火星で発生した高さ2kmに達する「ダスト・デビル(塵旋風)」をNASAの火星探査機パーサヴィアランスが撮影
「ダスト・デビル(塵旋風)」とは、地表付近の大気が上昇気流によって渦巻き状に立ち上る突風の一種であり、地球だけでなく火星などの惑星でも発生することが知られています。新たに、NASAの火星探査機であるパーサヴィアランスが、火星で発生した高さ2kmに達するダスト・デビルの撮影に成功しました。
NASA’s Perseverance Captures Dust-Filled Martian Whirlwind
NASA's Perseverance rover spots dust devil on Mars (video) | Space
https://www.space.com/mars-rover-perseverance-dust-devil-august-2023
Massive Martian 'dust devil' filmed by NASA's Perseverance rover is 5 times taller than the Empire State Building | Live Science
https://www.livescience.com/space/mars/massive-martian-dust-devil-filmed-by-nasas-perseverance-rover-is-5-times-taller-than-the-empire-state-building
パーサヴィアランスは2023年8月30日、火星のジェゼロクレーターの西縁に沿って移動するダスト・デビルを撮影しました。NASAのジェット推進研究所が公開した以下の動画で、火星のダスト・デビルが移動する様子を見ることができます。
Perseverance rover captures Martian dust devil traveling at 12 mph! - YouTube
だだっ広い火星の荒野を写した動画の上端に、画面左から右に向かって移動する白いものが見えます。これが火星で発生したダスト・デビルだとのこと。なお、この動画はパーサヴィアランスに搭載されたナビカムが4秒間隔で撮影した画像を結合し、20倍速で動画化にしたものです。
ズームするとこんな感じ。よく見ると竜巻のように渦を巻き、少しずつ形を変えているのがわかります。
ダスト・デビルはパーサヴィアランスから約4km離れた地点を、東から西に向かって時速約19kmで移動していたとのこと。動画で確認できる幅は約61m、高さは約118mでしたが、実際は動画に写らない部分まで上方向に伸びているため、実際にはもっと高いとみられています。
コロラド州ボルダーにあるSpace Science Institute(宇宙科学研究所)の惑星科学者であり、パーサヴィアランスの科学チームのメンバーであるマーク・レモン氏は、「ダスト・デビルの頂上は見えませんが、それが投げかける影が高さを示しています」と述べ、影から推測する高さは約2kmに達するとの見方を示しました。
ダスト・デビルは暖かい上昇気流が下降する冷たい空気とぶつかって形成され、地球上ではアメリカ・アリゾナ州など乾燥したほこりっぽい場所でよく見られます。一般的に火星で発生するダスト・デビルは地球のものよりも小さく弱いそうですが、今回発見されたダスト・デビルは珍しく地球のものよりも大きかったとのことです。