今年のクリスマスケーキ、平均価格は「4468円」…前年比325円アップ、“値上げの波”さらに実感か 帝国データバンク調査
もうすぐクリスマス。あなたは今年、クリスマスケーキを購入する予定ですか。帝国データバンク(東京都港区)が、予約販売が本格化する2023年冬シーズンの「クリスマスケーキ」価格について調査・分析を実施。その結果を発表しました。
ケーキの原材料価格が高騰
調査対象は、全国の大手コンビニエンスストア、百貨店、スーパー、洋菓子店などのうち、前年と価格が比較可能なオリジナルケーキブランド。比較対象は100社。標準的なイチゴショートケーキ(ホール型5号、4〜6人向けサイズ)、または目玉ケーキの税抜価格を調査したものです。
調査の結果、2023年冬シーズンの平均価格は「4468円」(税抜き)でした。1年前の2022年冬(以下「昨シーズン」)の「4143円」に比べて325円、率にして7.8%の値上がりとなっています。本格的な値上げラッシュが始まる前の2021年冬シーズンに比べると、529円・13.4%の値上がりとなり、クリスマスケーキは2年間で1割超の大幅値上げとなっていることが分かります。
前年から価格が上昇したケーキを見てみると、値上げ幅として最も多いのは「500円以上」と「300円未満」で、それぞれ20社に上ったことが分かりました。500円以上の値上げは、百貨店や洋菓子店において主力となる4000〜5000円台の中高価格帯ケーキに、また300円未満の値上げは、量販店やスーパーなどで販売される3000円台のケーキに、それぞれ多くみられたということです。
値上げ幅は次いで「400円未満」(18社)、「200円未満」(14社)、「500円未満」(9社)と続く結果に。同社は「調査対象の100社のケーキのうち、昨シーズンから前年から価格が上昇したケーキは81社に上った」としています。ただ、500円以上値上げした企業は昨シーズンに比べて倍増した一方で、値上げ幅を「200円未満」に抑えた企業は14社(前年比10社減)となるなど、「大幅値上げを決断したクリスマスケーキが目立った」結果となりました。
この背景について、同社は「昨シーズンに続き、原材料価格の高騰による影響を大きく受けた」と分析。実際に、スポンジの原料となる小麦粉(強力粉)の価格は比較的落ち着いた水準で推移したものの、春先の「エッグショック」以降、価格が高止まりする鶏卵、砂糖や牛乳といったケーキの主要原材料の多くが1.2倍前後の値上げ(前年比)となっています。
さらに、猛暑による植栽遅れといった影響を受けたイチゴは最大で1.5倍超に高騰している他、12月には大手乳業メーカーでバターが一斉値上げとなったことからも、「一層のコストアップが見込まれる」としています。食材以外にも、テイクアウト用の化粧箱や食品フィルムなどの資材費、電気・ガス代、人件費も高騰しており、同社は「昨年よりも原材料価格高騰分を上乗せして値付けするケーキが多い要因となっている」とみています。
同社はさらに、「4年ぶりにコロナ禍の制限がないクリスマスを迎え、消費者の財布が緩むことを期待した『値付け』も多いとみられる」「一方で、今年1年間で値上げされた食料品はバブル崩壊以降で最大級の3万品目超えとなり、家計では月3700円分の食費『節約』に動くなど、値上げへの抵抗感は昨シーズンに比べて強まっている」と分析。「足元では他の食料品同様、クリスマスケーキでも高額品の買い控えや低価格品への人気集中といった『値上げ疲れ』の兆候も一部で聞かれ、大幅な値上げが消費者に受け入れられない可能性もあり、今シーズンにおけるケーキ商戦の成り行きが注目される」「今年のクリスマスケーキは『値上げの波』をより実感することになりそうだ」とコメントを寄せています。