歯周病の人は糖尿病になりやすい?

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 歯の周辺の組織に炎症が起こる「歯周病」。歯の代表的な病気の一つであり、日本人の“国民病”ともいわれるほど、多くの罹患(りかん)者がいることで知られています。歯周病はさまざまな病気との関連性が指摘されていますが、そのうちの一つに「糖尿病」があり、「歯周病の人は糖尿病を発症しやすい」といわれることもあるようです。

「歯周病の人は、糖尿病になりやすい」説は本当なのでしょうか。自身も1型糖尿病歴30年で、著書に「血糖値を自力で下げるやり方大全」(フォレスト出版)がある、内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。

歯周病を治療すると血糖値も改善

Q.「歯周病の人は糖尿病を発症しやすい」といわれていますが、これは本当なのでしょうか。

市原さん「本当です。歯周病が進行すると、歯周病菌や炎症を起こす生理活性物質(インターロイキンなど)が全身の血液を巡って、インスリンの効き目を弱めてしまうのです。つまり、血糖値が上がりやすくなり、糖尿病を発症しやすくなります」

Q.一方、その逆で「糖尿病の人は歯周病になりやすい」といわれることもあるようです。これについてはどうでしょうか。

市原さん「全員ではもちろんありませんが、2型糖尿病の患者さんは甘いものが好きなことが多いものです。甘いものは虫歯だけでなく、歯周病リスクも上げます。糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、歯茎の毛細血管がもろくなり、免疫力も低下させるため、歯周病にかかりやすくなります」

Q.歯周病の治療によって、糖尿病の症状が改善することは実際にあるのですか。

市原さん「はい。『歯周病を治療すると血糖値が改善する』というデータが複数存在します。歯周病が改善することでインスリンの効き目がよくなり、血糖値が下がりやすくなるのです。

実際の患者さんでも、歯周病の治療をすると血糖値が改善することがあります。逆に、『最近、血糖値が悪い』という患者さんに歯周病が発覚することもあります。歯と糖尿病は密接に関連しているのです」