1月18日、岸田文雄首相が会見で、自らが会長を務めていた宏池政策研究会(岸田派)の解散を告げると、翌日には雪崩を打つように志帥会(二階派)、清和政策研究会(安倍派)も解散を表明した。

「億単位の裏金が判明したにもかかわらず、政治資金規正法がザル法だったばかりに、逮捕・立件された議員はいまのところ3名だけ。5年間で6億円を超えるキックバックをしていた安倍派の重鎮7人はおとがめなしという結末に、いまや派閥は国民から『悪の権化』のように思われています。

 派閥解散の流れは止めようがありませんが、今後は麻生太郎副総裁が会長の志公会、茂木敏充幹事長が会長の平成研究会の判断が焦点になります。

 麻生氏は、岸田首相から事前に派閥解散の話がなかったことに激怒しており、しかも自派に裏金問題がなかったことから『俺たちの派閥は何も悪いことはしてねえ』と周囲に言っているそうです。

 そのため、派閥解散はしない意向で、岸田首相にも伝えたようです。茂木派も巻き込んで独自路線で行く覚悟ですね。岸田首相と袂をわかつ覚悟で、“ケンカ太郎” の本領発揮です」(政治担当記者)

 このままいけば党の分裂も招きかねない事態だが、安倍チルドレンをはじめ当選回数が少ない議員は、派閥という「物心の拠りどころ」がなくなり不安を隠せないという。

 政治アナリストの伊藤惇夫氏は、本誌の取材にこう話す。

「派閥は解消されたように見えても『勉強会』などに形を変えて維持・結束することがあります。実際、清和会を創設した福田赳夫元首相の孫、福田達夫元総務会長(当選4回)が『反省の上に新しい集団をつくっていくことが大事』と新グループを作ることを宣言しています」

 そうしたなか、驚きの報道が――。19日、自民党無派閥の若手・中堅議員有志らによる「無派閥情報交換会」が発足したのだ。

「会の発起人は、無派閥の菅義偉前首相に近い坂井学氏、同じく無派閥の石破茂元幹事長と同じ鳥取県が地盤の赤沢亮正氏などです。19日の会合には19人が参加しましたが、党内では『無派閥という名前の派閥ができたのか』と皮肉の声も聞こえてきます。

 派閥を失った議員がここに合流するかどうかはわかりませんが、今後はこのようなグループがいくつもできると思います。そして、ひとりの議員がさまざまなグループに所属するとみられます。個々の議員がいくつもの議員連盟に所属するイメージです」(同)

 ニュースサイトのコメント欄には、

《無派閥が集まって意見統一するとそれはもう派閥なのでは?》

《無派閥という名の派閥という批判はあるが、あれだけの人数の国会議員が居れば、何らかのグループが出来てしまうのは仕方ないだろう》

《今まで党内で何も出来なかった方々が、今更集まって何ができると?》

 などさまざまな意見が寄せられている。派閥がなくなった議員は “漂流” するしかないのかもしれない。