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11月15日のイベント、Robloxインベスター・デイで、同プラットフォームはマーケティングチャネルとしての成長計画の数々を明らかにした。

2024年にはポータル広告で動画を利用するオプションが提供され、さらに多くのブランドがプラットフォームのホームページに自社のエクスペリエンスを有料で掲載できるようになる。

さらにRobloxはユーザーがプラットフォーム上で物理的な商品を購入し、自宅に配送することが可能になるリアルライフコマース計画を発表した。


Robloxはブランド勢をメタバースへと誘う、いわば「パイプ」を目指している。

11月8日の2023年第3四半期収支報告会中、Roblox幹部たちは同社のマーケティングおよび広告計画に関して、一様に口が重かった。だが11月15日のイベント、Robloxインベスター・デイ(Investor Day)では、その姿勢を一変させた。毎年恒例の同イベント中、彼らのプレゼンはまさに、同社のプラットフォームおよび企業としての全側面に関するアップデート一色だった――マーケティングチャネルとしての成長計画もその一つだ。

「今の世代は一日中、バーチャルとフィジカルを当たり前のように融合させている。したがって、ブランド勢が取り組むべき課題は、自身のストーリーをどう伝え、彼らの友だちにどう広めてもらうのか、その術を見つけ出すことにある」と、Robloxのグローバルパートナーシップ部門VPステファニー・レイサム氏は、同イベントに先駆けてDIGIDAYに語った。「その楽しみの一つは、ロードマップを構築し、効果のある手段を利用し、新たな機会を見つけていくことにある――そして、私が思うに、マーケティングはその結果、変わることになる」。

Robloxのインベスター・デイ中に発表されたアップデートの内、最も重要と思われる点は以下のとおりだ。

鍵となる数字



11月15日のイベントに先駆け、DIGIDAYはRobloxから同プラットフォームの現在のサイズおよびリーチを示唆するいくつかの指標を受け取った。2023年第3四半期時点で、Robloxにはデイリーアクティブユーザーが7000万人以上おり、その内の3400万人以上がZ世代からなる。Z世代はRobloxで最も消費の多い年齢層であり、17〜24歳が同プラットフォームにおいて最も成長の速い層だと、Roblox広報は強調した。2023年第3四半期時点で、Robloxユーザーの57%を14歳以上が占めている。

Robloxでは、現在までに累計で240強のブランドアクティベーションが行なわれており、それには特注のブランデッドワールドや既存エクスペリエンスとの統合も含まれる。ユーザーが同プラットフォームで費やす2.5時間/1日の内、典型的なブランデッドエクスペリエンス内に投じる時間は、平均で11分。

マーケターにゲーム内広告を創造させるRobloxのセルフサービスツール、広告マネージャー(Ads Manager)は依然、ベータ試用段階にある。ただし、同社のプログラマティックプロダクト、没入型広告(Immersive Ads)は現段階で完全にロールアウトされており、もはやベータ版との認識はない。

ブランドディスカバリー選択肢の向上



11月15日の発表には、ブランデッドエクスペリエンスをユーザーが同プラットフォーム上でより遭遇しやすいものにする暫時的改善が数多く含まれていた。2024年、ポータル(Portal)広告を利用するブランド勢には、各々の広告に16×9サイズの動画を重ねられるオプションが付与される。Robloxはさらに、より多くのブランドに各々のエクスペリエンスを有料で同プラットフォームのホームページ上に載せる機会を提供する計画も立てており、同社はこのプロダクトをスポンサード・エクスペリエンシズ(Sponsored Experiences)と名付けている。

「新たなエクスペリエンスの3分の1はポータルズ(Portals)を利用してトラフィック増を図るものであり、そうしたエクスペリエンスに新たなトラフィックの約90%がもたらされることになる」と、レイサム氏は話した。

Robloxはまた、年齢およびジャンルに基づいたターゲティングも2024年第1四半期に導入する計画であり、これによりブランド勢は、スポーツやアクション、ショッピングといったトピックに関心の高いユーザーに的を絞れるようになる。

「発見性(ディスカバリティ)と消費時間――つまりエンゲージメント――は別物だが、相関関係にあり、どちらもブランド勢が非常に重要視している。Robloxには7000万人という極めて多くのデイリーユーザーがいるが、同時に、同プラットフォームから彼らが選べるエクスペリエンスも数百万に上る」と、Robloxパートナープログラムの一員、スーパー・リーグ(Super League)のトップでチーフコマーシャルオフィサーのマット・エデルマン氏は話した。「自身のRobloxエクスペリエンスの創造に進んで投資したいブランドにしてみれば、各々のエクスペリエンスがより容易に発見されうる術を知りたいと考え、その方法について定期的に問うのは当然だ。より良いディスカバーツールを提供し、ターゲットを絞ったメディアソリューションの数を増やせば、広告主の熱意は必ず高まることになる」。

動画広告の導入



動画ポータルに加えて、Robloxは本格的な動画広告フォーマットを現在、テストしており、これは11月15日の発表の中で最も重要な点だったと、レイサム氏はDIGIDAYに話した。

「デジタル動画はRobloxをすべてのブランドがアクセスできるものにし、我々が有するこの素晴らしいオーディエンスの利点を知り、利用してもらうためのコミットメントにほかならない」と、氏は話した。

Robloxでは数カ月前から、プログラマティックイメージ広告――基本的に、ゲーム内エクスペリエンス内に配される広告板、看板、バナー――が出せるようになっていた。11月1日以降、一部のエクスペリエンスは14歳以上のユーザーに対し、Roblox制作の動画広告も同じ場所に出せるようにしている。

11月後半から12月末にかけて、Robloxはブランド勢制作の動画広告のロールアウトも始め、同フォーマットは2024年、Robloxの広告マネージャー経由で入手できるようにする(バーチャルスクリーン上に流れる動画広告――その図はまさしく、タイムズスクエアでいくつものスクリーンがさまざまな広告を鮮やかに映し出している光景と同じだ)。

「2024年度後半末くらいまで、完全なロールアウトは考えてない。というのも、我々としては、イマーシブエクスペリエンス内に流すデジタル動画の価値を慎重に見極めたいからだ――つまり、どのように見えるのかを」とレイサム氏。「したがって、次の半期を通じて、より多くのテストが見られることになる」。

リアルライフコマースが間もなく登場



11月15日のイベント中、最も興奮させられたのはおそらく、Robloxが導入を発表したリアルライフコマース計画だろう。ブランド勢はすでに、Roblox内でバーチャルアイテムを販売しているが、現時点では、ユーザーが同プラットフォーム上でフィジカルアイテムを購入し、自宅まで配送させることはできない。それが2024年に変わると、同社は発表したが、同プロダクトの具体的な導入時期については、レイサム氏は言及を避けた。

「リアルライフコマースへの進出は、Robloxにとってごく自然な一歩だ。我々が話をしているほぼどのブランドおよびスポーツ組織も強い関心を示している」と、パートナープログラムに参加するRobloxのスタジオ、ザ・ギャング(The Gang)のCEOマーカス・ホルムストローム氏は話した。「これは、ブランドアクティビティとして、あるいは多くの人々にリーチするために、というだけではない――Robloxは自身の財政目標に直接結びつくこともしたいと考えている」。

[原文:Here’s what marketers need to know about Roblox Investor Day 2023]

Alexander Lee(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)