森保ジャパンの最重要ポイントはDF陣の新戦力発掘 大化けしそうな国内組2選手に注目
9月の欧州遠征
日本代表にオススメの選手(2)
昨年カタールで開かれたワールドカップが終わり、"第二次森保一政権"がスタートした日本代表。今年3月には"初陣"を迎え、以降、明確に打ち出されている方針がある。
それは、実績のあるベテラン選手を選外としたこと。すなわち、DF長友佑都(36歳)、DF吉田麻也(35歳)、DF酒井宏樹(33歳)を招集していないということだ。
彼らの実力が日本代表に値するものであるかどうかとは無関係に、現在の日本代表の最大目標が3年後のワールドカップでベスト8に進出することだと考えれば、理にかなった判断だろう。
一般論で言えば、30代半ばの選手が今後の大きな伸びしろを備えているとは考えにくく、むしろ成長曲線はピークを過ぎ、下降線をたどっていく。だとすれば、3年後を見据え、より大きな成長が見込める若い選手の招集を優先したほうが、チームの強化につながるからだ。
とりわけ、上記3人のポジションが集中しているDFは、新戦力発掘の最重要ポイントとなるだろう。
ならば、誰を呼ぶべきか。
すでにヨーロッパのクラブでプレーする選手たちがその第一候補になるのかもしれないが、Jリーガーにもそこに加えてみたい人材はいる。
「第2の吉田麻也」として注目される藤井陽也
まずは、藤井陽也(ふじい・はるや/名古屋グランパス)だ。
藤井の魅力は、身長187cmの高さがありながら、足元の技術にも長けていること。そのうえ、スピードにも優れ、相手FWに走り負けないばかりか、攻撃参加した時のフットワークも軽快だ。
3バックを採用している名古屋では、DFラインならどのポジションに入ることができ、左右両足ともにキックはうまい。4バックがベースの日本代表で言えば、まずはセンターバック候補ということになるのだろうが、サイドから敵陣深くまで攻め上がった時の器用さを見ていると、サイドバックで使ってみても面白そうだ。
藤井は名古屋のアカデミー出身であり、その経歴からも"第2の吉田"を思わせるが、身のこなしの軽やかさでは先輩を上回る。
昨季名古屋でブレイクを遂げた今季プロ5年目の22歳は、今年3月、すでに日本代表に初招集されているが、親善試合2試合での出場機会はなし。まだ日本代表デビューは果たせていない。年代別日本代表経験も豊富とは言えないだけに、早く国際舞台に立たせてみたい好素材である。
そして、もうひとりは、毎熊晟矢(まいくま・せいや/セレッソ大阪)だ。
C大阪で主に右サイドバックを務める毎熊は、ひと言で言えば、サッカーセンスがいい選手。主戦場は右サイドバックながら、昨季は右サイドMFとして頭角を現したのも、その表れと言ってだろう。内に外にと自在に立ち位置を移し、周囲と連係して攻撃に加われるセンスのよさは、新たなポゼッションスタイルを取り入れようとしている日本代表が必要としているものだ。
「近い将来、必ず日本代表に入れる」と太鼓判を押す、C大阪の小菊昭雄監督曰く、「(毎熊は)和製ハキミ」。昨年のワールドカップでアフリカ勢初のベスト4進出を果たしたモロッコ代表の万能右サイドバック、アクラフ・ハキミ(パリ・サンジェルマン)になぞらえるほどの才能を秘めている。
桃山学院大学卒業後、J2のV・ファーレン長崎で2年プレーしたあと、昨季C大阪へ移籍。今季がJ1での2シーズン目という毎熊のキャリアは、さながら"第2の山根視来"だ。もともとは攻撃的なポジションだったというあたりも山根に通じ、川崎フロンターレ移籍をきっかけに日本代表に選ばれ、ついにはワールドカップ出場までたどり着いた先輩右サイドバックを思わせる。
藤井同様、25歳の毎熊もまた、年代別代表経験に乏しい。というより、まったくない。国際舞台でのパフォーマンスについては未知数だが、だからこそ、早く日本代表でチャンスを与えてみたい選手である。
3年後の次回ワールドカップでは、出場国が32カ国から48カ国に増え、それにともない、アジアに与えられる出場枠も4.5か国から8.5か国へとほぼ倍増。日本がアジア予選で敗退する可能性は相当に低くなり、当然、予選中でも新戦力を登用しやすくなる。
しかも、いわゆる"格下"との対戦が予選の多くを占めるなか、すべてのホームゲームに長距離移動を強いられるヨーロッパ組を招集するのは、選手にとっても、チームにとっても、決して得策ではない。
少なくとも、今年11月から始まるアジア2次予選に関しては、国内組の新戦力を発掘するための好機ととらえ、ホームゲームではJリーガーを中心に戦うくらいの発想があっていいのではないだろうか。
JリーグでプレーするDFにも、化ける可能性を秘めた人材は間違いなくいる。