Windowsのエクスプローラー(Windows Explorer。最近ではFile Explorerともいう)では、ツリーやフォルダーをたどって目的のフォルダーに到達することができる。Windows 11では、利用頻度が高いフォルダはエクスプローラーの「ホーム」(クイックリンク)に登録ができる。しかし、ある期間だけ高い頻度で特定のフォルダを開くことがある。筆者も原稿を書いている間は、該当のフォルダの利用率は高いが仕事が終わればアクセスする頻度は低くなる。こうしたパスをホームに登録、削除するのはちょっと面倒だ。

こうしたとき、環境変数を使うことができる。エクスプローラーウィンドウ上部のタブの下にあるパス欄(過去にIEと統合されてたためアドレスバーと呼ぶこともある)では、環境変数を使って指定されているパスを開くことができる。このとき、環境変数名を“%”でくくって指定する。ユーザーのホームディレクトリを指定したいなら、“%userprofile%”と指定する。環境変数は簡単に登録でき、標準状態でもユーザーフォルダなどが登録されている。

パス欄にプログラムの実行ファイル名パスを入れると該当のプログラムが起動する(引数を付けることもできる)。Win+Rの「ファイル名を指定して実行」と同じ。なのでcmd.exeの実行パスが登録されている環境変数“%comspec%”を入れると、Windows 11ではターミナルが開いてcmd.exeが、現在開いているフォルダで起動する。また、PATHが設定してあるコマンドは、コマンド名だけでも起動できる。ただし、エクスプローラーはパス欄に入力した文字列でのフォルダ名検索も行うため、同名のフォルダがあるとそちらが開かれてしまうことがある。これを防ぐには、「.exe」などの拡張子を付ける。たとえば“powershell”と入れると、ユーザーの「ドキュメント」の下のフォルダなどが開いてしまうが“powershell.exe”と入力すれば、Windows PowerShellが起動する。

環境変数を操作する方法はいくつかあるが、ファイルショートカットを以下のコマンドで作れば環境変数ダイアログを直接開くことができる(写真01)。これは、「設定 ⇒ システム ⇒ バージョン情報 ⇒ システムの詳細設定」から環境変数ボタンを押すのと同じダイアログボックスが開く。

C:\Windows\System32\rundll32.exe sysdm.cpl, EditEnvironmentVariables

写真01: エクスプローラーの右クリックメニューから「新規作成 ⇒ ショートカット」を選択し、「ショートカットの作成」ウィザードにコマンドを入れて「環境変数の編集」ショートカットを作れば、1クリックで環境変数編集ダイアログが開く

ただし、システム環境変数を編集するには、ショートカットを管理者として起動する必要がある。なお、最新のPowerToysにも環境変数の編集機能がある。

環境変数はユーザーが自由に設定できる。1文字の環境変数名(たとえばx)を使えば、エクスプローラーパス欄での指定も“%x%”などと簡単だ。エクスプローラーで使える環境変数は、ユーザーまたは、システム(マシン)環境変数であるため、前記の環境変数ダイアログで登録、修正を行う。コマンドラインではsetx.exeコマンドや「environment::SetEnvironmentVariable(<環境変数名>,<値>,"User")」コマンドを使う。作業開始時にスクリプトで利用フォルダのパスに名前を付けて設定すると以後のアクセスが楽になる。

たとえば、“x”に“c:\temp”を指定したい場合、

setx.exe x C:\temp

あるいは、PowerShell/Windows PowerShellから、

などとする。環境変数名は過去にはASCIIのアルファベットや数値とアンダーバーに限られていたが、現在ではユニコード文字も利用できる。

さて、現在のWindows 11 Ver.23H2では、エクスプローラーを開くと「ホーム」が開く。ここはディレクトリではなく仮想フォルダである。他のフォルダを開いているエクスプローラーのウィンドウから、「ホーム」に戻るにはどうしたらいいのか? パス欄に"ホーム"と入れると戻ることができる。安直すぎて、なかなか気がつかなかった。

今回のタイトルネタは、1986年の映画「故郷への長い道 スター・トレック4」(原題Star Trek IV: The Voyage Home)である。同シリーズの中では、比較的コメディタッチ。もっとも、設定を知らないと笑えないところも結構ある。