宇野昌磨インタビュー
『ワンピース・オン・アイス』第2弾

テレビアニメ『ワンピース』がフィギュアスケートに! 作品史上初の試みであるアイスショー『ワンピース・オン・アイス〜エピソード・オブ・アラバスタ〜』横浜公演(8月11〜13日)・名古屋公演(9月2〜3日)が幕を閉じた。大きな熱量を持って主役のルフィを演じた宇野昌磨にインタビューを行なった。


『ワンピース・オン・アイス』でルフィ役を務めた宇野昌磨

【すばらしいものになった実感】

ーー公演を終えていかがですか?

宇野昌磨(以下同) 想像していたよりもアイスショー自体にたくさんの反響があったと感じています。僕たちが本番に向けてやってきたことを観客の皆さんに受け止めていただき、成功できたという実感が湧いてきました。

ーー自信を持って「いいショーだ」と言えるものになりましたか?

 始まる前、練習が始まった頃は不安なことやいろんな思いがあったんです。でも、今となっては全員が一日一日惜しみなく、やれることを全部やってきましたし、僕にとってはすばらしいものになった実感が一番にあります。すごく楽しかったというのが率直な思いです。

ーー宇野選手が演じるルフィではなく、ルフィそのものだったように感じました。

 僕にでも挑戦できるような雰囲気を皆さんにつくっていただいたと思います。それに僕も乗っかることができたというか、すごく雰囲気がいいんです。毎日がとても楽しくて、充実した練習ができていました。

 僕は思い残すことがない練習ができるとあまり緊張しないんですね。それと同じマインドになっていました。これは絶対に緊張するだろうと思っていたんですけど、やれることはやってきましたし、「これ以上は無理だった」と言いきれるくらいの練習をみんなでやってきたので本当にいい内容になったと思います。


『ワンピース・オン・アイス』名古屋公演 ⒸO/S・F・T OPOI2023

【心から仲間だと言える】

ーー別のアイスショー『THE ICE』盛岡公演の前日なのに、みんなが稽古していた関東のリンクに来て一緒に練習していたのに驚きました。

 それくらい練習も楽しかったんです(笑)。もちろんすべてのショーにそれぞれの魅力があり、すばらしいと思うんですけれども、『ワンピース・オン・アイス』は僕にとって今までやったことがない分野の挑戦だったからこその楽しさというものがありました。

 フィギュアスケートは個人競技ですが、このショーではチームみたいな感じで。個々のスキルはあるものの、競技性とは離れている。みんなで高め合っていく雰囲気を感じられたのも僕は好きでしたね。個人競技にはない楽しさだな、という感じでした。


『ワンピース・オン・アイス』名古屋公演 ⒸO/S・F・T OPOI2023

ーーファミリーという感じだったんですね。

 全員仲間だという感じがしていました。皆さんのことを、心から仲間だと言えるというのが、充実した日々を送れた証かなと思います。

ーー本番では演じたルフィの表情がコロコロ変わっていて、宇野選手をノービスから見てきた身としては感無量でした。

 あはは(笑)。僕はアニメや漫画が好きですし、人より感情移入をしてしまうほうだと思うので、役や何かに入り込むというのはすごく楽しいことだなとあらためて感じました。

【僕はこういうの好きだな】

ーールフィでいる時はどんなマインドでしたか?

 どうでしょう、すごく気持ちがいいですね。ふだんは「昌磨くんかわいい」と言われても「もう25歳なんだけどなぁ......」と思ってしまうんですが、ルフィを演じている時に、かわいいと言われても別になんともないんです。

 演じているキャラがかわいいキャラだったらそれは褒め言葉ですし、やっている側としては「昌磨!」と言われるよりもショーの間は「ルフィ!」と呼ばれたい。そこが僕なりの意識として、完全に役になりきって自分がルフィだと思い込んでやらせてもらっていました。

ーーハマると突き詰めていく性格も今回は活かされていたのではないかと思います。いかがですか?

 僕はそんなに器用なほうではないので、熱量でしかカバーできないなと思っていたんです。自分がとてつもない熱量でこのショーに向かっていっているなかで、周りの人も同じくらいの熱量でショーの成功に向けて準備を進めてくださいました。その一体感がこのショーをやっていて僕が一番楽しいと思った瞬間です。

 ふだんは個人競技ですし、競技が最優先という選手は多いと思うんです。でも、そんななかでアイスショーをつくると普通は、どうしてもチーム競技というよりも個人個人のハイレベルな技術を合わせてのショーになる。

 でも、今回のようにフィギュアスケート要素を入れつつも、芸術性、エンターテインメントとしてつくり上げていくところがとても魅力的でしたし、僕はこういうのが好きだなと思いました。


『ワンピース・オン・アイス』名古屋公演 ⒸO/S・F・T OPOI2023

ーー他のキャストの皆さんは続編をやりたいとおっしゃっていました。宇野選手はいかがですか?

 もちろんやりたいですけど、ショーをつくる側に立つといろんなことを考えてしまって(笑)。難しさはたくさんあるんだろうなとも思いますし、正直そこは僕の力不足を痛感しているところでもあるので、そのためにも競技を頑張っていこうと思います。

ーー最後に、ショーを見にきてくれたファンの皆さんにメッセージをお願いします。

 ショーを見にきていただいた方、『ワンピース』ファンの方にも満足していただけるショーになったと思います。少しでも多くの方にこのショーを見てほしいと思っていました。

 また、いろんな方面で、フィギュアスケートでここまで魅せられるというのを知っていただけたらいいなと思いますし、このような新しいショーをこれからも皆さんが楽しんでいただけるとうれしいです。


『ワンピース・オン・アイス』名古屋公演 ⒸO/S・F・T OPOI2023

【プロフィール】
宇野昌磨 うの・しょうま 
フィギュアスケーター。1997年12月17日生まれ。愛知県名古屋市出身。5歳の頃からスケートをはじめ、2016年から2019年の全日本選手権で4連覇を果たす。2018年平昌五輪銀メダリスト、2019年四大陸選手権優勝、2022年北京五輪銅メダリスト、世界選手権優勝。2022-2023年シーズンは、スケートカナダ、NHK杯、グランプリファイナル、全日本選手権すべてで優勝。世界選手権も優勝し、日本男子初の2連覇を達成した。

『ワンピース・オン・アイス〜エピソード・オブ・アラバスタ〜』 
アニメ『ワンピース』が史上初のアイスショー化。日本屈指のスケーターが集結し、アニメの声優たちのセリフに合わせ、フィギュアスケートならではのスピード感、躍動感で『ワンピース』の世界を表現。光やプロジェクションマッピングの演出によるスペクタクルなアイスショー。8月11〜13日(横浜)、9月2〜3日(名古屋)の全国2カ所で全10回公演。
9月17日まで『ABEMA』で「見逃し配信」実施中。