びっくりドンキー「435円モーニング」がくれる幸せ
びっくりドンキーのトーストモーニングは超魅力的。店舗によって価格は異なりますが、東京で食べても十分すぎるほど安いのだから、スゴいです(筆者撮影)/配信先では写真を見られない場合があります。本サイト(東洋経済オンライン)内で御覧ください
喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。
そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第58回となる今回、訪れたのは「びっくりドンキー」です。
飲食チェーンが密かにしのぎを削っているジャンル、それが「モーニング」です。集客の弱い時間帯である午前中の売り上げを強化すべく、朝の数時間だけ提供される限定メニューは、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。なかでもファミレスチェーンはモーニングの激戦区。大手チェーンの朝限定メニューの充実ぶりは驚くほどです。
2024年最初のチェーン店モーニングは、「びっくりドンキー」をご紹介します。ファミレス業界でも独自路線をひた走る「びっくりドンキー」らしさがキラリと光る、バリューを感じさせる魅力的な布陣となっています。
モーニングメニューは330円から935円まで
「びっくりドンキー」のモーニングメニューの販売時間は、開店(朝8時もしくは9時)から11時まで。全国250以上の店舗で実施されています。筆者が利用した店舗では、朝10時まではモーニングメニューのみの販売となっていました。
モーニングメニューは大きく分けて4つのカテゴリーに分かれています。
(筆者撮影)
(筆者撮影)
(筆者撮影)
(筆者撮影)
・ドンキースペシャルブレックファスト(目玉焼きorスクランブルエッグ) 税込935円
・ミニマムディッシュセット 5種類 税込720円から(単品販売あり)
・トーストセット 3種類 税込435円から
・卵かけご飯(みそ汁付) 税込330円
(※店舗により価格が異なります。当記事に記載されている価格は筆者が利用した東京23区内の店舗のものになります。詳細はお近くの店舗のページを御覧ください)
300円台という低価格メニューからはじまり、一番高いものでも1000円以下となっています。価格設定はかなり控えめという印象です。
もともと「びっくりドンキー」は、客単価がランチ1100円、ディナー1250円と、決して安さを売りにしたお店ではありません。つまり、常連客であればあるほど、朝限定メニューの価格設定のお得さがわかるのではないでしょうか。
トーストセットはコーヒーおかわり無料で435円から
「びっくりドンキー」ならではの、洞窟のようにデコレーションされた内装や、他店では味わえない木のお皿で提供されるハンバーグなど、おいしさにプラスしたワクワクする仕掛けは、モーニングでも健在です。
洞窟の中のような独特の内装で、インディー・ジョーンズの世界に迷い込んだようなワクワク感を演出(筆者撮影)
なかでも、「トーストセット」は朝限定メニューのなかでもひときわ魅力を感じました。トースト、ゆでたまご、ドリンクという、モーニングの定番中の定番メニューが、「びっくりドンキー」にかかると、こんなに魅力的になるのかという好例です。
トーストセット3種。400円〜500円台で、このボリュームは嬉しい(筆者撮影)
・プレーントーストセット 税込435円
・チーズトーストセット 税込545円
・ポテサラトーストセット 税込545円
セットドリンクは「みそ汁」も選べるワクワク感
オーダー時にセットのドリンクを選ぶのですが、その時点でワクワクがはじまります。選べるドリンクは11種類。
(筆者撮影)
・みそ汁
・ホットコーヒー(シングル)
・ホットコーヒー(ブレンド)
・アイスコーヒー(シングル)
・アイスコーヒー(ブレンド)
・ホットウーロン茶
・アイスウーロン茶S
・太陽のオレンジS
・コーラS
・ヨーデルS
・メロンソーダS
まず、タブレットの選べるドリンクの一番上に表示された「みそ汁」という文字にワクワク。トーストとみそ汁という、 他のお店では提案されない組み合わせが、なんとも「びっくりドンキー」的です。健康志向な人にとっては、嬉しい選択肢なのではないでしょうか。
セットサラダ110円。びっくりドンキーのサラダは千切り大根がベース。コクのあるオリジナルマヨネーズがおいしい(筆者撮影)
また、500円以下という価格設定も絶妙です。オプションで税込110円の「セットサラダ」を追加できるのですが、「プレーントースト」に「セットサラダ」を追加しても、545円というお手頃さ。
この組み合わせで545円。和洋折衷なヘルシーモーニングです(筆者撮影)
トースト、ゆでたまご、サラダ、みそ汁という組み合わせで食べれば、朝から発酵食品のお味噌汁に、タンパク質や野菜も摂取でき、栄養バランスもなかなかのものです。
コーヒーも超こだわっている
コーヒーはホット、アイス共に何杯でもおかわりが無料というのも、お得心をくすぐります(ホットならホット、アイスならアイスのみおかわり可能)。
現在「びっくりドンキー」では「シングル」「ブレンド」という2種類のコーヒーが提供されており、おかわりの際はどちらでも選べるので、コーヒーの飲み比べも楽しめます。
さらに、「ヨーデルS」は、単品価格が税込410円(レギュラーメニューの時間帯だと440円)なのに、税込435円の「プレーントーストセット」のセットドリンクに選べるというのもすごい。ヨーデルを注文したら、トーストとゆでたまごがもらえて、さらに25円のおつりが戻ってくるのと同義なので、これをお得と言わずしていかにいわんや。
