福島から北陸道をゆく「旅打ち」
第2回:新宿から福島競馬場へ

(1)予算は5万円。福島競馬場から北陸道をゆく「旅打ち」へ>>


「旅打ち」には心強い味方となる『青春18きっぷ』

 2023年夏の"旅打ち"。出発は新宿駅。そこから福島に向かう。

『青春18きっぷ』が心強い味方だ。

 ちなみに、『青春18きっぷ』とはJRが発行している格安チケットのこと。一定期間内であれば、JRの路線内なら1日乗り放題(最大5回)という"スグレモノ"だ。

 ただし、乗ることができるのは普通列車自由席。つまり"鈍行"に限る。加えて、特急や新幹線に乗ろうとしてもそのチケットは乗車券としては使えず、新たに乗車券も含めたセットのチケットを買わなければならない、という不便さがある。

 とはいえ、今回の"旅打ち"企画のように、限られた予算内で何日か旅を続けるとなれば、本当に心強い味方となってくれる。

 新宿から福島へ行くために、まず湘南新宿ラインで赤羽へ行き、宇都宮線に乗り換えて宇都宮まで行く。そこから、さらに宇都宮線で黒磯へ。次に、東北本線に乗り換えて新白河、郡山と進んで、郡山から同じ東北本線で福島へ、という行程だ。

 新宿発6時58分の列車でスタートすれば、概ねそうなる。福島到着予定は午後12時27分。東北新幹線なら東京→福島はおよそ1時間半。それを、5時間半ほどかけて行く。


宇都宮からは宇都宮線に乗って黒磯へ

 この間、停車する駅は全部で55もある。飲み仲間に「腰が抜けるぞ」と言われたが、悪い冗談とばかりは言っていられないかもしれない。

 ともあれ、はじめのうちは電車が次から次へと停車することに少しイラッときたが、次第に一定のリズムのようなものが生まれて慣れてくるものだ。

 宇都宮まではだいたい想像のつく田園地帯だが、宇都宮を越えると一層緑が濃くなり、「旅に来たなぁ」という思いが強くなる。ふだん、ほとんど乗ることはない路線だが、旅の気分に浸るという意味では、乗りがいのある路線だ。

 途中、列車に揺られながら、つらつらと福島競馬のことを想う。

 福島競馬場は全国にいくつかある競馬場のなかで、自分にとってはゲンのいい競馬場だ。

 ずいぶん昔のことだが、仲間と福島市郊外の飯坂温泉に遊びに行ったことがある。帰りに福島競馬場に寄り、たまたまラジオNIKKEI賞の日で「ここは格上馬が強い」と見て、クラシック出走経験のある馬を中心に馬連馬券を買うと、それがズバリ的中! 万とはいかなかったが、それに近い数千円の配当をゲットして、東京に戻ってから、改めて宴会をやり直したという思い出がある。

 旅先でのこういうラッキーな体験は、いい思い出として長く記憶に残るものだ。

 先日の七夕賞でもこんなことがあった。

 軸は前走も重賞で好走しているセイウンハーデスと決めたものの、相手が絞りきれず、結局10頭に流した。最後の最後にきったのが、ククナ。牝馬は厳しいという過去のデータを信用してのことだ。

 ところが、その馬券をネットで購入した直後、別に購入していた他場のレースで狙っていた馬が出走取消となって、その資金が浮いた。ならばと、先ほどきったばかりのククナを買い足すと、なんとこれが2着に食い込んで馬連6510円! これをツキと言わずしてなんと言おう。

 このように、自分にとって福島はゲンがいいのだ。今日もきっといいことがあるはずだ。


午前7時前に新宿を出発し、昼過ぎにやっと福島に到着した

 昼過ぎ、無事に腰が抜けることもなく福島に着いた。東口バスターミナルで2番のバスに乗る。競馬新聞片手の乗客がチラホラ。いくつかバス停を過ぎて『年金事務所入口』とかいうバス停にくると、競馬新聞片手の乗客がゾロゾロと降り口に向かった。

 窓の外を見ると、前方に巨大な福島競馬場。どうやらここが競馬場最寄りのバス停らしい(※編集部注:「競馬場前」という最寄りの停留所もある)。バス停のみに気を取られ、競馬新聞片手の乗客に注目していなければ、うっかり乗り過ごすところだった。

 これも、本日のツキのひとつと思っておこう。

 さあ、競馬だ!


立派な外観の福島競馬場