ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、小型のクロスオーバーSUVとして人気のスバルXV……から車名が変わった、クロストレックを取り上げる!

※こちらは「GetNavi」 2024年1月号に掲載された記事を再編集したものです

 

【PROFILE】

永福ランプ(清水草一)
日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。初老となり運転支援装置の必然性を実感、クルマを評論する際に重要視するように。

安ド
元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。妻子を抱えても愛車はMTにこだわる。

 

【今月のGODカー】

SUBARU
CROSSTREK

SPEC【Limited・AWD】●全長×全幅×全高:4480×1800×1575mm●車両重量:1620kg●パワーユニット:1995cc水平対向4気筒エンジン+モーター●最高出力:145PS(107kW)/6000rpm●最大トルク:188Nm/4000rpm●WLTCモード燃費:15.8km/l

266万2000円〜328万9000円

 

全体にマイルドで癒されるe-BOXER

安ド「殿! 今回はスバルの新型SUV、クロストレックです!」

永福「以前はXVという名前だったな」

安ド「そうです! 今回は海外での車名に合わせて、国内でもクロストレックに変更されました!」

永福「XVは個人的に好きだった」

安ド「どのあたりがですか?」

永福「インプレッサをベースに、肩肘張らないライトなSUVに仕上がっていて、サラッと自然体にカッコ良かった」

安ド「新型は、バンパーとか樹脂パーツの形がごちゃごちゃしててクセが強くて、良いんじゃないかと思います!」

永福「自然体なイメージではなくなったな。世界のデザイントレンドはシンプル方向だが、最近のスバルはそれに逆行している」

安ド「スバルらしい武装ではないですか?」

永福「ゴチャゴチャしているのが好きな人もいるから、それはそれで良いのだが」

安ド「ですよね! パワートレインは2.0lのe-BOXERのみです!」

永福「マイルドハイブリッドだな」

安ド「力強さは物足りないですが、悪路をガンガン走るような人でなければ、これで十分満足ですよね」

安ド「安ドよ。その認識は間違っておる。悪路はガンガン走ってはいけない。最低限のパワーで丁寧に走らねばクルマを傷めてしまうだろう」

安ド「言われてみれば……」

永福「お前は自分のパジェロで悪路をガンガン走るか?」

安ド「走りません! クルマが壊れないようにソーッと走ります!」

永福「だろう。SUVだろうとクロカン4WDだろうと、悪路をガンガン走るのは、ラリーなど競技のときだけ。実際には優しく走る」

安ド「つまり、力強さが物足りないこのe-BOXERは、悪路に向いているってことですか?」

永福「そのとおり。悪路ではエンジンの回転をあまり上げてはイカン。タイヤが空転して路面を削り、スタックするリスクが高まる」

安ド「目からウロコです!」

永福「実を言えば私は、スバル独自のハイブリッドシステムであるe-BOXERを、まったく評価していなかった」

安ド「ガクッ!」

永福「走りも燃費も中途半端で、箸にも棒にもかからないと思っていた」

安ド「そんな……」

永福「しかし今回、久しぶりにe-BOXERに乗って、実用車としては決して悪くないレベルに進化しているのを感じたぞ」

安ド「よかった!」

永福「低速域では小さなモーターが効果的にトルクを発揮する。元気に走ろうとするとまったく物足りないが、全体にマイルドで癒される」

安ド「実用的ですよね! ただ燃費はあまり伸びないみたいです」

永福「燃費にこだわる人は、このクルマを選ぶべきではないな」

 

【GOD PARTS 神】パワーユニット

進化を感じるスバル独自のハイブリッドシステム

先代(XV)ではガソリンエンジンとハイブリッドシステム「e-BOXER(イーボクサー)」の2種類から選べましたが、新型では進化したハイブリッドのみの設定となりました。従来は少々物足りないシステムでしたが、進化して制御もスムーズになりました。

 

【GOD PARTS 1】樹脂パーツ

クワガタか! 戦国武将か!

バンパー下部にあしらわれた黒い樹脂パーツは、左右ともフォグランプを取り囲むように大胆にデザインされています。まるでノコギリクワガタの大顎か戦国武将の髭のようで、ワイルドでとても強そうに見えます。

 

【GOD PARTS 2】SI-DRIVE

小さいけど操作はしやすい

走行モードを選ぶスイッチは、かつてセンターコンソールにダイヤル式で設置されていました。しかし、先代型(XV)あたりからステアリングに配置されるようになっています。小さいですが、慣れれば操作しやすいです。

 

【GOD PARTS 3】ステアリング

フレームを太くしてワイルドさを強化

ヘッドライトが細くなった一方で、フレームが太くなったグリルが、ワイルドなイメージを押し出しています。グリル内中央部にはカメラも設置されていて、映像をディスプレイに表示することでドライバーの死界を減らすことができます。

 

【GOD PARTS 4】ホイール

スピード感のあるデザイン

激しく回転しそうなデザインが採用されています。こちらの上級グレードはシルバーとブラックの配色でオシャレですが、下位グレードではダークメタリック単色で塗装されているそうで、そちらもカッコ良さそうです。

 

【GOD PARTS 5】カップホルダー

あえてのななめ配置

センターコンソール上に設置されるカップホルダーは、運転席用と助手席用が斜めにオフセットされる形でデザインされています。クルマのインテリアも、ちょっとした工夫で動きが出るという好例ですね。

 

【GOD PARTS 6】アイサイト

追加された広角カメラ

先進運転支援システム「アイサイト」には、広角単眼カメラが追加されています。これによって従来の約2倍の視界を確保したカメラが、見通しの悪い交差点で自転車や歩行者を捉え、より安全な運転をサポートします。

 

【GOD PARTS 7】荷室

床下を開けると見えるのは?

先代型(XV)より少しだけ容量は減りましたが、アウトドアを楽しむためのアイテムを積むには十分なスペースが用意されています。フロアボードを外すと、床下にハイブリッド用のバッテリーを見ることができます。

 

【GOD PARTS 8】ホイールアーチ

ディテールへのこだわり

SUVではオフロード車っぽさを演出する黒いホイールアーチが採用されがちですが、クロストレックのそれは、ただタイヤの周囲を囲むだけでなく、躍動的なデザインが施されています。フロントには空気の排出口までついています。

 

【GOD PARTS 9】車名

呼び方を変えて親しみやすさアップ!

「クロストレック」は海外で使用されていたネーミングで、日本では従来「XV」と呼ばれていました。クルマとしての方向性は、インプレッサのクロスオーバーSUV仕様ということで変わっていませんが、ちょっと親しみやすい雰囲気になった気がします。

 

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