左がホットコーヒー、右がヨーデル。プレーンヨーグルトと飲むヨーグルトと中間程度の、とろりとした食感はまるで飲む食べ物。しっかりとしたヨーグルトのうまみと、優しい甘みは、癖になるおいしさ(筆者撮影)
ゆっくりしたい時はおかわり無料のコーヒー、栄養バランスが気になる時はみそ汁やヨーデルなど、その日の気分や体調に合わせて選べるのは大きな魅力です。
ちなみに、びっくりドンキーで使用しているコーヒー豆は、自社基準を満たしたスペシャルティコーヒーです。公式サイトによると「産地に行って直接取引し、北海道にある自社工場で焙煎しています」「びっくりドンキーで使用している珈琲豆の原産国は、グアテマラ、エチオピア、ペルー。産地と直に取引しているため『誰がどこで栽培した豆か』が明確です」(本文ママ)とのこと。
びっくりドンキーがいかに品質にこだわっているかは、ハンバーグを一口食べると容易に理解できるところですが、コーヒーもここまでこだわっているとは、知らない人もいるのではないでしょうか。
トーストはサクサク、こだわりが続々
「トーストセット」に使用されているトーストの厚みは2.5mmほど、5枚切り食パン相当の厚みです。パンの種類は昔ながらの角食パンで、しっとりとかふんわりというよりは、みっしり詰まった水分少なめの感じです。
焼き色は薄いのに、驚くほどサクサクのトースト。5枚切りの厚みで食べ応えも十分(筆者撮影)
焼き色は薄いキツネ色で、一見すると「軽くトーストしてある程度かな?」というビジュアルなのですが、焼き方にひと工夫があるようで、かじると「サクッ」といい音がして、パンの耳まで香ばしくておいしい。軽い食感でパクパクと食べられますが、食べ終わるとしっかりお腹を満たしてくれる満足感もあります。
プレーントーストにはホイップバターが付いてきます。マーガリンじゃなくてバターなのが高ポイント。
チーズトースト。シュレッドチーズとチーズクリームのダブルチーズで、深い味わい(筆者撮影)
チーズトーストは、表面は香ばしく焼いて焦げ目がついた黄色いチーズ、内側には酸味が強めの白いチーズソースの、ダブルチーズ仕上げです。食感のコントラストも楽しく「さすがびっくりドンキー、一筋縄ではいかないな」と関心しきり。
ふりかけられた、パプリカパウダーとドライパセリとの色のコントラストも美しく、風味もプラスされて、ただのチーズトーストとは一線を画すおいしさです。
ポテサラトーストを横から撮影。トーストに荒くつぶしたポテトサラダをたっぷりのせて、香ばしく焼き上げました(筆者撮影)
最もパンチがあったのが、ポテサラトーストでした。まずボリュームがすごい。荒くつぶしたポテトサラダをたっぷりのせて、そこにシュレッドチーズもオンして、香ばしく焼き上げています。サクサクのトーストに、ほくほくのポテサラの、食感のコントラストも楽しい。
マスタードの風味を効かせた味付けで、ピリ辛で酸味もあり、食欲のない朝でもペロっといけてしまいそうです。
ゆでたまごはハードボイルド(筆者撮影)
トーストとゆでたまごとドリンクという、なんの変哲もない定番モーニングなのに、ちょっと特別。思わずまた行きたいと思わせる朝メニューでした。
びっくりドンキーらしさを忘れない個性的なメニューと、競合他社とも競り合える絶妙な価格設定
「びっくりドンキー」がモーニングに参入したのは、2021年。当時は、コロナ禍で緊急事態宣言を受け時短営業を余儀なくされ、多くの飲食チェーンが朝の営業に踏み切った時期でもありました。
現在では、その多くが終了してしまっています。けれど「びっくりドンキー」は、そうはなりませんでした。
モーニングの実施店舗は昨年よりも増加(筆者撮影)
当記事で紹介した、ほぼ1コインで食べられる「トーストセット」はもちろんのこと、「びっくりドンキー」の看板メニューであるハンバーグ、ライス、サラダのセットをお皿ごとミニサイズにした「ミニマムディッシュセット」は、「朝からびっくりドンキーのメニューを食べたいけれど、ボリュームは控えめがいい」という人にぴったりです。
700円台から900円という、朝食としては安い価格帯ではないものの、レギュラーサイズよりも200円ほど安めの価格設定は、ファンであれば十分にお得さが伝わるはず。
2023年に取材した、オリジナルのハンバーグソースで食べる卵かけご飯。びっくりドンキーでしか食べられない味(筆者撮影)
以前、当連載でも取り上げたのですが、「卵かけご飯」は、牛丼チェーンでもお馴染みの和朝食でありながら、しょうゆのかわりにハンバーグソースで食べるという「びっくりドンキー」でしか味わえない提案がされています。
牛丼チェーンが200円台後半で提供している内容を、数十円しか差がない、330円という価格で販売して、新たな付加価値まで提供するあたりに、本気を感じます。
びっくりドンキーの強みを生かしたメニュー開発と、バリュー感のある価格設定が特徴のモーニングメニューでした(筆者撮影)
「びっくりドンキー」らしさに溢れる独自性のあるメニューと、競合他社と戦う気概に溢れた、絶妙な価格設定に、もはや脱帽の朝でした。
編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。
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(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)