苦くなければ飲みやすいのに…薬はどうして「苦い」ものが多いの? 薬剤師に聞いてみたら“明確な理由”があった
「良薬は口に苦し」という言葉があるように、薬の味について「苦い」というイメージを持つ人はきっと多いことでしょう。中には「薬は苦いから嫌い」「苦くなければ飲みやすいのに…」という人もいると思いますが、どうして薬は「苦い」ものが多いのか、その理由について知っている人は少ないかもしれません。なぜ薬は「苦い」のか、薬剤師の真部眞澄さんに、その理由を教えていただきました。
苦みの成分は「水に溶けにくい」
Q.「薬=苦い」というイメージがありますが、なぜ苦いのですか。
真部さん「多くの薬には、植物に含まれる『アルカロイド』という成分に似たものが含まれており、これが苦みの原因といわれています。
アルカロイド類の多くは有毒なのですが、水に溶けにくい性質を持っていることが知られていました。この苦みの成分を入れることで、水に溶けにくくするとともに、小腸で吸収されやすくなり、有効成分をきちんと体内まで届けることができます。つまり、効果を最大限に発揮できるように設計されているのです。
全ての薬にこの成分が含まれているわけではありませんが、含まれていない薬に関しても、薬を溶けにくくする構造が似通っていると、薬の味も苦くなりがちですね。
また、お子さんなどが誤って服用してしまったときに吐き出してもらえるよう、あえて苦みを加える場合もあります」
Q.苦い薬を飲みやすくするために、どんな工夫がされているのですか。
真部さん「甘い味をつけた『シロップ剤』の他、カプセル剤や錠剤などの外側をマスキングして、苦みを軽減させる方法が一般的です。錠剤の中でも、薄いフィルムで覆われた『フィルムコーティング錠』や、甘味料などでコーティングした『糖衣錠』など、いくつかのアプローチ方法があります」
Q.処方薬が苦くて飲みにくいとき、薬の苦みを軽減させる方法はありますか。
真部さん「一般的には、粉薬の場合は『オブラートに包む』、その他の形状では『服薬補助用のゼリーを使う』という方法があります。ゼリーの商品にはさまざまなフレーバーから選べるものもあるのですが、一部の抗生物質などは、果物のフレーバーの酸味に反応してしまい、苦みがより強調されてしまうこともあるので注意しましょう。
また、薬自体に影響がないものであれば、アイスクリームやジュース、ヨーグルトなどに混ぜて服用できるものもあります」
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薬は「おいしくないもの」「苦いもの」というイメージが強い人も多いかもしれませんが、苦みには「体内へ効果的に届けるため」という理由があったのですね。最近は飲みやすく改良されたものも多いですが、飲みにくさを我慢しながら服用している人は、一度かかりつけの薬剤師に相談してみると、いいアドバイスがもらえるかもしれませんよ。