中国の酒泉衛星発射センターから打ち上げられた「朱雀2号」。このあと予定の軌道投入に成功した(藍箭航天空間科技のウェブサイトより)

中国の民間企業が液体酸素とメタンをエンジンの推進剤に使うロケットの打ち上げに世界で初めて成功した。藍箭航天空間科技(ランドスペース)は7月12日午前9時、中国の酒泉衛星発射センターからロケット「朱雀2号遥2」を発射、予定通り軌道に乗せた。

「朱雀2号」は2段式ロケットで、本体の直径3.35メートル、全長49.5メートル、打ち上げ重量219トン、打ち上げ時推力268トン、第1段には4基の「天鵲」型80トン級エンジンを並列搭載、第2段には「天鵲」型80トン級主エンジン1基と「天鵲」型10トン級補助エンジン1基を搭載、いずれも液体酸素とメタンを推進剤に使用している。

藍箭航天は2015年6月に創業した民間企業。2018年10月27日に同社初のロケット「朱雀1号」を酒泉衛星発射センターから打ち上げたが、搭載していた商業衛星を軌道に送り込むことはできなかった。

メタン使用、低コスト商業ロケット向けに利点

液体燃料ロケットのエンジンは液体酸素などの酸化剤とメタンや液体水素などの燃料を組み合わせた推進剤を使用する。その中で液体酸素・メタンは将来の低コスト商業ロケット向け推進剤として期待され、推進剤の一定量(質量・流量)あたりの推力の大きさを示す比推力は、液体酸素・液体水素推進剤の次に良好とされる。燃焼時に炭素の蒸着がなく、生成方法も幅広く、コストも低いなどの特長がある。


本記事は「財新」の提供記事です

今回の打ち上げは「朱雀2号」にとって2回目。2022年12月14日の1回目では、1段目と2段目の主ロケットエンジンは正常に作動したものの、2段の補助エンジンの動作異常で打ち上げは失敗に終わった。

2023年3月に藍箭航天が発表したところによると、2段目の補助エンジン故障の原因は酸素供給管と酸素ポンプの低圧ハウジングの連結部位の強度不足で、その後、藍箭航天は複数の改善策を講じ、信頼性を高めたとしている。

(財新記者:黄晏浩)
※原文の配信は7月12日

(財新 Biz&Tech)