iPhoneにApp Store以外からアプリをインストールする「サイドローディング」対策のためAppleがApp Storeを分割する可能性が浮上
AppleはApp Store以外からのアプリインストールをユーザーに許可しておらず、EUや日本から「市場の競争力を失わせている可能性がある」として是正が求められています。EUではデジタル市場法(DMA)の施行により間もなくサイドローディングの許可が強制される見込みですが、この法律に対応するため、AppleがApp Storeを分割する準備を進めている可能性があることがわかりました。
https://www.macrumors.com/2024/01/15/app-store-to-be-split-in-two/
Apple will reportedly launch a separate App Store in EU to allow sideloading
https://mobilesyrup.com/2024/01/15/apple-eu-app-store-sideloading/
Apple関連情報に詳しいBloombergのマーク・ガーマン氏によると、AppleはEUの要求に従うためにEUのApp Storeをほかの地域から切り離し、法的要件に準拠するための調整を行う予定だとのこと。
これにより、EU向けのApp Storeと、その他地域向けのApp Storeが誕生するだろうとガーマン氏は予想しました。
デジタル市場法は、Appleに対し、iOSアプリをApp Store以外で配布することを許可することや、アプリ内購入時にサードパーティの支払いプラットフォームの使用を許可することなどを求めています。
Appleはサイドローディングをこれまで許可してこなかった理由として「App Store以外からアプリをインストールするのはユーザーにとって危険である」という説明を行っていて、仮に許可した場合、悪意のあるランサムウェアがユーザーの端末に侵入したり、子どもがペアレンタルコントロールを回避したりし、iOSのセキュリティ低下を招く危険があると訴えていました。
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ストア内手数料に関しては、AppleがApp Store内での決済に30%の手数料を課していたことが以前から問題視されていました。手数料を回避しようとEpic Gamesが独自の決済システムを導入した際はAppleから追放されてしまい、これを不服としたEpic GamesはAppleに対して訴訟を提起。手数料を徴収していること、独自の決済システムを認めないことは独占禁止法等に違反していると訴え、独自の決済システムを認めないのは違法という点においてのみ、Epic Gamesの言い分を認める判決が下されました。
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その後、EUがデジタル市場法を施行。Appleは2024年3月7日までにこの法へ準拠する必要があります。2024年1月にはAppleのティム・クックCEOとEUのマルグレーテ・ヴェスタガー独禁法委員長が面会を果たしていて、この会合でEU側がサイドローディングの許可について念を押し、順守しなければ法的制裁に直面する可能性があると警告したと伝えられています。