頂き女子りりちゃんこと渡辺真衣被告(本人のYouTubeから)

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「頂き女子りりちゃん」こと渡辺真衣被告(25)。恋愛感情を利用し、2人の男性から合わせて約1億5000万円をだまし取った詐欺罪などに問われている。さらに、その金銭をホストクラブ「club LATTE」(2023年12月13日に廃業を発表)で使い、同店のホストと共に豪遊していたという。店側も、渡辺被告が詐欺で得た金だと知りながら、飲食代金として受け取ったとして関係者2人が逮捕された。

一般客が、こうした手口に引っかかって高額の金銭を奪われる事態に巻き込まれないために、どうすればよいか。「ルポ 新宿歌舞伎町 路上売春」(鉄人社)などの著書で知られる、ノンフィクションライターの高木瑞穂氏に話を聞いた。

「友達」「恋人」段階分けて演技

「頂き女子」に引っかからないために――高木氏は、渡辺被告のような女詐欺師の行動パターンとして、「友達が望まない妊娠してしまって困っている」「生活がカツカツで携帯代すら払えなくなりそう。そうしたら、もう、あなたに連絡できない!」といった虚言を弄してくる点を挙げた。

併せて「頂き女子」は、ホストが講じる、ある手段を同じように用いていると指摘した。すなわち、ターゲットの「時間」を奪う手だ。これは、悪徳であるか否かにかかわらずホストという職業の本質だという。「相手が考える時間を奪って、意のままに操れるようにするため」だ。

「戦術」として、たわいないあいさつも含めて1日に何百通ものLINEやメールを送る。その執拗さで「恋人以上に時間を奪ってきます」と高木氏。こうして、ターゲットが家族や友人などに相談する、また相談しようと考えるいとまを与えないのだ。「ホストの言動は全て疑ってかかるべき。嘘がないのは小ぎれいな外見のみ」とも指摘した。

ホストが女性ターゲットに狙いを定める場合、その相手が心から求めているものは何かを見極めていくと高木氏は説明する。具体的には「友達であること」「恋人であること」といった点だ。それが分かると、相手をそれほど本気にさせない「友達営業」に始まり、相手が本当に好きになるような「本営」といった、段階を分けて「演技」するのだという。

「この男は支払い能力が高い」とみられる要素は

昨今問題になっているのが、客に「ツケ払い」を促して多額の売掛金を発生させ、巨額の金銭を巻き上げる悪徳ホストだ。こうした手に引っかからないために、高木氏は、「自分自身がホストに対して抱いてしまっている感情の反対を、言葉にしていくべき」と勧める。

具体的には、ホストが恋人に見えてしまっている場合は、「私は友達として飲みたいんだ」といったフレーズを口にして、本心を偽装すべきだと指南。ホストがその発言に合わせて「友達営業」に切り替えてきたら、それは間違いなくターゲットをわなにはめようとしていると説明する。

ホストと「頂き女子」のような詐欺師に共通する、「嘘の特徴」にも言及した。ズバリ、「金額と期間」だと高木氏。例えば、「あと2時間以内にお金が必要」といった切迫感が強い物言いや、「9万2000円がどうしても足りない」といった、リアリティーがにじむような金額を要求してくるのだ。

さらに「女詐欺師に特にありがち」なのは、ターゲット相手の支払い能力をシビアに分析する点だという。「この男は支払い能力が高い」と判断する材料は、「40歳から60歳」「独身」という要素。ここから「本人が自由に使えるカネが多い」と見極めるという。

なお、先述した「9万2000円」のように額を刻まず、100万円といったまとまった単位を要求してくる場合もあると高木氏。それは「飛ぶ(姿を消す)兆候ですね」。ターゲットから十分に搾り取ったと判断し、連絡を絶とうとしている際の言動であると指摘した。

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)