YouTube にさらなる圧力。米消費者権利団体が児童プライバシー侵害を申し立て
複数の消費者権利団体が最新の調査結果を根拠に、米連邦取引委員会(FTC)にGoogleを調査するよう新たに要請した。この調査はYouTubeの児童保護方針に疑問を投げかけるものだ。
リサーチ企業アダリティクス(Adalytics)がYouTubeは未成年者に広告を配信し、児童オンラインプライバシー保護法(Children’s Online Privacy Protection Act:以下COPPA)の要件に反していると申し立てた。そのことを受け、フェアプレイ(Fairplay)、デジタルデモクラシーセンター(CDD)、電子プライバシー情報センター(EPIC)は、YouTubeに対する調査要求を共同で提出した。
同様の調査要求は、有力上院議員であるエド・マーキー氏とマーシャ・ブラックバーン氏の事務所からも提出された。アダリティクスから物議をかもした調査結果が発表された8月17日、両事務所はFTCにYouTubeを調査するよう要請している。
フェアプレイのエグゼクティブ・ディレクター、ジョシュ・ゴリン氏によれば、このような呼びかけが功を奏し、FTCがYouTubeのCOPPA規則違反を認定した場合、「最大で数百億ドル(数兆円)の制裁金を求める可能性がある」という。
ゴリン氏の呼びかけは、フェアプレイが2018年に行った同様の要請と呼応するものだ。これは2019年にYouTubeから同意判決を獲得し、FTCが1億7000万ドル(約230億円)の制裁金を科すこととなった。最近のアダリティクスの調査では、これらの合意した内容がGoogleによって破られたと主張している。
フェアプレイと広告出稿を検討する企業はアダリティクスの調査が公表される直前にYouTube上で広告キャンペーンのテストを実施した。そこでは広告ターゲティングのために属性や親和性の高いユーザーを選択し、「made for kids(子ども向け)チャンネル」だけに広告を掲載するようGoogleに指示した、と告訴人たちが共同で署名した手紙に記載されている。
これらのテストキャンペーンでは、YouTubeの子ども向けチャンネルでは、パーソナライズされた広告が配信されることはなく、表示はゼロになるはずだった。しかし、アダリティクスの意見を取り入れて実施されたこのフェアプレイのテストキャンペーンは、子ども向けチャンネルで1400以上の広告表示が行なわれた。
「規制当局が調査するには十分すぎる証拠がある」とゴリン氏は米DIGIDAYに語った。「Google(キャンペーンレポート)は特定の属性にターゲティングしたと述べたにもかかわらず、私たちが配置した子ども向けではないすべての広告が文脈に沿った形で表示されたのだ。なぜこうなったかを説明するのは非常に難しい」。
彼はさらに「ただ、Googleが100%の精度で広告出稿を予測できるとはとても信じられない」と付け加えた。
一方Google側は、自社の児童保護ポリシーの堅固さと、2019年の同意判決に示された条件を順守し続けていることを主張している。
さらに、Googleはアダリティクスが採用した調査方法に関しても批判的だ。同社では、最新の研究のいくつかが異なる測定技術を混同していると考えている。さらに、Googleのグローバル広告担当バイスプレジデントであるダン・テイラー氏は8月18日に「同じ組織が実施した以前の調査を含めて、このレポートには深刻な欠陥がある」とブログに投降した。
所属企業とGoogleとの関係を考慮して匿名を希望したあるメディアエージェンシーの幹部は「真実はおそらく中間あたりにあるのでは」と言う。
「規制当局は児童保護に関する事項を検討する立場であり、それぞれの主張の真偽の判断も規制当局に委ねられている」とその幹部は指摘する。「ただ、最新の調査報告による告発が、同業者や関係者などが過去に実施した施策を振り返るきっかけにつながった」と付け加えた。
アダリティクスが8月17日に公表した直後のDIGIDAYの取材に対し、コンプライアント(Compliant)のCEOであるジェイミー・バーナード氏は、「これは驚くようなことではない。こういった問題はビッグテックのプラットフォームだけで起こるわけではなく、他人がとやかく言えるようなことではないのだ」と述べた。
[原文:Advocacy groups issue fresh calls to investigate YouTube over researchers’ child protection claims]
