はま寿司の「1001円モーニング」に胃袋が満ちる朝

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はま寿司のモーニングは、お得な価格設定と豊富な朝限定メニューが魅力です(筆者撮影)/配信先サイトでは画像をすべて見られない可能性があります。その場合は本サイト(東洋経済オンライン)内でご覧ください

喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。

そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第57回となる今回、訪れたのは「はま寿司」です。

ひそかに飲食チェーンがしのぎを削っているジャンル、それがモーニングです。集客の弱い時間帯である午前中の売り上げを強化すべく、朝の数時間だけ提供される限定メニューの数々は、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。

12月は家族や友達、恋人など、誰かと一緒に行きたいモーニングをピックアップ。なんと回転寿司「はま寿司」がモーニング営業を開始しました。朝限定メニューは価格も内容も魅力的で、1皿に人気ネタ2種類のお寿司が乗ったメニューなどもあり、ちょっとだけ食べたい人にも、安くお腹いっぱい食べたい人にもぴったりです。

はま寿司のモーニングが食べられるのは全国で3店舗のみ


はま寿司の朝食は、2023年秋頃から一部店舗で実施中(筆者撮影)

「はま寿司」のモーニング「はま寿司の朝食」は、今年2023年の秋頃から一部店舗限定で試験的に導入されています。「はま寿司の朝食」が実施されているのは現時点で3店舗。

・松戸高塚新田店(千葉県)

・横浜上白根店(神奈川県)

・敦賀店(福井県)

提供時間は、開店から朝10時まで。筆者が利用した店舗は、日本一開店が早い店舗ということで、朝5時からモーニングメニューを販売していました。

数日前までは、港区新川店(愛知県)でも実施していたのですが、現在は休止しているとのこと。


朝5時から営業中のロードサイド店では、入り口にポスターが掲示されていました(筆者撮影)

実は2020年頃に「かっぱ寿司」でも、中部地方の店舗限定でモーニングを実施していたことがあるのですが、半年ほどで撤退してしまったという苦い過去があります。回転寿司チェーンとモーニングの相性は良さそうな気がするのですが、顧客層への周知や朝営業のための人員の確保など、実際はなかなか難しいのかもしれません。

それを知らないはずがない「はま寿司」が、モーニングメニューの実施に踏み切ったことに、チェーン店の朝メニューマニアとしてはエールを送らずにはいられません。実際に利用して、寿司モーニングは、かなり満足度が高かったので、サービス拡大からの「朝寿司文化」の定着を狙ってほしいところです。

「はま寿司」の母体である「ゼンショーホールディングス」は、「すき家」や「なか卯」、「COCO'S (ココス)」など、モーニングメニューの成功事例を多数持っているため、ここからの展開に期待です。

価格的にも内容的にもお得感のある朝限定メニュー

モーニングといえども、定食などのセットではなく、朝限定のメニューを通常と同じように単品注文するシステムになっています。レギュラーメニューより品数は少ないものの、定番は網羅され、朝限定のメニューも多く用意されており、価格設定も安くなっているため、お得感は強い印象です。


(筆者撮影)


(筆者撮影)

以下に朝限定メニューの一部を紹介します。

朝寿司
・まぐろ・旨だしたまご 二種盛り 税込110円
・サーモン・真いか 二種盛り 税込110円
・ツナたま太巻 税込165円
・シーフードサラダ太巻 税込165円

朝ラーメン
・朝ラーメン<醤油> 税込330円

お茶漬け
・寿司屋の朝茶漬け<サーモン・たらこ>税込330円

おかず
・焼きさば 税込308円
・ソーセージ(1本) 税込176円
・炙りとろサーモン<おろし> 税込176円
・牛カルビ 税込176円

はまカフェ
・Sサイズドリンク 一律 税込110円
・Mサイズドリンク 一律 税込165円

すべて記載していると2ページくらいかかりそうなので、あくまで上記は抜粋ですが、「はま寿司」の朝メニューの豊富さが伝わったのではないでしょうか。


タブレットに表示された朝寿司。限定メニューには、太陽のマークが付いています(筆者撮影)

