航空会社によっては航空券と別に、座席を指定して料金を払うシステムを導入している会社もあります。同じ航空会社の同じエコノミーでも、席によって約2.6倍の差がある便も。この差を“実りある”ものとするには、どうしたらいいのしょうか。

指定料金は往路が約4300円、復路約1万1300円

 旅客機の国際線航空券は、別料金を払って座席を指定するスタイルが、世界中のFSA(フルサービスのある航空会社)のなかで浸透しつつあります。しかし、“アタリ席”とされる区画の指定料金は航空会社ごとにかなり差があるほか、同じ航空会社のエコノミーだとしても、座席の場所によりかなりの価格差が生じることも。座席は位置によって様々なメリット・デメリットがありますが、追加料金での座席指定は、果たして割に合うものなのでしょうか。


エミレーツ航空機。中東を拠点とする大手フルサービスキャリアのひとつ(画像:エミレーツ航空)。

 今回筆者は、中東と日本の往復便をFSAのエコノミークラスで予約し、往路便は「早く降機できる」とうたった客室前方の座席を、復路便は「足元が広い」をセールスポイントにする非常ドア横の座席を指定しました。

 料金は往路が約4300円、復路約1万1300円で、約2.6倍の差があります。また、ラバトリー(化粧室)は往路が指定した座席のすぐ後ろに、帰国便は座席の前にありました。

 実際、往路便の座席はビジネスクラスのすぐ後ろに位置していたため、さほど待たずに降りることができました。復路便も確かに、非常口に面して通路は広々としていて、足を投げ出したり膝を組んだりもできました。双方の我慢のしどころは、エコノミー席ゆえにひじ掛けの幅が狭かったことでしょう。

 ただし、「考えが及ばずにしくじった」と思ったのがラバトリーです。食後に歯を磨いたり、乾燥する機内でうがいをしたりするのに、ラバトリーは近くにあったほうが便利です。

快適な「広〜い足元席」、ただ航空ファンとしては“弱点”も?

 そのため行きも帰りもラバトリーの近くを選んだのですが、座席の後ろにあると、ラバトリーを待つ乗客に気づかないこともありました。予約前は、乗客の足音で待っている人がいるかいないか分かると思ったのですが……。

 一方、帰国便はラバトリーこそ座席の前にありましたが、テレビ画面などのエンターテインメントシステムは、離着陸時はひじ掛けの下に収納しなければなりません。このため、機外カメラで離着陸の様子を見ることは叶いませんでした。

 もちろん、これは飛行機に興味がなく、フライトを通して睡眠をとる乗客にとっては気にするほどではありません。ただ機外カメラの映像は、どの滑走路を使うかを見たり、横風が吹いてれば機首をどのくらい風上へ向けて滑走路へ進入しようとしたりしているかなど、飛行機好きを楽しませてくれます。ファンとしては復路便の収納式のエンターテインメントシステムでは、それができずに少し残念な思いをしてしまいました。

 結局、2.6倍の差は納得のいくものだったのか。その後に予約した他社のシンガポール便は、足元が広い席の指定料金は6000円なのを思うと、いささか差はあったな……と思うのと同時に、往復ともに指定料金はもう少し安くても良かった、と感じた次第でした。

 座席指定をする際には「広さ」を重視することはもちろんですが、シートの仕様などを含めていろいろな角度から吟味してから指定するほうが、後悔のない旅ができそうです。