Ronan Shields(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)
リサーチ企業アダリティクス(Adalytics)がYouTubeは未成年者に広告を配信し、児童オンラインプライバシー保護法(Children’s Online Privacy Protection Act:以下COPPA)の要件に反していると申し立てた。そのことを受け、フェアプレイ(Fairplay)、デジタルデモクラシーセンター(CDD)、電子プライバシー情報センター(EPIC)は、YouTubeに対する調査要求を共同で提出した。
子ども向けチャンネルでも広告表示
フェアプレイのエグゼクティブ・ディレクター、ジョシュ・ゴリン氏によれば、このような呼びかけが功を奏し、FTCがYouTubeのCOPPA規則違反を認定した場合、「最大で数百億ドル(数兆円)の制裁金を求める可能性がある」という。
ゴリン氏の呼びかけは、フェアプレイが2018年に行った同様の要請と呼応するものだ。これは2019年にYouTubeから同意判決を獲得し、FTCが1億7000万ドル(約230億円)の制裁金を科すこととなった。最近のアダリティクスの調査では、これらの合意した内容がGoogleによって破られたと主張している。
フェアプレイと広告出稿を検討する企業はアダリティクスの調査が公表される直前にYouTube上で広告キャンペーンのテストを実施した。そこでは広告ターゲティングのために属性や親和性の高いユーザーを選択し、「made for kids(子ども向け)チャンネル」だけに広告を掲載するようGoogleに指示した、と告訴人たちが共同で署名した手紙に記載されている。
これらのテストキャンペーンでは、YouTubeの子ども向けチャンネルでは、パーソナライズされた広告が配信されることはなく、表示はゼロになるはずだった。しかし、アダリティクスの意見を取り入れて実施されたこのフェアプレイのテストキャンペーンは、子ども向けチャンネルで1400以上の広告表示が行なわれた。
Googleの配信精度に疑問符
「規制当局が調査するには十分すぎる証拠がある」とゴリン氏は米DIGIDAYに語った。「Google(キャンペーンレポート)は特定の属性にターゲティングしたと述べたにもかかわらず、私たちが配置した子ども向けではないすべての広告が文脈に沿った形で表示されたのだ。なぜこうなったかを説明するのは非常に難しい」。
彼はさらに「ただ、Googleが100%の精度で広告出稿を予測できるとはとても信じられない」と付け加えた。
一方Google側は、自社の児童保護ポリシーの堅固さと、2019年の同意判決に示された条件を順守し続けていることを主張している。
さらに、Googleはアダリティクスが採用した調査方法に関しても批判的だ。同社では、最新の研究のいくつかが異なる測定技術を混同していると考えている。さらに、Googleのグローバル広告担当バイスプレジデントであるダン・テイラー氏は8月18日に「同じ組織が実施した以前の調査を含めて、このレポートには深刻な欠陥がある」とブログに投降した。
過去の規制の結果を振り返るきっかけに
所属企業とGoogleとの関係を考慮して匿名を希望したあるメディアエージェンシーの幹部は「真実はおそらく中間あたりにあるのでは」と言う。
「規制当局は児童保護に関する事項を検討する立場であり、それぞれの主張の真偽の判断も規制当局に委ねられている」とその幹部は指摘する。「ただ、最新の調査報告による告発が、同業者や関係者などが過去に実施した施策を振り返るきっかけにつながった」と付け加えた。
アダリティクスが8月17日に公表した直後のDIGIDAYの取材に対し、コンプライアント(Compliant)のCEOであるジェイミー・バーナード氏は、「これは驚くようなことではない。こういった問題はビッグテックのプラットフォームだけで起こるわけではなく、他人がとやかく言えるようなことではないのだ」と述べた。
[原文:Advocacy groups issue fresh calls to investigate YouTube over researchers’ child protection claims]
Ronan Shields(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)