特に注目したいのは二種盛りの存在です。まぐろとたまご、サーモンと真いかなど、1皿に人気ネタを1貫ずつ乗せた朝寿司は、「ちょっとずついろいろ食べたい」という欲望を満たしてくれます。

焼きさばやお茶漬けなども…組み合わせは無限

単品メニューでは、焼きさばやお茶漬けなどもあり、オリジナル和朝食のセッティングも可能です。


ラーメンやお茶漬けなど、朝だけのオリジナルのメニューも販売(筆者撮影)

ドリンクメニュー「はまカフェ」も朝限定価格として、一律価格で販売しています。一番値引き率の高い「抹茶ラテ」の場合、お昼以降に注文した場合と比べて、SサイズMサイズともに、消費税込みで88円お得です。

また、「はまカフェ」は、この値段でフェアトレードコーヒーを使用。以前、同じくゼンショーが運営する「モリバコーヒー」のモーニングをご紹介しましたが、大量仕入れの賜物と言えるでしょう。

回転寿司ならではの選ぶ楽しみを朝から満喫

今回注文したのは、にぎり寿司3皿6貫と、巻き寿司1皿2切、小鉢とラーメン。全て朝限定のメニューで、並べるとメリーゴーランドのようなにぎやかさです。価格は全部合わせて税込1001円でした。


これだけ食べて1001円。大満足の朝食です(筆者撮影)

これでもかというほど胃袋を満たしてほぼ1,000円。なんというお得感でしょう。ガラスの仮面の月影先生ばりに白目を向いて言いたい、「はま寿司、恐ろしい子」。

テーブルに埋め込まれたタブレットを使用して注文すると、数十秒後にベルトコンベアに乗せられた寿司がバビュンと高速でやってきます。食べる前の「選んで届くまで」の演出までもが楽しい。


ベルトコンベアに乗せられて、お寿司が猛スピードでやってきます(筆者撮影)

回転寿司という総称は未だ残っているものの、近年では回転レーンはなくなり、タブレットでオーダーすると、出来立ての料理がレーンから届くシステムに変更されています。新鮮で味の劣化がないお寿司が食べられるようになった点も、おいしさのうえで嬉しい変化です。

二種盛りで、人気メニューをちょっとずつ食べられるのが魅力のにぎり寿司は、「まぐろ・旨だしたまご 二種盛り」「まぐろ・サーモン 二種盛り」「サーモン・真いか 二種盛り」をチョイス。

寿司皿に2種類のネタが乗っているのは、お子様ランチっぽくもあり、テンションが上がります。


大人気のネタを1貫ずつ。まぐろ・サーモン 二種盛り(筆者撮影)

はま寿司の楽しみ、それは調味料(4種類の醤油+ゆずぽんず)の豊富さです。しかもどれもおいしいのです。同じネタでも1貫ずつ別の調味料をかけて食べると、「ゆずぽんず四国風」は通常のポン酢よりもさっぱりしています。「さしみ醤油九州風」は煮詰めた甘だれのような、とろみと甘みがあり、おなじみの寿司ネタでも、新しい味わいが発見できます。


オリジナルパッケージの醤油が5種類。味わいに変化を与えてくれます(筆者撮影)

同じ醤油でも、それぞれにこんなに味が違うものかと、調味料の食べ比べを満喫しています。まぐろやサーモンはネタも厚くカットしてあるので、食べ応えも十分。はま寿司は全てのお寿司がわさび抜きで出てくるので、自分好みの量のわさびをネタの上に乗せてパクリ。

まぐろはネタの上にワサビをちょんと乗せて昆布醤油で。しっとりたまぐろの食感とやさしい酸味が、昆布醤油でより深い味わいに進化します。


ネタの厚みも十分で、ネタとのバランスもバッチリです(筆者撮影)

真いかは藻塩をパラパラふりかけてパクリ。あらかじめ乗っているしょうがとの相性も抜群です。真いかには隠し包丁もしっかり入っていて、歯切れもよく、口の中でやわらかくとろけます。

