Malwarebytesは11月23日(米国時間)、「Chrome pushes forward with plans to limit ad blockers in the future|Malwarebytes」において、Googleがブラウザの広告ブロッカー拡張機能を制限する計画を再開したと伝えた。

Chrome pushes forward with plans to limit ad blockers in the future|Malwarebytes

Googleは昨年12月に移行を一時停止していたブラウザの拡張機能API「Manifest V2」について、開発者コミュニティの懸念が払拭されたとして、2023年11月16日(米国時間)に「Manifest V3」への移行を再開すると発表した(参考:「Resuming the transition to Manifest V3 - Chrome for Developers」)。

この発表によると、早ければ2024年6月のChromeの非安定版(Dev、Canary、Beta)においてManifest V2の拡張機能を無効化するという。この影響を受ける拡張機能は自動的に無効となり、Chrome Webストアからインストールすることもできなくなる。この変更は段階的に行われる予定で、Googleはユーザーのフィードバックを収集し、代替の拡張機能を見つけることができるか確認するとしている。

安定版への拡大は、非安定版の様子を観察して行うとして1カ月ほど遅れる予定としている。また、「ExtensionManifestV2Availability - Chrome Enterprise のポリシーリストと管理 | ドキュメント」を使用してManifest V2を継続して利用する企業では、2025年6月までの1年間だけ猶予期間を延長できるとのこと。

Malwarebytesによると、ブラウザ拡張機能で最もよく利用されるものは「広告ブロッカー」だという。広告ブロッカーはその動作のためにルールセットと呼ばれる除外対象ドメイン、サブドメイン、IPアドレスのリストを保有している。通常このルールセットは更新やユーザ定義のルールをサポートするために動的に追加することが可能で、Manifest V3では最大30,000件のルールを追加することができる。

しかしながら、Malwarebytesは、広告ブロッカーの能力を引き出すにはこれでも十分ではないと指摘。また、Manifest V3ではレスポンスヘッダやアドレスバーのURLに基づいたアイテムのフィルタリングができず、使用できる正規表現に制限があるなど、他にも技術的な制限があるとされる。

これに対しGoogleは、Manifest V3により広告ブロッカーのリソース消費が抑えられ、拡張機能開発者からプライバシを保護できるとして正当化している。しかしながら電子フロンティア財団(EFF: Electronic Frontier Foundation)はManifest V3について、Googleは支配的なブラウザとインターネット広告を制御しており本質的に利益相反だ、と否定的な見解を示している。