆頭に、バーナードループ、テイエムトッキュウ、エンペラーワケアがダートグレード競走を勝っています。

 エンペラーワケアは「ストームキャット3×3」というインブリードを持ちます。ストームキャットはパワー寄りの特長を伝えるため、このインブリードを持つロードカナロア産駒は、芝12勝、ダート16勝と、芝よりもダートの勝利数が上回っています。

 エンペラーワケアは、3代母ジュエルプリンセスが米最優秀古牝馬に選ばれたパワー型の名牝で、半兄サンライズラポール(父コンスティテューション)はダートでオープンクラスまで出世しました。典型的なロードカナロア産駒のダートホース、という血統構成です。

◆血統で振り返るシルクロードS

【Pick Up】ルガル:1着

 2023年のチャンピオンサイアー・ドゥラメンテは、距離適性や馬場適性が幅広く、さまざまなタイプの活躍馬を出しています。距離適性だけを見ても、1200mから3200mまで幅広いレンジで重賞勝ち馬を出しています。交配牝馬の特長をうまく活かすことができるからでしょう。

 ルガルは、キングマンボの半妹イーストオブザムーン(仏1000ギニー、仏オークス、ジャックルマロワ賞)の直系子孫にあたる良血。母方にサドラーズウェルズを持つドゥラメンテ産駒、という配合パターンからは他にタイトルホルダー(宝塚記念、天皇賞(春)、菊花賞)が出ており、連対率、1走あたりの賞金額、勝ち上がり率、2勝以上率とも、ドゥラメンテ産駒の全体成績を上回っています。

 スプリンターは優れたスタミナ血統を抱えていることが重要で、それがスピードの持続力や底力の担保となります。ルガルの配合構成はそうした意味で好ましく、4歳を迎えてようやく覚醒した感があるので、高松宮記念が楽しみです。