アラブ首長国連邦に拠点を置くAI企業G42はOpenAIやアストラゼネカといった大手企業と提携して活動していますが、アメリカ政府はG42が中国企業と取引を行っていることに目を付け、アメリカの技術や個人情報を中国政府に橋渡しするパイプ役として機能する可能性があると判断していることがわかりました。

Warnings Emerge Over Emirati A.I. Firm G42’s Ties to China - The New York Times

https://www.nytimes.com/2023/11/27/us/politics/ai-us-uae-china-security-g42.html

US Intel Officials Worry Little-Known Tech Firm Could Hand Americans’ Genetic Data To China | The Daily Caller

https://dailycaller.com/2023/11/27/us-intel-officials-worry-little-known-tech-firm-americans-genetic-data-china/

G42はテクノロジー投資ファンドや人工知能モデル開発、ゲノム解読などさまざまなベンチャーで構成されている企業で、AI企業のOpenAIや製薬会社のアストラゼネカと提携しているほか、MicrosoftやNVIDIAなどのテクノロジー企業とも協力していることが伝えられています。

G42のCEOはPeng Xiaoという中国系の人物です。中央情報局(CIA)の調べによると、Xiao氏はアメリカで教育を受けて育ち、後にアラブ首長国連邦に市民権を移しているとのこと。



G42はアメリカの企業のみならず中国企業とも取引をしていて、法執行機関向けに設計されたスパイ技術製造プロジェクト「ペガサス」のためにハイテク大手Huaweiと契約を結んでいたほか、Huaweiから技術インフラ構築の支援を受けていたこともあったとCIAは指摘しており、アメリカの監視対象であるHuaweiと密接なつながりがあることから、中国政府がアメリカの最先端技術や数百万人のアメリカ人の遺伝子データにアクセスするためのパイプ役としてG42が機能している可能性があると判断しているそうです。

さらに、G42がアメリカで規制されつつあるTikTokの親会社から多額の投資を受けたこと、G42の子会社であるPresight AIが中国警察の使用する製品に酷似したソフトウェアを提供していること、Xiao氏が経営する「Pax AI」というアラブ首長国連邦の会社がデータ管理問題でアメリカに目を付けられたことなどから、セキュリティ問題で中国を注視するアメリカに疑惑をかけられていると報じられています。



ニューヨーク・タイムズによると、アラブ首長国連邦の国家安全保障顧問であるシェイク・タフヌーン・ビン・ザイード氏がホワイトハウスを訪問した際、アメリカで国家安全保障問題を担当するジェイク・サリバン氏がG42について警告を発したとのことです。