巻き寿司も具沢山で断面も美しく、食べておいしいのはもちろんのこと、目でも楽しめます。マヨネーズで味付けされているので、お子様でも食べやすく、生の魚が苦手な人にもおすすめです。


赤・緑・黄色と食欲をそそるカラフルな巻き寿司(筆者撮影)

寿司屋のラーメン・小鉢あなどることなかれ

回転寿司の魅力は、お寿司以外のメニューも充実しているところ。

たとえば「はま寿司」だと、ラーメンは税込330円。カップヌードルのレギュラーサイズが希望小売価格が税込254円というこのご時世に、チャーシュー1枚とねぎのトッピングがついてこの価格。サイズは小ぶりで、ラーメン専門店の2/3程度のボリュームですが、それにしても安い。

回転寿司店ではラーメンをサイドメニューとして提供していることが多いのですが、なかでも「はま寿司」は期間限定のラーメンを販売するなど、特にこだわりがあるお店です。


朝ラーメンは麺もスープも本格的で、あなどれないおいしさ(筆者撮影)

朝ラーメンもかなり本格的で、麺はもちもちの中太ストレート麺、透き通ったクリアなスープは甘口の醤油味で、老若男女にウケそうな、好き嫌いのない癖を控えたおいしさ。古き良き中華そばのような味わいです。ベルトコンベアで運ばれてくるためか、やけどしない程度の温度感で手元に届きました。


炙りとろサーモンの小鉢。こってり脂の乗ったサーモンと大根おろしのハーモニーがたまりません(筆者撮影)

小鉢は、たっぷりの大根おろしに、大葉と炙りとろサーモンが2枚。ゆずぽんでさっぱりいただくと、じゅわわと滲み出たサーモンの脂が朝から胃袋に染みます。脂っぽいけど、そこがうまいのです。

おひとり様にもおすすめしたいはま寿司モーニング

「はま寿司」のモーニングは、家族や友達とわいわいおしゃべりしながら、朝からたらふく食べるのももちろん最高ですが、実はおひとり様にもぴったりです。混雑する時間は1人客がテーブル席を利用するというのは現実的ではないものの、朝時間なら全然OK。

テーブル席はゆとりのあるつくりなうえに個室感があるので、お寿司をちょっとつまんで小腹を満たしてから、食後のコーヒーを飲みながらゆっくり手帳を書いたり、本を読んだりと、1人時間を満喫できます(あくまで空いてる場合ですが)。

お寿司2皿とコーヒーSサイズなら、330円。この価格で、ボックス席のフカフカのハイバックのベンチソファに座って、広々としたテーブルを独り占めできるのは朝ならではの贅沢です。


食べ終わったお皿をまとめて、広々としたテーブルで手帳活をするのもオススメです(筆者撮影)

もちろん、筆者のように1000円程度かけて、お腹ギッチギチになるまで食べるのもおすすめ。いずれにせよ、素晴らしい朝時間を過ごせることでしょう。

朝8時半の混雑具合は…

今回「はま寿司」のモーニングを利用するにあたって、「冬休みなので混雑してそうだなぁ」と思っていたのですが、平日朝8時半に到着した時点では、ほとんどお客さんはいませんでした。

「まだ認知されていないのかな?」と思っていたところ、9時頃から店内はどっと賑わいだしました。小さなお子さんのいる家族連れや、現場仕事前の腹ごしらえにきた作業着姿の男性グループ、夜勤明けの人たちの忘年会など、バラエティ豊かな客層です。

忘年会のテーブルでは、朝9時すぎから全員ビールを注文し「今年もお疲れ様でした」と音頭をとって乾杯しています。その向かいでは、作業着の若者が、人懐っこいやんちゃな敬語を使いこなし、「朝から寿司、最高っすネ」と、上司らしき中年男性と舌鼓を打っていました。

「そうそう、朝から寿司って最高なんだよネ!」

思わず、心の中で作業着の若者に同意した筆者。さまざまなドラマを感じられる、人間讃歌に満ちた朝でした。

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。


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(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)